第12話 姉は嫉妬している
俺の彼女であり、学年一の美少女である柚羽と一緒にお昼ご飯を食べてから数時間後、俺と柚羽は一緒に家に帰っていた。
「そういえば、あの姉妹はどうしたの?学校来てなかったみたいだけど」
俺が学校一の美少女姉妹と家族という事実は学校中に広まっているらしく、柚羽もそれを知る一人だった。
まあ、あんなに男子から殺意のある視線を向けられたんだ、広まってない方がおかしい。
「ああ、体調崩しちゃったらしくてさ」
「えー、心配…最近ウイルスとかも流行ってるし、家、行かない方がいいよね?」
「ああ、そうだな」
って、俺の家行こうとしてたの?聞いてないよ?俺。
気になった俺は柚羽に聞く。
「ってか、俺の家行こうとしてた?」
「うん、優弥くんの部屋見てみたいし、一緒に部屋でイチャイチャしたいし」
無意識なのか故意なのか、そうやってすぐ誘惑するような発言はやめて欲しい。まあ、今は彼女だから口に出しては言えないけど。
「じゃあ、また明日な」
「うん!ばいばい!」
柚羽と別れた後、俺は玄関のドアを開け、リビングに向かう。
そこには、体調が良くなったのか、部屋着姿でソファに座る未那がいた。
「あれ?姉さん体調は大丈夫?」
「あ、ゆうくんおかえりなさい、もう大丈夫だよ〜」
さっきまで寝ていたのか、寝ぼけ眼を擦りながら未那は返事をする。
「それなら良かった、まあ、明日も学校だしもう少し休んだ方がいいよ」
「うん、ありがと〜、ゆうくんは優しいね、あの時と変わってないな……」
最後の方の言葉が聞き取れなかったが、未那は俺の横を通り過ぎて二階の自室に向かっていった。
「なんて言ったんだろう、最後……」
そんな疑問を抱きながら、俺も自室に向かっていった。
◇
ゆうくんの看病のおかげですっかり体調が良くなった私は、ベッドの上で目を覚ます。
「うぅ…すごい寝ちゃった…」
少し昼寝をしようと寝ていたら、外はすっかり夕日に照らされていた。
時計を見ると、短針は五時を指していた。
起き上がり、リビングに向かう。水を口に入れ、喉を潤した私はソファに座る。
少し時間が経つと、玄関のドアが開く音がした。
見てみると、ゆうくんが帰ってきた。
学校が終わり、帰ってきたゆうくんもかっこいい。襲いたくなっちゃう……♡
おっと危ない、理性を保たなければ…
「あれ?姉さん体調は大丈夫?」
自分に言い聞かせていると、ゆうくんが私の心配をしてくれた。
何!?この子、まだ私の心配してくれるの!?もうめちゃくちゃ頭撫でてあげたい!
というか、めちゃくちゃにしたい!
「もう大丈夫だよ〜」
ゆうくんに私の気持ちがバレないように、まだ覚めていない目を擦りながら返事をする。
「それなら良かった、まあ明日も学校だし、もう少し休んだ方がいいよ」
ゆうくんの優しすぎる言葉を聞いた私は数年前の’’あの時’’を思い出す。
変わってないな…そう思いながら私は自室に向かう。
ついでに体調を崩したせいで更新出来ていなかった『姉妹ノート』も書こう。
そんな事を考えながらゆうくんの隣を通り過ぎる。
その瞬間、違和感を覚えた。
明らかにおかしい、ゆうくんから今まで嗅いだことの無い、フローラルな柔軟剤の香りがした。
私は時々お母さんに代わって洗濯をする為、家の服の匂いはよく分かる。あの匂いは違う。しかも女子の可能性が高い。
嫌な予感を感じた私は自室のパソコンを開く。
画面には、部屋に戻ったゆうくんの姿が映っていた。
画面越しのゆうくんは、誰かと連絡を取っていた。
『んー、柚羽?どうした?……』
「ゆずは……」
嫌な予感が的中した。ゆうくんは、私の知らない女と連絡を取っていたのだ。
どういう関係性があるのかは分からないが、私の邪魔になる存在なのは確かだ。
私は少し怒りを覚えながら、パソコンの画面を閉じた。
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