第2話一見識だけで判断すると危険だ

空は青い。


 大きく広がっている青の中で、嬉しそうに旋回しながら鳥たちは飛んでいる。

バサバサバサ。

そんな音が聞こえそうになるほど翼を大きく羽ばたかせている。

 「鳥はいいなー学校無くて」

 俺がこうやって学校をさぼっている間にもあの鳥はいつも通り優雅に空中飛行だ。オーラの授業を受ける必要もなく空を飛んでいる。俺は学校へ登校することに飽きてしまったのに、いつも飛んでいて飽きないのだろうか。たまには歩くだけの一日を過ごしたいと思わないのだろうか。

                               

 「グワ~グワ~」 

                   

            

 黒い鳥は昨日と同じように雲へ消えていった。鳥が消えるのを見届けて、瞼をゆっくりと閉じた。


——俺の夢はいつも不思議だ——

      

瞼を開けると、俺の前には幅の広い白線がある。その白線は歩幅より大きい等間隔でいくつも並んでいる。間隔が大きすぎるせいで白線の連続がどこまで続いているかは把握しきれない程だ。ただ、終わりが見えない故の怖いもの見たさというやつであろうか、白線の上だけをトン、トンと歩いて白線のおわりまで行ってみたくなった。

「えっ、ない」

 目の前にある白線まで飛ぶ方法を考えていたときに気付いてしまった。白線部分以外には立てないことを。歴史の教科書で見た昔の道路のように白と黒の歩道であるのに、黒色部分では立つことができないのだ。危険だと感じ、後ろを振り返っても後ろも同じ白色と黒色が並んでいる。そして恐る恐る俺は自分の足元をみると、どれよりも幅の狭い白線の上に立っていた。


 「走れ、走れ」


 どこからか聞こえた声に驚き、俺は黒色の部分に突っ込んでいってしまった。

 

瞼を開くと目の前にはミカンの顔があった。

「どうしたの?そんな顔して。」

「しゅーくんのせいでしょ」 

「へー。太ったね」  

「下から人の顔見上げているからそう見えるの」

 そういってミカンは俺の首元を引っ張って無理やり起こした。

「学校来なさすぎなの。登校曜日ぐらいわかっているよね」     

「ボク、ムズカシイコトワカラナイ~」 

「2日しか会えないんだから学校に来なよ」

 ミカンから赤いオーラを感じる。学校に行ったら何があるか聞くと、ミカンのオーラは弱まっていった。ミカンは俺の細くなった目を見て、なんかバカにしているでしょと桃色の頬で俺を叱った。

「学校は来るところなの。水曜日と土曜日」

 学校に行って何の得があるか聞くと、精一杯の笑顔を作って「私と会える」と自信満々に言い放つ。そのとき彼女のオーラはまだ習ったことがない色で俺には彼女の気持ちがわからなかった。            

 「じゃあ行くか」 

 「ほんと!?じゃあ次来てよ」

 「今から、ね」

 俺とミカンは授業終わりの学校へ行くことに決めた。

            

                     

                                

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