オレンジ色のドラゴンに乗って色々と学んだ

僕に才能はない

1章:始まり

第1話つまらない日々には柑橘系がちょうどいい

緑が広がっている。


どこまで見渡しても終わりが見えない。所々で木がうねっていて、生える真緑の葉の上ではひな鳥と親鳥が鳴いている。木の下にはオレンジ色の木の実が沢山転がっている。


ここは草原という言葉が似あう。


だから、俺は今ここで寝転がっている。ザーザーだったり、ピーピーだったり色々な音を聴きながら涼しい風を感じられる。学校に行かないで時間を潰すには最高の場所だ。 

「グワ~グワ~」 

空を見上げると雲を遮るように大きな鳥が飛んでいる。青と白と黒。おもしろい。


「しゅーちゃん!またここ!?」 

                 

最悪だ。 

ゆっくりと足音が近づいてくる。草がクッションになって優しい「トントン」という音が近づいている。黒い鳥は優雅に空を飛んでいるのに、足音は次第に大きくなり俺の足元で止まった。               

「来なよ。学校」 

「いや」  

「あのね……」  

「いやだ~」 

俺は立ちあがり、頭上を飛ぶ鳥にバイバイと告げ、走り出した。   

——ミカンを撒き大通りにたどり着いた——

ここら辺は向こうが見渡せないほど入り組んでいる。どれだけ走っても景色は変わらない。右を見ても左を見ても朱色のコンクリートで出来た壁に窓が1つ付いた家しかない。どの壁からもコトコトとした生活音やワラワラとした子供たちの笑い声が聞こえてくる。違いと言えば家のえんとつから煙が出ているか否かの違いしか存在しない。くねくねとした家が楽しそうに建っている。


 「やっとついた」


自分の家までの道でもかなり時間がかかる。やっとついた家のドアノブに手をかけようとすると汗がジワジワと全身から溢れてくる。ドアノブから扉に目を移すと黒いことに気付いた。ドアノブから黒いオーラが漏れていることに気付いた。

 

「やっべ、ミカンもういるのかよ」   


俺はまた草原に引き返した。




 

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