作戦開始とそれぞれの思い

そんなこんなで悲しいことやハプニングとかありましたが、あっという間に作戦開始日になりました。


「さて諸君、今日も今日とていつも通りの外来種の駆除を始める」


転移課の部屋で一度深呼吸をしてから隊長は話始めました。


「今回は三人の転移者の駆除が仕事だ

名前は蒼汰、誠、拓馬だ」


「転移のタイミングを殺神隊と合わせる為、時間が少しあるので

それぞれ再確認のために内容をもう一度話そう

前にも話したように今回の仕事は二人、ペアで駆除してもらう

組み合わせは私とユッカ、ナギとセラそしてアイビーとバロックだ」


私達は5日前に聞いてはいたので驚いたりはしないです。


「よろしくお願いします。バロックさん」

「こちらこそよろしくお願いしますアイビーさん」


お互いに改めて挨拶をしておく


「これから作戦を再確認する。

私のペアをA、ナギのペアをB、バロックのペアをCと呼称する」


全体的な動きは前もって聞いています。


「今回の転移先はAは蒼汰、Bは拓馬、Cは誠とそれぞれの転移者の前に転移する手筈になっている

騎士団がいる場合は少し距離を取って転移するようにしてもらった

もし騎士団がいた場合は各自の装備使って潰すなりしてほしい

各個撃破でき次第連絡すること、何か不測の事態が起きた場合にもインカムを使って必ず連絡すること、一人で解決しないこと、給料と休暇は生きている者にしか支払われないので注意するように」


ここで隊長が詳しい作戦内容を言わないのはそれぞれ行動のペアで行動が違うからです。


持っている武器がバラバラなので全員が同じ動きは出来ませんから

予めお互いに話し合って動きを決めて、その後に隊長に報告をして隊長の意見とかを聞いて最終決定をしています。


「隊長、何故3人の転移者にそのペアで対応するのですか?」


ナギさんが手を挙げて質問しました。


「ナギ達が相手する転移者は後方からの魔法攻撃や、搦め手を多く使う転移者のようだから場数をある程度踏んでいるナギと後方で冷静に戦場を見ることのできるセラを組ませた。

バロック達のペアの相手は、力押しが得意のようだから奴の攻撃に対応できるバロックと周りの騎士団の対応にアイビーを選んだ。

残りが私とユッカだが・・・

この転移者は少し問題がある可能性があるから私達が対応するのだ」


「分かりました」


隊長は頷いた後に


「では諸君、これより外来種の駆除を開始する」


隊長がそう言って転移が始まりました。





俺は3つの騎士団の内の第一騎士団の一番先頭に立っている。


第一騎士団が俺、第二騎士団が誠、第三騎士団が拓馬だ。


俺はその第一騎士団の戦闘に立って、フルフェイスの兜の隙間から空を見上げながら物思いにふけっている。


あの後時間が空くたびに地下図書の記録を見てみたけど、結局何も分からないまま戦いの日になってしまった。


リース様は誠の後ろにいる。


あの後、誠の言うことが取り消すことが出来ずにリース様を戦場に立たせてしまった。


最近はずっと謝ってばかりいたなぁ・・・


自分の力不足に謝って、あの二人のことに謝って、そのたびに励まされてここまで来たなぁ


振り返ると本当にいろんな人に支えられてきたと思う。


そう思っていると背中を誰かに叩かれた。


「なーに辛気臭い顔してるんですかソータ殿」


騎士団長がそう言って隣に立った。


「騎士団長。いえ、少し今までことを思い返していまして」


「そいつはいけない、戦の前に昔を思い返す奴は大体、戦で死んでしまうことが多いからあまり考えない方がいいんですよ」


「は、はあ」


「ところでリース様の事はどうお思いで?」


「へ?リース様ですか?尊敬の念が大きいですね。命を懸けて尽くしたいお方です」


そう言った後に気が付く


あ、これあれじゃん俺が姫様に気があるか聞いているってことじゃね?


そう思って考えてみるが、やっぱり俺にその気はないと思った。


この気持ちは恋と言うより忠誠心とかだな


「・・・へぇ、そうなんですか」


「ええ」


「姫様も気の毒ですな」


そう団長が小声で言ったのを聞き逃さなかった


・・・・え?


えっとリース様、俺に気があるの?マジで?


え、告られたらどうしよう


俺は腕を組んで考え始めた。


そう言えば記録に召喚した勇者と姫様が結婚している記録があるな。


・・・えっとどうしよう、断ったらその後の関係がギクシャクしそう


でも自分はリース様の事が好きですがloveではなくlikeの方なのでちょっと返答に困りまるなー。


・・・ほんと、どうしよ


「あーソータ殿、話を振った私が悪いのですが、そろそろ気持ちを切り替えてほしいのですが」

「え?あ、はいそうですよね!敵が来ますもんね

考え事はその後にします」


そう言って頬を叩こうとしたが兜に当たってしまった。


・・・そうだ兜かぶってたんだった。


「ええ、そうした方がよろしいかと丁度来たようですし」


そう言って団長は剣を抜き正面を見る。


前方の空間が歪み中から二人組の男女が姿を現した。


「モラン王国勇者、星空 蒼汰です」

「モラン王国第一騎士団 団長 アレックス・ハーカ

そちらの名前を聞いても?」


二人は顔を見合わせて少し驚いた顔をしたあとに、こちらを見て武器を取り出しました。


「異世界転移・転生対策課 第753部隊隊長 シェフレラ」

「同じく753部隊所属 ユッカっス」

「言っていることがおかしく感じると思うが一応聞いておく抵抗せずに死んでくれないだろうか?」


確かに言っていることはおかしく感じるが、言おうとしている事の意味は合っている。


「本当なら抵抗せずにあなた達に従おうと思っていました」


「今は違うと?」


「ええ、死なないで欲しいと言われましたので」


そう言って腰の剣を抜いて構えました。


「そうか、ではこれ以上は何も言うまい

ユッカ、私は勇者の相手をしよう。残りを頼んでも大丈夫か?」


「大丈夫っスよ。そう言うと思って装備を変えときましたから」


「そうか、世話をかけるな」


その二人の会話を聞きながら作戦通りになっていると思った。


俺と隊長の後ろにいるこの第一騎士団は戦わない


俺と団長が負けた場合ともしかしたら城に攻めてくる場合を考えての足止めと報告を行う為にいる。


そちらに幾分か意識を持って行けたのなら助かる。


「ソータ殿」

「大丈夫です団長は男性の方をお願いします」

「分かりました」


だったら一緒に戦えよと思うかもしれないが大人数で出た場合は騎士団の人も戦いますが、少数で来たら団長と俺で対応する予定でした。


少人数の人を相手に戦うような訓練は行っていませんから、邪魔になるだけなので今は俺と団長だけで戦います。


「そちらの話は終わりましたか?」


女性の方が聞いてきた。


どうやら待ってくれていたようだ。


「ええ、大丈夫です」


そう言って女性の方を見ました。


「そうか、では・・・行くぞ!」


そう言った直後に二人が地面を蹴ってこちらに切りかかってきた。

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