2

長い、永い、その旅路を経て僕はその目的地に近づきつつあった。

最果ての孤島カァーティアで最後に待ち受けていたのは大きな川だった。

川の流れは強く、激しかった。

遠回りをする事はできない。

これは僕らの部族の取り決めだった。

神の道を歩み、そこに辿り着く。

その目的地に何があるかなんてことは行った者にしか解らない。僕らの集落に帰ってきた者は1人もいなかった。

僕以外の何者もいないこの地に川から発せられる轟音だけが響く。

耳を澄ませて、気が付いた。

この川はただの川ではない。

水音ではない。

これは硝子だ。

川には硝子が流れていた。

脚を踏み入れれば、きっと、僕の皮膚はビリビリに切り刻まれるだろう。

なぜ、これほど辛い道程の最後がこれなのだろうか。

聖地ルディラとはどういった楽園なのか、なぜ誰も帰ってこなかったのか。

それを知りたいからここまで歩いてきた。

途方も無い道を。

知りたいから耐えてこれた。

僕が小さな頃に姉さんが出立していったあの聖地ルディラが何かを知りたいから。

それの最後が、まるで自分で死ににいくような事なんて。

まったく、飛んだ貧乏くじルカティエを引いてしまったんだな、姉弟揃って。

何が聖者ルワシラだ。

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