第4話 姉妹は俺の事を狙っている
俺の普通じゃない生活が始まって数週間経ったある日のこと、俺は妹の瑠那に用があったため、瑠那の部屋に入ろうとする。
コンコン と部屋のドアを叩く。
しかし、部屋から返事がない。
気になった俺は部屋のドアを開ける。
しかし、そこには瑠那の姿はなく、いつも通りの綺麗な部屋がそこにはあった。
「どこ行ったんだろ…」
部屋を出ようとドアの方に振り向こうとした途端、俺の目に一冊のメモ帳らしきものが入った。
気になった俺は、そのメモ帳らしきものを手に取る。
「ん…?何だ?これ…」
そのメモ帳の表紙には、『姉妹ノート』と書かれていた。恐らく姉妹で交換日記でもやっているのだろう。
仲睦まじくて良いな。そう思っていた俺は、思わずそのメモ帳の内容を気にしてしまう。
流石に家族とはいえ、プライバシーというものがある。ましてや思春期の女の子。俺がこれを見てはいけない。そう思っていた。
しかし、好奇心には逆らえない。あの美少女姉妹が一体どんな内容で、どんなやり取りをしているのか、どうしても気になってしまう。
「見てもバレないよな…?」
そう静かに呟いた俺は、ノートの1ページ目をめくる。
そこには、妹の瑠那が書いたであろう、二人が初めてこの家に来た事が書いてあった。
『初めて田代家に来た。ついに私にお兄ちゃんができる。しかも、それは私の初恋の人の優弥くん。それに彼は私のヒーローだもん!だから優弥くんを私のものにしたい。そのために頑張らないと…お兄ちゃん…大好きだよ♡』
……ん?え?何?このノート??
気になった俺は、次のページを開く。
『今日は私の弟のゆうくんのベッドの中に入りこんじゃった。本当は我慢してたはずなのに…だって私を助けてくれた人だもん、これくらいしてもいいよね?ゆうくんの寝顔…すごい可愛かった♡ゆうくん大好き♡』
……ん?んん??
そこには姉の未那が書いたであろうその日の俺との出来事が書いてあった。
しかし、何だ?このノート。
ここまで読んで、どうしても引っかかる部分がいくつかある。
まず、このノートは何のために書いているのか。
しかも、交換日記みたいな感じで姉妹とその日の俺との出来事が書いてある。
そしてもう一つ、文中の『私のヒーロー』や、『私を助けてくれた人』という言葉があった。
この文を見るに、俺は当時からあの姉妹と面識があるという事になる。多分。
しかも、俺があの姉妹を助けるような事をしたということになる。
しかし、あんなに可愛い姉妹を俺が忘れるか?ましてや、助けてるんだよな?いや、まず男なら忘れないだろう。
そして何より、引っかかる部分。いや、''引っかからなければいけない''部分がある。
何!?あの最後の文の終わり方!『お兄ちゃん大好き♡』とか『ゆうくん大好き♡』とか!おかしくないか!?俺らは''きょうだい''だぞ!?
俺はさらに次のページ、また次のページと読んでいった。
やはり、文の終わりは全て『大好き♡』で統一されていた。
どうしよう。とんでもないものを見てしまった…
いっその事見なかったことにしようか…
しかし、脳裏をよぎる、''大好き♡''の言葉。
無理だ。忘れられない。
俺は平然を装いながら、部屋を後にしたのだった。
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