俺は悩む

「はあ?」

「住む、ですか?」

「うん、そうだな。

 それが一番効率が良いと思ってな。

 ノイルやサファイアさえよければ

 住んでも良いと思うが」

「俺は構わんが」

「私も大丈夫です…」

困ったな。どうやら構築図の勉強や、魔法学校

での大会での結果などで未来が変わってきているっぽいな。

本来ならそもそもあそこでサファイアと会う

はずじゃなければ関わることもなかった。

小さな事柄では変わらない未来も、人の未来が

関わってくればそうもいかないらしい。

だが、最終的に仲間となり、またあの四人で

魔王と戦えればいいのだ。

そこの未来が変わらなければそれ以上の

ことは望まない。

「寝床は、二階にもう一部屋あるし、

 飯もちゃんと出すから安心してくれ」

「本当にありがとうございます…!」

「ノイル、手出すんじゃないよ」

「出すか!」

この女は何を言ってるんだ。

俺は幼女に興味は無いんでな。

未来が変わっても困るし。

「けど、どうしよう……」

「ん?どうかしたか?」

「う、ううん!大丈夫だよ!」

「そうか」

まあいいか。これからは容易に未来が変わらないように細心の注意を払って過ごすとしよう。





☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇





「学校?」

「はい………」

今は、フォードが作った飯を食べている。

どうやらあの魔法学校にサファイアは通って

いるらしく登校方法を考えているらしい。

以前は、親や側近の人達が色々手配をしてくれていたようだが今は状況が変わってしまっているからそうもいかない。どうたものか。

「ノイル、あんたまだ完全に魔法学校の件

 決めた訳じゃないよな?」

「ああ、そうだな」

どういうことだ?それと今のことが

なんの関係がある?まさか………

「あんたも、入って一緒に行きな。

 そうすれば解決だろ」

「いやいや、まてまて。ここから通うには

 費用がかかりすぎるだろ」

「魔法学校には寮があるらしいよ。

 それにあんたはスカウトされたんだから

 そこら辺は免除だろ?」

「確かにそうだが……」

別に学校に行きたくない訳ではない。

寧ろ、自分の実力を上げられて、強くなる

ことも出来ると思っている。

だが、大半は筆記の授業になるだろう。

そうすれば、必然的に行く意味が

無くなってしまう。

「サファイアちゃんは寮でも大丈夫?」

「は、はい。通えればなんでも……」

「おいノイル、早く決めな」

面倒くさいな。仕方ない。

「分かった。俺も行くことにする」

面倒事を引き受けてしまった気もしなくは

無いがこの際しょうがない。

「ところが、いつから行くんだい?」

「俺はいつでも良いらしい」

「私は、出来る限り早く行きたいです…」

優勝したその日に色々な説明をされた。

どうやら、あの魔法学校は、十八歳まで在校

出来るようだ。

いつでも入れる校風は、魔術師達の育成や、

街を守るためらしい。

だが、サファイアに聞くとスカウトから入って

きたもの達は、外部生と区別され、内部生からの印象は悪いとのこと。

それはそうだろうな。必死に勉強して学校に

入ったというのに、魔術師としてのセンスなど

で苦労もせず、学校に入られたら少なくとも

良くは思われないだろう。

誰しもサファイアみたいに気にしない奴らだけ

ではないのだ。

「じゃあ、アタシが明日都市の学校に行って

 手続きしてくるから、いつでも行けるように

 二人は準備しときな」

「はい!」

「分かった」

いつでも行けるように準備はしとくか。

学校生活は目立たず平穏に暮らしたいな。

そんなことを考えながら俺は今日も

勉強に励むのであった。





☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇





あのあとフォードが色々な手続きをし、俺達は

今、学校に向かっている。

学校は、年代で別れていて、下から十二歳まで

がAクラス、十三から十五までBクラス、十六から十八までがCクラスとなっている。

そして、十八の時に卒業試験があり、それを

合格することで卒業出来るというシステムだ。

俺は編入という扱いになるが、クラスごとで

違うのでAクラスだけ紹介らしい。

まあ、噂程度は流れるだろうがそんな些細な事

をにしていてもしょうがない。

「着きましたよ」

「ああ、今行く」

どうやら着いたようだ。

相変わらずでかい学校だ。

俺は意気込みも早々に学校に向かうのだった。





☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇




「じゃあ、今日は新しい生徒が入ってきたから

 紹介する。入ってこい」

「失礼します」

俺は、スケラテスという小太りの男に紹介され

クラスに入る。

クラスは、三十名程で構成されている。

「じゃあ、自己紹介を」

「ノイルです。今日からこの学校に通うこと

 になりました。よろしくお願いします」

このクラスにはそれといって強そうな奴はいなさそうだ。

歓迎も早々に俺は自分の席に着いた。




☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇




「ねえねえ、どこからきたの?」

「その眼の色ってなに?」

「どういう魔法を使うんだ?」

俺は休み時間に他の生徒に囲まれ質問責め

を受けている。

どうやら、この眼のことで興味は湧けど、

差別はされないっぽいな。

恐れていたことが杞憂におわり一先ず安心だ。

俺は一つ一つ質問に答えていったが、そこで、

「よう、新入生」

ガタイが良い男が来ていきなり静かになる。

「珍しい眼の色だからって調子のるなよ。

 俺に逆らったら痛い目に遭うからな」

男はそう言って去っていく。

「なぁ、さっきの男はなんだ?」

「ああ、あの人はね、モーヴェって

 言うんだけど、このクラスで一番強いし

 上のクラスの悪い人達とも関わってるらしい

 からあまり皆関わらないようにしてるよ」

「ある意味目立ちたがりやだから、転入生が

 来て良くは思ってないんじゃないかな」

「お前も気をつけた方がいいぞ。

 変に目をつけられたら後々面倒くさい

 ことになるからな」

「ああ、分かった。ありがとう」

まあ、最初から関わる気など無いがな。

「お~い。授業やるぞ~」

先生が入ってきたので話しは一旦中断。

そのあとは普通に授業を受けたのだった。




☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇☆◇




そして今日の授業が、終わったところで俺は

寮を教えてもらっている。

「お前の部屋はここだ」

俺は先生に教えられ、寮部屋に入る。

他の人達は一部屋二、三人で使うらしいが、

俺は一人部屋を提供された。

まあ、完全にあの大会のおかげだろうがな。

部屋は意外と広く窓際に机や壁一面には本も

たくさん詰まっている。

退屈せずに済みそうだな。

これからは、面倒事を起こさず

読書でもして平穏に暮らすとしよう。

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