第5話 妹の学校での様子が気になる

二人がこっそり書いているのであろう『姉妹ノート』を見つけてから数日後、あれから俺は頻繁に、二人がいないことを確認してから、毎日更新されているノートの内容を読んでいた。


読んでいて気付いたことがある。どうやらこのノートは二人交互で毎日更新されている事と、俺と二人に関連する内容だけでなく、俺の日常生活についても書かれていた。


例えば、『今日のお兄ちゃんはいつもとは違い、クラスの女子と会話をしていた。正直、私以外の女子とまともにお話をするお兄ちゃんを見たのは初めてだったから、驚いちゃった…でも、女子と積極的に話してるお兄ちゃんも大好き♡』とか。


とにかくこのノートを読んで、俺は二人から日々監視されている事が分かった。


しかし、そこで俺の中にとある疑問が生じた。あの二人、学校でどんな生活をしてるんだろう。と。





翌日、俺はいつものように姉妹と一緒に学校に行く。


教室に入ると、いつものように親友の太一が真っ先に挨拶してくる。


「よっ、おはよ」


「おう、おはよ」


「今日も姉妹と仲良く来たのか?羨ましい奴め〜」


今日も太一が姉妹の事でイジってくる。めちゃくちゃ面倒くさい。


「うるさいなあ、そうだよ、一緒に来たよ」


そこから少し会話をした後、朝のホームルームが始まる。


そこから嫌々授業を受け、いよいよ昼休みに入る。


「よし、やっと終わった…」


そう呟いて、俺は一階の一学年のクラスへ向かう。当然、目的は瑠那の生活の様子を見るためだ。


俺の姉妹が俺を監視していて怖いなんて思っていたが、これではまるで二人のことを言えないだろう。俺も充分やばい。


教室の中にいる瑠那を見つけ、こっそり影から瑠那の様子を見る。


瑠那は特に変わった様子も無く、友達であろう女子達と仲良く会話をしている。


「特に何もないな…」


意外にも変わった様子の無い瑠那の姿を見て、安心と更なる疑問の生まれた俺は教室を後にしようとする。


すると、教室の中からいきなり瑠那の声が聞こえた。


「あ、お兄ちゃん、どうしたの?」


「!?」


瑠那に見つかってしまった。まずい、このままでは妹の事をこっそり見ていた変態シスコン野郎になってしまう。


「ああ、ちょっと一階に用があってな…」


その場で即興で作り上げた話で上手いこと誤魔化すことに成功した。


ふう、何とか切り抜けた。そう思った時だった。


「な〜んだ、てっきり私のこと心配になって見に来ちゃったのかと思った♡」


その瞬間、周りの男子が吐血する。えぇ!?破壊力すごくない!?


確かに上目遣いで見てくる顔は、まるで天使のようだ。俺は同じ家で過ごしているから耐性が付いたのだろう。しかもちゃっかり俺の手握っちゃってるし。それもあってか、他の男子は瀕死状態だ。


しかも図星を突いてきた。俺の心の中でも読めるのか…?俺の妹は……


「いや、そんな訳ないだろ」


少し動揺した俺は、逃げるようにトイレの中に入る。


「はぁ…何なんだ…?ホント…」


正直、何も分からなかった。別に生活だけを見ても他の女子と何ら変わりなかった。いつ俺の事を監視しているのか、結局知ることは出来なかった。





その声を聞き、お昼ご飯を食べ終え、一人になった私は不敵な笑みを浮かべる。


「焦ってるお兄ちゃん…可愛い♡」


そう言って私は、こっそり耳に付けていたイヤホンを外すのだった。

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