第10話 奇跡

2016年秋…

いつものように病院へ…医者はレントゲン写真を観ながら何も言わない。

「どうでしょうか?」菜々子は不安げに聞く


…医師は 間を置いて語り出した。

「影が どこにも見当たりません」と。


奇跡は起きた!良かった・・・頑張った!

2人で頑張ったという達成感にも近い気持ちに嘘はなかった。

そして菜々子は台所を後にした 風の便りで今でも元気でいることを聞いた。

生きてくれてありがとう 懐かしい想い出と変わった日々…。


そして菜々子の通院が開始され 医師は…

しどろもどろ話し出す。

「大腸癌が肝臓に転移してるみたいですね」

菜々子は「そうですか」と答える。

もう いいんだよ。私も頑張ったから もう

病院には来ないだろう・・・。


そう決めたが 検査の予約を入れられる。

それでも菜々子は行くことはなかったのだ。

菜々子は自分のために生きられない人間…

誰かのためにしか生きられない人間…


そして1年後…奇跡は再び起きた 医師は言う「腫瘍はどこへ隠れちゃったかな?」と

MRI検査で確かめ 大丈夫だろうと告げる。

娘も「ママは後どれくらい生きられるんだろうね」と言ったが 「ママが死ぬわけないじゃん!」と答えた その言葉は自信に溢れていた。


そこから暫くは元気に仕事にも復帰し 頑張っていた。


もしかしたら私は何か意味があって生きているのかもしれない。

逃げたくなる事も たくさんあった今でも逃げ出したくなることもある。

生きているに意味を考えず 真っ直ぐ素直に生きていこうと 誓った何度でも何度でも

どれだけ苦しくても生きるんだ!生かされているんだ!


それでも菜々子の 報われない想いとは…

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