第4話 街の散策
気がついたら、目の前に大きな噴水があるとても大きな広場に着いた。
辺りを見渡してみる。
建物は屋根が赤茶色のような色であり、壁は赤っぽかったり白っぽいのもあるし、くすんだ黄色っぽい色のもある。
そして、奥には一際目立つお城もある。
一言で表すと中世ヨーロッパを思い浮かばせる町並みであった。
「すごい…きれい…。」
私は感動して、その場に立ち尽くしてしまった。
周りの人も同じ気持ちなのか、同じように立ち尽くしている人が何人も見える。
そう思っていると突然私の横に光が現れ、中から人がでてきた。
どうやら私が現れた時と同じように、他のプレイヤーもここから現れるようだ。
私は邪魔にならないように、そっとこの場を離れる。
「外に出る前に少し散策してみよう」
そう独り言を言いつつ私は街を歩き回る事にした。
少し歩いていると活気のある場所に着いた。
「らっしゃい!らっしゃい!今日も新鮮な野菜が入ってるよ!」
「そこのお姉さん!ゴリンの実はどう?美味しいよ!」
どうやらここは市場?のような所らしい。
最初に言われていたように、ここの人達は本当に生きているみたいだ。
商いをしたり、それを購入してその場で嬉しそうに食べている子供も見える。
「すごい…。本当に生きているみたいだ。」
そのつぶやきが聞こえていたのか、近くにいた子連れの母が言った。
「何を言ってんだい。人なんだから生きてて当たり前だろ?」
そうだ、この世界の人も私たちと変わらない1つの命を持って生きているんだ…。
私はそんなことを考えつつ返事をする。
「そうですね!変なこと言いました。」
そう言ってまた歩きだす。
くんくん
何かいい匂いがして惹かれるように歩いていく。
そこには美味しそうな匂いがする肉を焼いている屋台があった。
そこに居たのはとても強面で顔の右頬に切り傷のあるスキンヘッドの屋台のおっちゃんだった。
「おっ、嬢ちゃん1つ食べるかい?」
私は屋台のおっちゃんに言われてつい返事をしそうになる。
返事をする前に自分の手持ちを見てみる。
しかし、残念ながら私の手持ちは…無かった。
「え、こういうのって最初から少し持ってるんじゃないの!?」
「何言ってんだ?まぁいいや。今日は運がよく沢山肉が手に入ったから特別だぞ。」
そう言ってタダでお肉を貰えた。
「ありがとうございます!」
そう言ってその場で食べてみる。
その肉は臭みもなく、思ってた通り美味しかった。
「とても美味しかったです!次はお金を払って買いに来ますね?」
「おう!それとひとつ教えといてやる。嬢ちゃんは異邦人だろ?金が無いなら冒険者ギルドに行くといいぞ。こっから東にまっすぐ行ったところにあるからな!」
そう丁寧に教えてくれた。
「はい!ありがとうございます!」
そう言ってその場を離れる。
・・・しかし残念ながらトウカは方向音痴なのであった。
「東?東ってどっちだろ、こっちかな?」
と言って東ではなく西へ行こうとする。
それを見ていたさっきのおっちゃんが
「嬢ちゃん!そっちは東じゃなくて西だよ!東はあっち!」
と親切に教えてくれた。
「はい!ありがとうございます!」
こうして親切な人に会えるのも運がいいなぁ。
と思うトウカである。
そうして、言って東へ向かうこと少し…。
とても大きな建物があった。
扉の上あたりには冒険者ギルドと書いてあり、垂れ下がっている看板には剣と盾のマークが載っている。
ここが冒険者ギルドかな?
トウカはラノベが大好きでこういう時のテンプレって起こるかな!とワクワクしつつ入った。
中はとても広く、パッと見酒場のように見えた。
しかし、一部の場所には紙が沢山貼ってある。
その周りには何かを考えながら見てる人や紙を持って奥へ向かってる人もいる。どうやら依頼書のようだ。
そして、奥へ向かった人を見ると、何かのカウンターがありそこには受付してる人がいて、美しいお姉さんと、カッコイイお兄さんがいた。
どうやらここが冒険者ギルドであっているようだ。
私もそのカウンターへ向かう。
「すみません、屋台で肉を焼いてるおっちゃんに冒険者ギルドに行くといいと言われてきたのですが…。」
すると、美しいお姉さんが対応してくれる。
「初めまして!私はこのギルドの受付嬢のエリカと申します。」
「冒険者ギルドへの登録。という事で宜しいですか?」
私はとりあえず返事をしてみる。
「はい!」
そしてエリカさんが冒険者ギルドについての説明をしてくれる。
「それでは冒険者ギルドについての説明をします。」
「まず、冒険者ギルドとは全世界のどこにでもあり、大きな町ならほぼ確実にある国からは独立した機関になります。国とは協力関係にあり、冒険者にはギルドカードというものが発行され、そちらが身分証として使うことができます。」
「ただし、冒険者にもランクがありそのランクにより身分証としての価値も変わります。登録したからと言って全て信用される事はありません。」
「ランクについては下からF.E.D.C.B.A.Sとありそれより上は過去には存在したらしいですが今は無いそうです。」
「ランクを上げるためにはモンスター討伐にや、依頼完了で上昇する貢献度を溜めていただく必要があります。貢献度が溜まりしだいランクに見合った試験受けて頂き、それに合格したらランクがあがります。しかし、その人の表記、人柄が良いと認められない場合はランクを上げる事ができません。」
「パーティーを組んでいた場合のランクは個人のランクの平均値を切り捨てしたものがそのパーティーのランクになります。」
「以上で説明は終了ですが、ここまでで何か質問はありますか?」
なるほど…。よく分かんなかったけど、大丈夫だよね!
「はい!大丈夫です!」
エリカさんが何やらPCみたいなものを使って作業している。
なかなか雰囲気に合わなくて笑いそうになるのをこらえる。
「それではこちらに手をかざしてください。」
そう言われて水晶みたいなものを差し出される。
そしてそれに手をかざすと水晶みたいなものが光り、中からカードがでてきた。
うわぁお!さすがファンタジー!
「こちらがギルドカードになります。」
そう言われて渡されたカードを見てみる。
名前:トウカ
ランク:F
と書いてあった。なんか思ったより簡素だね…。
「これから討伐系の依頼を受けた場合、手続きがあるので受ける時にカードを提示して頂くこと。討伐数がこちらで確認できますので討伐完了後もカードをご提示ください。また、依頼とは別で素材も買取しますので討伐したら素材もお持ち下さい。物によっては買取しないものもあるのでご注意ください。」
「採取系や雑用系の依頼も同様に受注時に1回と完了後に1回ずつ提示してください。」
なかなかにファンタジーな設定だね!
と思うトウカである。
「これで説明は終わります。何か質問はありますか?」
とりあえず何かする度に受付に来たらいいってことだよね!じゃあ大丈夫かな。
「大丈夫です!」
とりあえず何か依頼でも受けてみようかなぁ
「あっ!何か簡単そうな依頼ってありますか?」
そう聞くとエリカさんが何やらゴソゴソしだす。
そして何かを取りだした。
「ではこちらをご覧ください。」
と言われたので確認してみる。
そこにはこう書かれている。
報奨金
スライム1匹 25G
ゴブリン1匹 50G
ホーンラビット1匹 25G
ウルフ1匹 75G
薬草5束 25G
「Fランクの方だと、ご案内できる依頼がため、こちらに載っているようなモンスターを討伐するか、薬草を納品していただく必要があります。こちらは通称、常設依頼と呼ばれており、常設依頼については受注して頂く必要はありません。討伐、採取後にギルドカードの提示と薬草の場合は薬草もお渡し下さい。また、ランクに上がるために必要な貢献度も溜まります。」
「FランクからEランクに上がるために必要な貢献度は100Pになってます。上記に載っている様なモンスターを討伐するとランクにもよりますが、☆1モンスターだと1体つき貢献度が0.5P溜まるので、この辺のモンスターだと最短で200体討伐する必要があります。」
うへぇー
ランク上げるのめっちゃ大変じゃん!
「わかりました!じゃあ早速行ってきます!」
そう言ってすぐにその場を駆けだす。
エリカはまだ話したいことがあったのか
「あっ!ちょっとまっ…あぁ行っちゃった…」
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