第6話 学校便り

 先生がポストに入れていった封筒には宿題や担任の先生のお手紙の他に学校便りが入っていた。そこには休校延長と今後の予定の他に私達子どもに向けた校長先生のメッセージも印刷されていた。


「カクヨム小学校のみなさん、こんにちは。

学校のお休みが長くなっていますが、皆さん一人一人が元気である事を信じています。

コロナウィルスに感染しない、強い身体をつくるために必ず次の事を守ってください。


1.外出から帰った時や食事の前には丁寧に手を洗いましょう。

2.外出やお家の人以外と会うのは避けましょう

3.栄養をバランスよくとって、早寝早起きをして規則正しい生活をしましょう

4.毎日、体温を計りましょう


カクヨム小学校からは絶対に感染者を出さない!


校長先生は願っています。」


特に最後の「カクヨム小学校からは絶対に感染者を出さない!」の部分は太字で強調されていた。

 私は封筒を開けて直ぐにお母さんと、この文章を読んだけど、こないだのお父さんの話しを思い出して、おかしいなぁと思った。だって完全に感染を防ぐ事はできないみたいな事をお父さんは言っていたから。

 お母さんの顔を見ると、お母さんはなんだか怖い顔をしていた。でも、私と目が合うと少しだけ笑った。そして言った。

「へんだね。」

私がうなづくと、お母さんは満足したような顔をした。

「あなたはお父さんの話しをちゃんと聞いて理解していたんだな。だから校長先生の手紙を読んで"へんだな"と思えた。えらいぞ」

お母さんは時々"アニキっぽく"なる。これはお父さんの表現だ。お母さんが"アニキっぽく"なるのは大抵は嬉しい時と、何か楽しいイタズラを思い付いた時だ。

 私は"アニキっぽく"なったお母さんが好きだし、今回はその理由が自分だと思うと嬉しかった。

「校長先生は、"自分は感染しない"と思ってるのかもしれないな。ここに書いてある事を守って生活していたら絶対に感染はしないと思っていて…だからこんな事『カクヨム小学校からは絶対に感染者を出さない!』なんて書いちゃったのかもしれないな。うん。」

お母さんは、そういうと、やっぱり"アニキっぽく"笑うのだった。

これは、何か企んでいる時の顔だ。

私はなんとなく、そう思った。

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