第6話 姉の学校の様子も気になる

妹の学校での様子を見たその日の夜、俺はいつものように姉妹が部屋にいない事を確認してから、また更新されている『姉妹ノート』を読もうとしていた。


妹はお風呂に、姉はリビングにいる。


妹の瑠那の部屋に入る。いつもの場所、勉強机の端っこにそれはあった。


「読むか…」


ノートを開く。一番最近のページを開くと今日の出来事が書かれていた。


『今日は珍しくお兄ちゃんが私のクラスに来た。一階に用があるって言ってたけど、きっと私を見るために来てくれたんだと思う!それに私が手を握った時のお兄ちゃんの反応…可愛かったな♡お兄ちゃん大好きだよ♡』


相変わらず、文章の最後は『大好き♡』で終わっていた。


はぁ…どうすればいいんだろうか…


結局、妹の学校の様子は至って普通の女子高校生で、特に俺を監視している様子は見られなかった。


じゃあ、姉はどうなのだろうか。


姉の未那は、瑠那に比べて監視している様子は見られなかった。


強いて言うなら、姉は毎朝俺のベッドの中に入り込み、俺を起こそうとする。


本人曰く、俺の寝顔を見ていたいらしい。正直、俺からしたら死ぬほど恥ずかしい。


気になった俺は、明日は姉の学校の様子を確認しようと決意する。





翌日、昨日と変わらず退屈な授業を受け、昼休みを迎える。


「ふぅ…行くか…」


そう呟いた俺は、こっそりと姉のクラスがある三階に向かう。昨日は何故か妹にすぐに見つかったため、今日は見つからないように慎重に教室へ進む。


昨日も思ったが、俺も二人の事を言えないくらいにやばいことをしている。もしかして、俺やばい奴なんじゃね?なんて自分で思ってしまう。


教室の中を確認するが、未那の姿はない。


教室にいないのか…仕方なく自分のクラスに戻ろうと振り向くと、そこに未那はいた。


「ゆうくん!一緒にお昼ご飯食べよ!」


……え?


結局俺は未那の思うがままに、教室の中に入り、未那と一緒にお昼ご飯を食べることになった。





「はい!あ〜ん♡」


俺は今、目の前にいる姉に卵焼きが摘まれた箸を向けられている。


周りの男子は今にも襲い掛かってきそうな目で俺の事を見ている。女子は黄色い悲鳴を上げながら俺たちの食事を見ている。


……何!?この状況!怖いんですけど!?


俺は一度未那からのお昼の誘いを断ろうとした。しかし、それを言おうとした途端、


「一緒に食べてくれないの…?」


そこには上目遣いで目をうるわせながら、俺にしれっとボディタッチしている姉がいた。


うわぁ…すごい破壊力……流石学校一の美少女なだけある。


そんな顔を見たら、断れるわけが無い。俺は未那に導かれるように椅子に座っていた。


「「きゃ〜!弟くん可愛い〜!」」


「あいつ…許さん…」


「切り刻んでやる…」


「ひねり潰してやる…」


周りの姉のクラスメイトの女子が狂喜乱舞し、男子は俺を殺しそうな目で見てくる。


ていうか、男子から聞こえてくる一言一言がどんどんエスカレートしてない?めっちゃ怖いんですけど…


しかし、正直マジで恥ずか死にそうだ。これならまだ男子からボコボコにされた方がマシかもしれない。


そんなカオスな状況の中、目の前にいる姉は満足気に笑顔を浮かべていた。





「はぁ…疲れたぁー…」


あれから数時間後、家に帰った俺はすぐに自室に向かい、ベッドに飛び込む。


今日はとんでもない目にあった。もう二度と、姉妹を監視するような事をしないと心に決めたのだった。



そんな疲れた表情をしているゆうくんを見て、私は自室で一人笑みを浮かべる。


「疲れたゆうくんも可愛い…♡」


そう言って私は、ゆうくんの部屋が映し出されているパソコンの画面を閉じたのだった。

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