確認
領主・・・ざっくり言うとその土地の支配権を持っている結構偉い人です。
その人が目の前にいます。
マジですか!?
・・・ということはフレアさん、領主の娘さんと言う事ですか?
ええええぇぇぇぇぇ!!
やばいこのままだと私は犯罪者扱いということになります。そんなことになったら、ここに来れなくなるかも!
「どうした?」
フレアさんのお父さんがこちらを睨みながら聞いてきます。
謝った方がいいですかね?
い、いや嘘かもしれません、嘘だと言って欲しいです。
本当に領主様だったら終わりですがもう破れかぶれです!!
ここは勇気を出して続けましょう
「たとえ、領主であったとしてもガラの悪そうな男達とフードを被っている怪しい人達と一緒にいる人を、簡単に信じてフレアさんを渡すわけには行きません!!」
私の言葉に領主さんは驚いた顔をした後に手で顔を抑えて笑い出しました
「あはははははは!!」
ポカンとする私達をよそに領主様は笑うのを抑えて話始めました。
「そうか、すまない。そうだったな。お前たち、もういいぞ」
領主さんがそう言うとガラの悪い人達は首に下がっているネックレスを外しました。
すると外見が歪み、に身を包んでいる青年になりました。
「あの人たちは私の家の使用人達です」
フレアさんが顔を上げて教えてくれました。
「見ての通り、私の家の執事だ。変装のネックレスで姿を変えていたのだよ」
「では何故フレアさんを襲っていたのですか?」
「前々からフレアがそこの店に行きたいのは聞いていた。しかしこの店の場所は見ての通り裏通りにある。流石にまだ子供の娘を連れて行くには危険だと思ってね」
確かにこんな裏通りの店に連れ込むのは危険ですね。
・・・私もそうですね。
「フレアが家から抜け出したのは分かっていた。しかし私も仕事がある。そこで使用人に指示をして二組に分かれ一方はフレアから離れて監視してもらい、もう一方がフレアと直接接触する」
「それがそちらの人達ですか?」
「そうだフレアぐらいの年になると活発になるのは理解している。私もそうだったからな。しかし、だからと言ってそのままにしておくのはいけない」
「だからフレアが部屋から抜け出した時に、私は彼らに追いかけるときに変装のネックレスを使って接触するように言ったのです。彼らがそのまま話しかけようとすると逃げられそうですから」
なるほど?確かに理にはかなっているように感じます。
「本来ならフレアに接触して少し怖い演技をした後に正体を明かして、連れて帰る予定でした。しかしフレアは逃げてしまいあなたに会いました」
なるほど納得できます。けれども
「それならフレアさんに初めて会ったあの時に身分を明かしてくれればよかったのではないでしょうか?」
「それはあなたが善人である保障がありませんでしたから、あそこで正体を明かして人質に取られたりすると面倒ですから」
「本当はそこでフレアを連れて帰りたかったのですが、あなたに逃げられてしまったのです。そこでもう一方の方には監視の続行をするように指示しました」
「それで私達を監視しながら、機会をうかがっていたと言うことですか?」
「ああ、そうだ」
うーん、言っていることは間違っていないように感じます。
「なるほど・・・」
多分本当にフレアさんのお父さんのようですね
「フレアさん」
「何ですかアイビーさん?」
「あの人は本当のお父さんだと思いますか?」
「はい、それに周りの人達も知っている人です」
どうやら本当にお父さんの様です。
「えっと、本当にフレアさんのお父さんの様ですね」
「ええ、ですからそう言っています」
フレアさんのお父さんが少し不機嫌そうにしています
「・・・すいませんでしたぁ!!」
私はフレアさんから手を放し一歩横に移動してから頭を深く下げて謝罪する。
フレアさんは少し私とフレアさんのお父さんを交互に見て動きません
フレアさんのお父さんはその様子を見てこちらに歩み寄りフレアさんの頭を撫でた後に、こちらを見ました。
「大丈夫です。娘を監視していた使用人から報告は聞いているので、娘を案じて庇ったのは分かります。なので顔をあげてください」
「しかし・・・」
「エレア・・・フレアの母は、フレアを生んだ後に無くなりました」
急に話が変わったことに驚いて私は顔を上げました。
フレアさんのお父さんは少し嬉しそうな顔をして続けました
「監視していた使用人の話を聞いた限りフレアはあなたになついているようです。もしかしたらあなたにエレアの面影を感じているかもしれません」
「ですのであなたが謝罪するのは違います。」
「さて、もう遅いのでそろそろ我々は帰ります。フレア行こう」
「でももっとアイビーさんともっとお話がしたいです」
「しかしもう夜も遅い。今からお前と二人にするのは容認できない」
「でも・・・そうです!アイビーさん、家に来ませんか?」
フレアさんは手をポンと叩いて
「え?」
「まだアイビーさんとお話したいですしいいと思うのですから」
フレアさんが花のような笑みを浮かべて提案しましたが
「フレア、それは駄目だ」
フレアさんのお父さんに拒否されました。
「お前がどれだけなついていたとしても、素性を知れない人をいきなり家に泊める駄目だ。信用はできるとしても信頼はできないからな」
確かにそうですね・・・
でも私の正体は言ったら駄目ですし、言っても信じられないと思いますからしかたないと思います。
「でも・・・でも」
フレアさんは納得いっていないようで、ぐずっています。
今の言い分は大人なら分かりますが子供には難しい気がしますから仕方ないかと
「フレアさん」
私はフレアさんの目線に合わせる為に腰を落として向かい合います。
「フレアさんのお父さんの言っていることは正しいです」
「でも」
「それに今別れるとしても、また会えますから」
「・・・本当ですか?」
「はい、本当です」
私はフレアさんに笑いかけながら言います。
多分領主の娘さんなので簡単には会えないでしょうが、時には嘘が必要だとユッカさんが言っていました。
「約束ですよ」
フレアさんは涙目になりながらもこちらを見ながら言いました。
「はい約束です」
私は笑顔で頷きました。
「絶対ですからね」
そう念を押してからお父さんの下に戻りました。
お父さんはフレアさんの手を握って使用人に守られながら暗がりに消えていきました。
しばらくして馬車が走る音が聞こえたので帰って行ったようです。
私はフレアさんが見えなくなるまで手を振りました。
・・・さて私も宿に戻りますか。
・・・宿?
私は膝をついて地面をたたきました。
また宿をとるのを忘れていました。
ああああああああああ!!私の馬鹿ぁぁぁぁぁ!
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