俺は上級生達と戦う。1
今週の授業がやっと終わり、俺は今休日を
自室で過ごしている。
部屋にある本を読んで久しぶりに構築図や付与
魔法の勉強をしている。
やはり、この学校で習うことは俺一人では
出来ないことなので話を聞いていても
意味がないのだ。
放課後などに色々実験してみたが、たくさんの
ことが分かった。
まだ、紹介していなかったがどの眼の色の人達でも使える、基本魔法というのがある。
大まかに言えば、身体能力の底上げなどが
基本魔法で出来ることだ。
この魔法は、使えるか試したところ唯一共通
して使える魔法だった。
このことを発見出来たのは物凄く大きいことだったが、やはり直接相手に干渉する魔法ではないので使う機会は少なそうだ。
眼に使えば、見えないところなど見えたり、
脚に使えば、脚力や走力が上がったりする。
暮らしているときの延長線で使うことが多く
なるかもしれないな。
使えないことを考えていてもしょうがない。
俺はこの考えに結論付け読書に戻ろうとすると
「おい!てめえ邪魔すんな!」
「うるさい!弱いものいじめしか出来ない
お前に指図する権利など無い!」
外から罵声や言い争いが聞こえる。
なんだか毎回毎回読書の邪魔をされている
気がするな。
俺は様子を見るべく、部屋を出ることにした。
☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇
部屋から出た俺が見た光景はこうだ。
廊下には五人ほど人がいて、この前聞いた
問題児のモーヴェと後ろに二人ほどの男。
そして、ひ弱な男子をかばう格好で立っている
男。
この状況からするに、モーヴェ達三人にいじめ
られていた生徒を庇ったというところだろう。
確か、全員同じクラスだった気がする。
この前クラスの人達にモーヴェ達には関わるな
ということをいわれていたので、出来る限り
関わりたくないが、ここで放っとくというのも
目覚めの悪い話だ。
一応話を聞くことにしよう。
「おい、そこで何をしている」
「ああ?!新入生は黙ってろ!俺の邪魔をする
といっただろうが!」
「叫ぶことしか出来ないのか。
俺は今お前のことを聞いてるのではなく
この状況について聞いているんだ」
「なんだと!舐めた口きいてんじゃねえ!」
モーヴェが殴りかかってくる。
やはり馬鹿な男だな。魔法も使わないで殴ろう
としたところで尾前のスピードじゃあ当たる訳
がないだろう。
俺はさっと避け、足を引っかける。
まっすぐ勢い良く走ってきたモーヴェは
そのままゴロゴロと転がる。
「ぐぁっ!」
「おい!大丈夫か!」
モーヴェの仲間らしき奴らが近づく。
たかたが転んだぐらいで大袈裟な奴らだな。
基本魔法を使ってやり返さなかった俺を
褒めてほしいくらいだ。
「てめえ!俺を怒らせたな…!
おいおめーら!こいつを囲え!」
モーヴェの命令で俺を囲う。
どうやらこいつらはモーヴェの手下みたいな
ものでいちいち律儀に命令を聞いている。
「おめーら!こいつを殺せ!」
モーヴェの命令で全員一斉にかかってくる。
少し基本魔法を使おうか。
そんなことを考えていていたところで。
「ぐぁっ!」
「痛っ?!」
「ぐほっ!」
いきなり三人が吹き飛ぶ。
そこにはさっき生徒を庇っていた奴がいた。
どうやら基本魔法で身体能力を上げ、一瞬で
三人やっつけたらしい。
「て、てめえ!邪魔すんな」
「邪魔されたくないのなら我々に関わらず
そちらも邪魔するな!」
「糞が…!本気で俺を怒らせたな…!
てめえら後で全員グラウンドにこい!」
「なぜ、行かなければ行けないのだ。
お前が関わらなければ済む話だろう」
「来なければまたそいつをいじめるぞ」
「くっ!……分かった」
「俺達は先に行く。逃げるんじゃなえぞ?」
そう言って三人は去っていく。
やれやれ、どうやら面倒事に引っ掛かって
しまったらしい。
「あ、あの…二人ともありがとう」
「気にするな。あいつらが悪い」
「俺はなにもしていないがな」
さて、今すぐ部屋に戻りたいが、この生徒の
平穏を保つためには行かなければならない。
「そういえば名前を言っていなかったな。
俺はゴーウェンだ。お前は?」
「ノイルだ。ところであいつらとは
グラウンドに行って何をするんだ?」
「魔法勝負だろう。一対一で戦えて尚且つ
手っ取り早くて良い」
「誰が戦うんだ?お前が戦うのか?」
「俺が勝手に首を突っ込んだ事だからな。
俺が出て当然だろう」
「そうか」
それなら都合が良い。俺も目立たずに済むし、
あいつらの行動も一時的に抑える事が出来る。
「そうと決まれば早速行くぞ」
「ああ」
俺達三人はグラウンドに向かうことにした。
魔王に殺されたらいきなり転生して過去に戻った件~助けられなかった仲間を今度こそ助ける~ @1ya12ma2to
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