第7話 妹は放課後デートがしたい
ある日の放課後、俺はいつものように一人で教室を出て、家に帰ろうとする。
昇降口で靴を履き、外に出る。
校門側に一人で歩いていると、見覚えのある女子の姿が見えた。
「あ!お兄ちゃん!」
そこには一人で誰かを待つ瑠那がいた。恐らくだが、俺を待っていたのだろう。
「おう、誰か待ってるのか?」
「ん?お兄ちゃんを待ってたんだよ?」
返ってきた返事は案の定、俺の事を待っていたという事だった。
「ねぇお兄ちゃん」
「ん?なんだ?」
「放課後デートしよ!」
ん??もう''デート''って言っちゃってない?異性の兄妹でその言葉使います?
早速引っかかる部分があったが、まあ、恐らく使うだろうと思った俺は、その言葉をスルーする。
「ああ、いいぞ」
特に断る理由もないので、俺は瑠那と一緒に家の帰り道とは真反対の繁華街の方へ向かっていった。
◇
繁華街の方へ歩いている途中、瑠那が何気なく俺の腕に抱きついてきた。
周りの男子からの視線が痛い。別に俺たち普通の兄妹なのに…まあ、姉妹ノートが存在する段階で普通では無いと思うけど。
「なんか、付き合ってるみたいだね♪」
「ああ、まあそうかもな」
俺は瑠那からの誘惑交じりの一言に曖昧な返答をする。
最近は瑠那からの兄妹の域を越えた発言や行動には慣れてきた。
まあ、時々ドキっとする事はある。いくら兄妹とはいえ、義理の兄妹だし、学校一の美少女だし。
繁華街の方に来ると瑠那が駆け足で一軒のお店に向かう。
「タピオカ飲みたい!」
瑠那は甘いものが好きだ。俺は瑠那と自分の分のドリンクを買う。
瑠那のタピオカドリンクはミルクティーにタピオカがたくさん乗った、いかにも甘そうなドリンクだ。
俺は甘いのは苦手なため、普通のカフェオレを頼んだ。
瑠那が美味しそうにタピオカを口いっぱいに頬張る。
「ん〜!美味しい!買ってくれてありがと!」
「おう、喜んでくれて良かった」
この食べている姿だけ見たら、至って普通の可愛い女子高生なのだが…
そんな目の前の彼女が俺を監視していると思うと、何だか不思議な気分になる。
そんな事を考えていると、瑠那が話しかけてきた。
「ねえ、お兄ちゃんのカフェオレも飲みたいな〜」
そう言って瑠那は目を輝かせながら俺の手にあるカフェオレを見つめる。
まあ、飲ませるくらいなら何も問題ない。そう思った俺は、瑠那にカフェオレの入った容器を渡す。
しかし、瑠那が口を付けた瞬間気付く。あ、これ間接キスしとるわ。と。
しかし、瑠那は気づいていないのか、何の躊躇いもなくカフェオレを口に流し入れる。
ある程度飲んだ後、半分ほど残ったカフェオレを俺に渡してきた。
間接キスの事で頭がいっぱいな俺は、瑠那に
聞かざるを得なかった。
「なあ、間接キスしちゃったけど、そういうの気にしないタイプか?」
「んー、気にはするけど、お兄ちゃんとなら大丈夫だよ♡」
くそ…不覚にも、めちゃくちゃ可愛いと思ってしまった自分がいた。
一体誰がどうやって育てたらこんなに可愛い姉妹が出来るんだよ!全く、親の顔が見てみたい。まあ、今の俺の父親が姉妹の親なんだけどね。
ん?そういえば、俺は姉妹の母親を見た事がない。というか、それに関する話を姉妹や父親から聞いた事がない。
まあ、そこは色々あったのだろうけど、気になった俺は、デリカシーが無いとはわかっていながらも、質問した。
「そういえば、前の二人のお母さんって、どんな人なんだ?」
「ああ……そういえばお兄ちゃんには話してなかったね」
そう言って瑠那はいつもとは違う雰囲気で、母親についての話を始めた。
…
次回から姉妹の過去について書かせていただきます。
少しストーリーが重くなると思いますが、ご了承ください。
また、ラブコメ日間3位、週間2位ありがとうございます!
これからも応援よろしくお願いします。
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