第16話 やるしかない!

少し離れたところに 職場はあった。自転車での通勤。病気のため車の運転を禁止とされる。29日 入社試験決定! 入社が決定したも同然だった。上手くいけば夜勤専従だろう

夜勤手当がプラスされ 何より嬉しいのは

利用者さんとの個別の会話。これから梅雨がやってくる 雨具とは無縁の菜々子は自称 晴れ女だったが梅雨には勝てない。


自転車で通うのも[雨が降ったら打たれればいい]やる気に満ちていた。雨が降ろうが槍が降ろうが 通ってみせる!

利用者さんが心を開いてくれると言うのが

菜々子の唯一の強みだった。

人間関係も上手くいくと自信があった。

疲れた心を癒すのは他でもない 働けるという体力。今まで乗り越えてきた数々の壁が

消え去ろうとしている。


成功するんだ!そんな気持ちになれたのも

支えてくれた人がいたからだろう。

思い立ったら即 行動!それが菜々子だったが決してせっかちなわけではない。

強いていうならば冷静な方だろう…仮眠時間は書類上のものであり コールが止まらないことは覚悟していた。


入社試験まで後4日。その間 入院中の祖母を外泊させられないか病院に相談してこようと考えていた。

アルツハイマーの祖母は私を覚えているだろうか…包括の人に頼んで 連れてこようと思う。祖母のようになると同じ説明を1分置きに話さなければいけなくなる 慣れたもんだ。15年間 菜々子を育ててくれた祖母。

祖母と解りやすく書いているが 実は養子縁組によって祖母ではなく母という存在だった


歩けなくなった祖母…

少しの間だけでも たくさん話をしよう。

ヘルパーを頼み残り時間を ここで過ごしてもらっても構わない。「おばぁちゃん 明日

行くからね」迎えに来るからと 早く伝えたかった菜々子は仕事が始まれば また会えなくなるという事実を受け止めた。

誰かのために生きる菜々子 この先もきっと

同じだろう。


そんな菜々子の気持ちとは…


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