第7話 祖母の味(後編)
マツリソウ:人間の皆さんこんばんは、マツリソウでございます。エマさんの務める病院の院長である瑠空さんに挨拶をしに来たお婆様、突如苦しむ彼女の身を襲った病とは?
魔界時間19:45 瑠空総合病院 死霊内科棟
看護師:容体は安定しましたが、一時的なものなのでまだ予断を許さない状況です。
瑠空:原因はやっぱり
中央のモニターにウメのレントゲン映像を映し出す死霊内科医
医師:はい、院長の
マツリソウ:霊動核梗塞とは、ゾンビやグール族といったアンデッド族のご高齢の方が発症する病気です。アンデッド族は肉体に魂が無く、本体である魂と心臓が融合した霊動核と呼ばれる臓器があります。これもまたアンデッド族の国ならではで、ゾンバルト帝国が運営するソウルバンクという場所に預けられます。
医師:アンデッド族の肉体を動かしたり肉体の崩壊を防ぐエネルギーを供給する霊動脈というのが
エマ:霊動核梗塞はアンデッド族の高齢者がかかる病だけど、発症率は1000万人に1人っていう凄く稀な病気でしょう?何で婆ちゃんがなるの?
医師に検査結果を渡す看護師
医師:・・・成る程、どうやらコレが霊動核梗塞の原因のようですね。
映像をある物の成分表に切り替える医師
瑠空:これは?
医師:これはウメさんの唾液から採取されたものです。この成分表は
瑠空:これが霊動核梗塞の原因って事?
医師:はい、この塩は主にクラーケンの塩辛等に使われるものでして、たまにしか食べない程度の量ならば問題はないのですが、ウメさんのように日常的に味見で摂取し続けると体質にもよりますが、高い確率で発症します。
瑠空:治療法はあるんですか?
医師:ここまで固形化が進むと、薬で溶かしてしまうのは不可能でしょう。空間切除によるバイパス手術が最適かと。アンデッド族は再生能力は全種族の中でもトップクラスですから、固形化した霊媒物質の詰まった部分を切開して取り除いた後で繋げれば後は自己再生能力で大丈夫です。
瑠空:分かりました、ではオペのチーム編成ですが。
エマ:そのオペ、私にやらせて!
瑠空:エマさん、手術において私情に駆られるのは高い確率で失敗します。
落ち着いた表情で語るエマ
エマ:分かってる、私情に駆られて焦れば失敗する。何事もいつも通りが私のモットーだから♪
瑠空:なら安心ですね♪では皆さん、オペを開始して下さい!
全員:はいっ!
魔界時間20:12 オペ開始
オペレーター:
エマ:・・・メス。
メスを渡す助手
オペレーター:固形化した霊媒物質は霊門から20cmの範囲です。
霊動脈を切り離し固形化した霊媒物質を取り出すエマ
エマ:固形化エクトプラズム摘出完了、霊動脈の
マツリソウ:霊動糸とは霊力で作られた霊動脈縫合専用のものです。霊動脈が再生されるまで繋げられ、再生が完了する頃に自然消滅する様になっている特殊な糸です。
針に霊動糸を通して渡す助手
エマ:縫合完了、医療器具等の残存な無し。
オペレーター:縫合完了と医療器具等の残存無しをこちらでも確認、次元切開フィールドを解除します。お疲れ様でした♪
手術室を出るエマ
瑠空:ご苦労様でした♪
エマ:そんじゃ看護師さん達、後頼むね♪
『3時間後 病室』
ウメ:・・・おや?ここは何処だい?
エマ:霊動核梗塞で倒れたんだよ婆ちゃん。
ウメ:あんれ〜、そうだったんかい。
エマ:倒れたトコが病院で、手術したのが私だったから良かったものだよ〜。
ウメ:アンタはちっちゃい頃からチャラチャラしたところがあったけど、やる時はやる子だってのは婆ちゃんがちゃ〜んと分かってるからね♪
エマ:原因はキムチ作る時に使うクラーケンの塩辛に入ってる冥流塩なんだって。
ウメ:あれぇ〜!そうだったんかい。なら冥流塩使ってないクラーケンの塩辛にしないとねぇ。
エマ:それが良いよ♪1週間後には退院できるから、それまてま店休みなよ。
ウメ:フフッ、そうさせてもらうかねぇ♪
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