第11話 帰宅部の指針 上
前回のあらすじ
宿題をやらずに学校へ行った鳩サブレーだったが、姫流之のおかげで宿題を終わらせることが出来た、と思いきや、英語の宿題を家に置いてきてしまった。
本編
無事6時間目の英語と帰りのホームルームが終わり、僕としいたけはいつもの道をトコトコと歩いていた。
そこで僕たちは帰宅部について話していた。
「それにしても帰宅部って、入ってから今日何日目だ?」
「3日目じゃね?」
「そうか、まだ3日か、感覚的には1週間なんだけどな」
初めて入った部活、掃除している途中に見かけたゴキブリ、部長が持ち出した色とりどりのエロ本、この2日間色んなことがあった。
そんなことを思い出している間にいつの間にか英会話教室と薄く書かれた部室へと着いた。
僕は、扉を開けて、
「こんにちは」
続けてしいたけも
「こんにちは」
部室に入った僕たちは辺りを見渡す。
そこには、部長、副部長、アルト先輩、そして見たことない女の人と、姫流之!?
僕は思わず2度見した。
人生で2度見することなんてあるのかなと思ったが、あるんだなと思った。
「え? お前って?」
その光景にとても驚いたから思わず指を差してしまった。
え? なんでお前がここにいるの?
成績優秀、絵も上手いし、運動も球技以外なら完璧なお前が何故帰宅部に? もっと良い部活あったんじゃないの?
それはしいたけも同じようで、開いた口が塞がらないだった。
「よ、鳩、しいたけ」
部長は相変わらず僕を鳩と呼ぶ。
「今日はお前らに自己紹介してないやつも来ているからな、」
そう言い、2人を指さす。
「まず1人目はしってるかな? 同級生だし」
部長はまず姫流之のことを紹介する。
「こんにちは、芝宮姫流之です。」
彼女はまるで僕たちのことを初対面の人かのように言ってきた。
今日話したばっかなのに。
「お前って、部活ではそんな感じなんだな」
ふと、しいたけが姫流之に喋りかける。
「何よ、その反応、もう少しマシな反応の仕方あったでしょ」
それに姫流之は顔を赤くし、若干ほっぺたを膨らまして怒る。
「もしかして姫流之ちゃん、あの子のことが······」
隣にいた女の人が耳打ちで姫流之に喋りかける。
まあ全部、丸聞こえだけどな。
女の人が耳打ちをして、元の体制に戻ろうとする時たまたま目が合った。
そのときはニコッと笑顔で返してくれたが、少し苦手だなと思った。
「違います先輩、彼は、その、そ、その、ただのクラスメイトです」
耳打ちされた姫流之は赤くなり、その声は部室中に響き渡った。
「た、ただの、クラスメイト」
しいたけは友達じゃなくてただのクラスメイトと言われショックを受けたのかその場に倒れ込んだ。
「大丈夫かしいたけ!」
僕は思わず叫んだ。
「鳩サブレー、お前のことは、一生、忘れない、ぜ、グハッ」
しいたけはもう心残りがないような顔をして、目をつぶった。
「しいたけー!」
ここで、「~完~」をつけたいところだが、この物語はまだ終わってない。
「鳩くんどいて、」
肝心なシーンの時に女の先輩に止められた。
そして先輩は手袋を装着させる動作をして。
「メス!」
とめっちゃドヤ顔で言った。
「先輩、ドラマの見すぎですよ」
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「ごほん、気を取り直して2人目の自己紹介と参ろう」
このまましいたけ劇場が終わりそうに無かったので、先輩が割って入った。
これにてしいたけ劇場、終了。
「私は、
柊木蘭舞··············狂喜乱舞···············いけね、人の名前で遊んだらだめなんだ。
しかし、柊木蘭舞と狂喜乱舞、発音がそっくりだな。
「ちなみに、鳩くんは1回会ったことあるでしょ?」
そやね、毎日学校に通ってたら、1回くらいはすれ違うでしょと思っていたら、よく見ると、先輩は見覚えのあるショートカットだった。
「もしかして······」
「そう、あのときエロ本買いに来たの、あ、た、し」
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「えええええええええええ!」
思わずびっくりした。
だってあのときとキャラが違いすぎるんだもん。
「なに驚いてんの鳩サブレー、彼女はいわゆるレズなの、彼女は女の子が好きなの、そんな人がエロ本買いに来るなんてなんらふしぎじゃないわ」
違うんだよ、姫流之。
僕が驚いてるのは、エロ本を買いに来たことじゃなくて、あのときと今のギャップの差なんだよ。
ちなみにギャップといえば、今日の副部長の帽子も
てそんなことどうでもいい。
「蘭舞の話しはそこら辺にしてそろそろ本題に入るか」
アルト先輩がこの流れを変えるが、その流れに乗っていない1人の少女がいた。
そう、蘭舞だ。
「姫流之ちゃん、私がレズということ、なんでばらしちゃうのよ、なに? もしかして前世、明智光秀?」
分かりにくそうで分かりやすい微妙なラインのヤツをぶちかましてきた。
「違います先輩、別に先輩に言わないでとも言われてませんし、それを言って3日だけ人気になろうとも思ってませんから」
「うふふ、冗談よ冗談、そこまで深く考えなくていいわ」
やっぱりこの人苦手だな。
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「無視、すん、な、よ」
バタッ
「大丈夫かアルト!」
その間に2年生男子の間ではアルト劇場が始まっていた。
いや、それにしても話が進まねぇ!
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