第3話 菜々子の入院
酒を浴びたはいいが…一生治らない病気に
[急性膵炎]からの[慢性膵炎]入退院を繰り返さなければいけなくなった菜々子は、
感じたことのない痛みと戦っていた 心とは裏腹に・・・「これで もう呑まなくていいんだ!」解放感に溢れていた。
好きで呑んだ酒ではなかったが 義務的になっていた事実。さよならアルコール…
菜々子のかかりつけ医とは26年の付き合い
若い頃から診てもらっていたベテラン医師だった。そして入院中 トイレへ立ったその瞬間 スーッと気持ちよくなり意識不明。
大動脈瘤破裂 日中の院内だったので助かったが 自宅からピーポーだと間に合わないとのことだった。5ヶ月の入院期間に5回の手術 いずれも緊急手術となっていた。
ベテラン医師の名付けた病名は[不死身]
笑い事じゃない!幾度となく 入退院は繰り返され 生命の危機に晒された。
あの時って何度も思った!未だ思うこともある。生きていることが悪いことのように感じることも…いつでも真正面からぶつかっていく菜々子は疲れ しぶしぶ働く人生。
腹中のステントやクリップが外れたら いつ
再出血してもおかしくないと宣告され10年以上。その日を境に精神科を受診。
睡眠障害からくる鬱病と診断 薬は処方されず 精神病ではなく神経の問題だからと…
そして過呼吸発症 今度は不安発作か!
それでも仕事には行っていた市からの援助もあり 何とか生き延びていたが そこまで自分自身を追い込んだのは 婚約者に先立たれたからではないかと…
少し話が抜けているが 遠距離恋愛に至るまで精神科病棟で知り合った 2つ上の彼だった。退院してから 派遣会社で職場も転々としていた彼も仕事に疲れ 電車に飛び込んで逝ってしまった。
ボロボロの菜々子の人生は 更に12年の月日を経て 逝ってしまった彼の遺影を見ることは出来ない。いつも いつも 1人になるという[ぼっち人生]これが運命なら仕方ないだろうなんて思えたらいい そんなバカな…
職業は伏せておくが 生まれて持った優しさや強さが活かされる やりがいのある仕事。
人間は…何故 楽しかった思い出は語らず
辛かったことしか思い出せないのだろう…
そんな菜々子から娘が 離れていくとき…
「元気で…」その言葉が精一杯だった。
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