第6話 転売って法的にありなの?

 しいたけとアルト先輩がゴミ処理場へ行っている間、僕と部長はひそかに別の作業をしていた。


部長は次々と準備室から薄い雑誌のようなものを持ってくる。

その間僕はただひたすら固まっていた。

だって何をしたらいいか分からないんだもん。


「部長、僕は何をしたら?」


 すると、部長は自分の机に薄い雑誌のようなものを次々に置いていった。


「これを売るんだ、売り切れるまで」


 その雑誌は量から見るに50冊ほどある。これを今日、残り1時間で完売しろと?


 僕は部長の机に置いてある雑誌を覗く、


 こ、これは!


 僕が見た表紙はおばさんが全裸でシャワーを浴びており、きれいに色んなところが光でかくされて、おばさんの横には大きく、ド鬼畜巨乳お母さんに熱い魂をこめて、ねっとりうわあああああああああああああ!


 これって僕たちが見たらダメなやつじゃ·······。


「先輩こんなもの先生に見つかったらおわりですよ!」


おわりとか言うより、こんなの見つかったら退学だろ。


「安心しろ、ちゃんと顧問だけは許可を貰っている」


 ええええええええええええ!先生許可済みなのおおおおおお!

 てか顧問なんていたのおおおおおおおお!

 あ、でも逆に考えれば顧問以外の先生に見つかったら即退部か。


「でもこれって一般的には転売って言うんですよね?」


「転売?人聞きが悪いなー、これは人助け、世の中を平等にするためのな」


 世の中を平等、急に大事になり始めたぞ、でもこれって結局は転売ですよね?

 だめなことですよね?


「それって·····」


「つべこべ言わずにさっさとやるぞ!」


 そう言ってエロ本転売はスタートした。


 この部室の窓は校舎裏と繋がっているので、窓に帰宅部と書かれたのれんをつけて、来た人が注文したものを渡すらしい。


 先輩はそれだけ言って始めたが、正直僕は余り理解していない。


 しかしエロ本転売開始をどうやって伝えるのだろうか?放送室でエロ本転売開始とか言ったら確実に即退部だしな、


 僕は部長の方を見てみる、すると部長は何やらスマホをいじっていた。

 こっそり覗いてみると、部長はラインをしており、どうやらグループラインのようだった。


 そのグループの名前は、


【帰宅部ファンクラブ】


 これで僕は察した。

 きっとここから宣伝してるんだな。


「ヘイ五月!居る?」


 1人目のお客さんが来た、部長を五月と呼んでいる時点で2年生または友達だと分かった。


「ご注文は?」


 先輩がのれんにむかって喋る。


「熟女で性格が鬼畜、巨乳でお母さんっぽく、ヌメヌメ系のやつを頼む!」


 注文の多い客だった。

 さすがにこれにマッチしているエロ本なんてここには無いだろう·······いや待て······どっかで聞いたことがあるような·······あ!まさか!


 客の注文は僕がこっそり覗いたエロ本とマッチしていた。

 こんなことがあるのか?

 偶然かな?


 部長はすぐにあの本を取り出した、そしてのれんに腕を通してそのエロ本を客に渡す。

 そしてその代金として200円を受け取った。


「いちよう、金を取るんですね」


「当たり前だ!自分に得がなきゃ、こんな恥ずかしいことしてないよ、」


 あ、部長も恥ずかしいんだ、これ


「ちなみにその手に入れたお金は何に?」


「もちろん部費として使うさ」


 帰宅部にお金の使い道なんてあるのかな?



「すいませーん」


 次の客が来た。

 相変わらず注文は多いが、不思議なことに注文とマッチするものばかり、なにか仕組んでるのか?

 そんなことを考えている間に残り本は一冊となっていた。

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