アイビーと騎士団員と隊長

「ここが今回のって、うわぁぁ!!」


転移完了して周りを見る間もなく急に体が重くなり、落下し始める。


「あああぁぁぁ!!落ちるぅぅぅ!!」

「落ち着いてください。私達の肉体はいつも普通じゃないのと戦うために、普通の生き物よりも丈夫に作られていますから、このくらいの高さなら着地に失敗しても、膝に軽い痣ができるくらいですむから、それよりも絶縁シート着地と同時に展開できるように準備しといて。」


「何でナギさんはそんなにも落ち着いていられるんですかぁぁぁぁ?!」


「だっていつも理不尽が服着て殴ってくるような奴らと戦っているし、それに比べたらこのくらい・・・ね?」


そう言ってナギさんが悟った顔をしました。


えぇ・・・・


そうこうしているうちに地面が近づいてきていたので、私は急いで着地の姿勢を取り絶縁シートを広げながら着地をしました。


周りはフルプレートの鎧を身にまとった騎士たちで埋め尽くされていました。


私達の着地したところには騎士がいなかったので、予めこうなるように配置されていたのでしょう。


「セラさん以外は絶縁シートを広げて準備、セラさんはコレダーを展開開始」

「りょうか~い、アウェイキング!!コレダー!!」


セラさんがそう言うと、セラさんの足に装備してある円錐系の装備が展開して、中から左右それぞれ6本計12本の針のようなものが出て電気を帯び始めた。






皇帝陛下の言ったとおりに敵が真上に現れた。


しかしクーティ様の未来予知により既に対策はされている。


あいつらの真下に騎士を配置せず空間を開けて、そこを陛下の魔法で落として俺たちが倒す。


魔法も斬撃も陛下の付与した魔法の効果でほとんど効かなくなったオリハルコンの鎧と、ミスリル製の剣と盾を装備した我らが騎士団は、この世界でも上位に入る力を持っている。


この装備ならあのドラゴンであっても戦い、勝つことができる。


敵は陛下の魔法で騎士団が配置されていない空間に落ちた。


「全軍突撃、敵を殲滅せよ!」


団長の号令が聞こえ、全軍が目の前の敵を抹殺せんと前に進み始めた。


敵は布を広げ一名を残し布の中に隠れた。


残る一名は足に装備してある魔道具らしきものを使い、雷撃の魔法を発動しようとしている。


無駄だ、どんな魔法も陛下の魔法耐性付与で効かない。


接近しつつ抜刀し一番近くにいる敵を殺そうと剣を振り上げた。


その時

「テーザァァァ!!コレダァァァ!!」


敵の魔道具が発動し、稲妻が団員の間を駆け巡り衝撃が走った。


魔法が効かないはずのオリハルコン製の鎧を無視して体に電気が流れる。


体が思うように動かずバランスが崩れて倒れる。


全身が痺れ、体が思うように動かない

何とか眼を動かしフルフェイスの兜の隙間から周りを見るが団員はみんな残らず地面に伏している。


何だ!何が起きた!!


そう思っている俺に声が聞こえた

「ナギさん終わったよ~」

「了解しました、お疲れ様です。ユッカさんとバロックは周りの警戒、動きそうな奴、動けそうな奴が出てきたら気絶させなさい」

「はい」

「了解」

そう言って布を被っていた敵が出てきて、指示を出し動き始めた。


「これがセラさんの新装備のコレダーですか。すごいですね」


「そうね~歩きにくいのが欠点だけど威力は申し分ないわ~

創造課の室長、ちゃんと殺さないギリギリの威力に調節されているね~」


「しかし騎士団全員が見事に麻痺していますね」


「彼らにとって電気等を使う攻撃は魔法や魔道具を使っての攻撃しか知りませんから、それならばと魔法を使わない装備を使ったのです。

ファンタジーな相手やファンタジーに染まっている相手には有効です。」


「そうなんですね」


「それよりも、次はあなたの番よ。

背中は守ってあげるから安心して仕事しなさい。」


「は、はい」


そういって敵の一人が大きく長い物を構え何かの準備をし始めた。


武器か何かだろう。


何かは分からないけど阻止しないと、だが体が動かない。


クソォ!!


俺は心の中でそう叫ぶしかなかった。






私が転移者のいる場所の後ろの地点に転送されたのとほぼ同時にセラの攻撃が発動した。


セラの装備からだと思われる攻撃を遠くに見ながら、私は行動を開始した。


セラからの電撃で奴らの注意は向こうにそれていて、こちらに気が付いていない。


座標どおりに転送されたことに感謝して私は一番近くにいる奴の嫁の一人であるクーティに近づき、首を絞めて気絶させた。


そのまま手を離し抜刀し奴に一撃を与えるために走り出したが、

「秋斗さん!!」


奴の嫁のうちの一人が私に気が付き、名前を読んだことで奴がこちらに気が付き攻撃を躱した。


だが今の不意打ちで私を警戒し、私に注目するだろう。


現に奴の嫁たちが私を囲い始めている。


「やはり不意打ちでは無理か」


すぐに追撃はしない、奴と会話し挑発することでこっちに注目させる。


「何者だ」


そう言いながらも奴はこちらを見ていない。


目線かすると、先ほど気絶させた奴の嫁を見ているのだろう


「何者か・・・名乗るつもりはない、これから死ぬ相手に名乗るほど酔狂ではない」


「そうかよ」


言葉を言い終わるか終わらないかのあたりで、奴はリボルバー銃を抜き発砲しようとした。


もう少し会話をして、こちらにのみ注目してほしかったが仕方ない、左に低く飛びつつ周りを囲んでいた奴の嫁が後ろになるように移動して奴の遠距離攻撃を一瞬封じて、戸惑って動きを止めた奴に近づき攻撃しようとするが


「秋斗に近づくな!!」


奴の嫁が近づいてきて剣を振るってきた。


私は後ろに跳ぶとタイミングで後ろから呪文の詠唱が聞こえてきた。


呪文が聞けると攻撃のタイミングとかどんな攻撃なのかを教えてくれるのでとても助かる。


そう思いながら後ろから来た魔法と弓矢の攻撃を跳んで躱し、先ほど攻撃してきた奴に当てようとしたが躱されて当たらなかった。


しかし弓矢もあったのか放つタイミングが一緒でよかった、先に弓矢を放たれていたら少し危なかった。


しかしこれで奴らは同士討ちを恐れて迂闊に遠距離攻撃ができないだろう。


奴らが今まで戦ってきたのは、体の大きい巨大な魔獣や、数の多い魔獣や軍隊などであり、今のような状況つまり同じ大きさ相手に対しての、多対一の戦闘には慣れていない。


これにより奴らの動きが少し鈍くなっている。


巨大な魔獣の場合は威力の高い魔法を放っても躱すことはないので周りにあたることがなく

数の多い場合、全員が背中合わせにしたり同じ方向に攻撃する場合が多いので、味方にあたるようなことがない。


それに比べてこの状況は下手に魔法を撃っても躱され味方に当たる可能性があり、一人を囲っている時点でいつも戦っているであろう、魔獣に対しての対応では通用しない。


魔法と弓矢で攻撃してきた相手を攻撃しようとしたが、奴が足元に向かって銃を撃ってきたので躱す。


構えもなっていなく、しかも片腕で撃っているので照準とか滅茶苦茶なのに確実にこちらに向かってくる。


包囲の中心に着地しつつ考える。


今ので誰か一人くらいは気絶させたかったが、無理は禁物だ。


とりあえず作戦通りにしていこう。


そう結論し、私は攻撃を再開した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る