第11話 美少女同級生はスキンシップが激しい
俺、田代優弥に彼女が出来た。まあ、仮ではあるんだけど。
しかもその彼女は学年一の美少女、福尾柚羽だった。
そんな柚羽に告白され、一緒に帰った後、俺は家の前にいた。
玄関のドアを開ける。リビングを通り過ぎ、二階の自室に入る。
着心地の悪い制服を脱ぎ、部屋着に着替えた俺は姉の未那の部屋に入る。
今朝は赤く染まっていた顔も、見てみると綺麗な白い肌に戻っていた。
「姉さん、体調は大丈夫?」
「うん、ゆうくんのおかげで元気になったよ」
いつもの未那のおっとりとした声を聞き、安堵する。
しかし、時折咳をしていたり、食欲も無いらしい。ここは安静に明日も休ませた方がいいかもしれない。
妹の瑠那の様子も見ると、未那と同じような状況だった。
「お兄ちゃん…ごめんね、今日一緒に学校に行けなくて」
「大丈夫、心配すんな」
申し訳無さそうな瑠那の頭を撫でる。すると、さっきまでの悲しげな表情が嘘のように笑顔になった。
二人の様子を確認した後、俺は自室に戻る。
部屋に入ると、ベッドの上に置かれていたスマホの通知音が鳴った。
内容を見ると、さっき連絡先を交換したばかりの柚羽からだった。
『明日、私が優弥くんのお昼ご飯作ってもいい?』
どうやら、柚羽が俺の分の弁当を作ってくれるらしい。
『おう、ありがとうな』
何と返せばいいか分からず、咄嗟に思いついた文章を返信する。素っ気なかったかもしれない。
しかし、柚羽からの返信は女子が好きそうなクマのキャラクターがハートマークを浮かべているスタンプだった。
柚羽の優しさと女子力の高さを知った俺は、明日の弁当が少し楽しみになった。
◇
翌朝、姉妹の体調を確認し、安静にさせた後学校に行く準備をした。
リュックを背負い、玄関のドアを開けるとそこには柚羽がいた。
「おはよう優弥くん!一緒に学校行こ?」
俺と柚羽の家は割と近く、お互いに家の場所を昨日確認していた。
「ああ、行くか」
隣同士で歩き、学校へ向かう。途中、「手つないでもいい?」と言われ焦ったが、ちゃっかりと恋人繋ぎをして登校した。
階段を上り、教室に入る。そこには案の定、恐ろしい殺気を放つ男子達が俺に質問攻めをしてきた。
「おい!どういう事だよ!何で柚羽ちゃんと一緒に学校に来てるわけ?」
「安藤姉妹は!?まさかあの二人じゃ飽き足らず……」
「うらやましいうらやましいうらやましいうらやましいうらやましい」
だから何でそういう考えになるかな!?最後の奴に関しては羨ましがってるし!もう壊れちゃってるじゃん!
「落ち着け!別に今日は偶然一緒に来ただけで…」
俺と柚羽の関係を隠しながら上手いこと説明する。
説明すると、周りの男子は呆然としていた。あれ?この状況二回目だよね?
説明が終わり、自席へ向かうと太一が話しかけてきた。
「おいおい今度は学年一の美少女か〜?お前ほんと羨ましいわ〜」
他人事みたいに言いやがって…まあ、他人事なんだけど。
てか、どこからこの情報仕入れてるの?俺と柚羽の事とか、さっきの話だぞ?
「ああ、それはファンクラブがあって、そこから情報仕入れてる」
俺が口にも出していないのに、気になった疑問に答えてくれた。え?お前も瑠那みたいに俺の心読めるの?
太一との会話を終え、早速授業が始まる。
◇
授業が終わり、お昼を迎えた。別のクラスの柚羽と合流し、弁当を食べる。
「はい!あ〜ん」
「んん!美味い!」
「ほんと!?良かった〜」
柚羽の作ってくれたお弁当はとてもバランスが良く、彩りまでしっかりしていた。味は言わずもがな、美味い。
「ありがとうな、わざわざ弁当作ってくれて」
「ううん、私が優弥くんに作りたかったんだもん、全然大丈夫だよ」
しかし、このまま俺が何もしないのは申し訳ない。
「なあ、何か俺にして欲しいこととか無いか?」
すると、柚羽から驚きの言葉が発せられる。
「じゃあ…キス…してほしいな…」
「!!?」
予想の遥か斜め上を行く返答に驚きを隠せない。
しかも柚羽はいきなりしおらしい表情になって俺を見つめる。
「ねぇ…だめ?私じゃ…」
「いや…そういう訳じゃないけど…」
「じゃあ…お願い」
そう言って柚羽は目を閉じ、自身の唇を突き出す。
「わ…分かった…」
俺は柚羽の唇に自身の唇を重ねた。柚羽の唇はとても柔らかかった。
「私の初めて…優弥くんにあげちゃった♡」
その言葉を聞き、俺の頭はオーバーヒートした。
…
お久しぶりです。近況ノートにも書いたのですが、作者の都合が一通り終わったので、更新再開します。
待ってくださった皆様、ありがとうございます(*´ω`*)ノ
これからも不定期更新にはなりますが、応援やフォローの方よろしくお願いします!
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