第5話 モニターの先生
4月も終わり近く、学校の休みが5月も続いてしまう事が決まった。
月曜日の午後、お母さんの仕事はお休み。お昼ご飯は2人で一緒にパスタを茹でて食べた。ソースはレトルトだけど、ミートソースの味が私は大好き。1袋で2人分だから、お母さんと2人でちょうどいい。お婆ちゃんはあまりパスタが好きではないから、お母さんと一緒の時にしか食べられない。
食べ終わって、そのままテレビを見ていたらインターホンがなった。
「こんにちは」
モニターに写るスーツ姿の男性に少し考えた。誰だっけ…?
「今日は学校のお便りと、宿題用に新しいプリントを持ってきました」
そこで、やっと気がついた。担任の先生だった。4月から転任してきて始業式の日の訪問の一回しか会ってないから、すっかりその顔を忘れていた。
「はーい。今、開けます」
と返事をした私がオートドアの開場ボタンを押そうとしたら、先生は慌てたように言った。
「あ、大丈夫。ポストに入れさせてもらうから」
へ…?家庭訪問じゃないの…?
「あ、じゃあ、こちらから降りていきますから、少しお待ちください。」
いつの間にか私の後ろにいたお母さんがモニターに言った。すると先生
「あの、学校から対面はしないでポストに入れて回るように指導されてますので…」
とモニターに礼。
「それでは、失礼します」
先生は分厚い封筒を持ってモニターの画面から消えた。
私とお母さんはお互いの顔を見合わせて…
次の瞬間、2人で玄関から出て手摺り越しに下の駐車場をみた。
「先生〜!」
それらしい後ろ姿を見つけて手を振る。先生は振り返って手を振ると去っていった。
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