第3話 妹は俺に甘やかされたい
姉の未那の事について散々クラスメイトの男子から質問攻めされた日の放課後、俺はいつものように一人で家に帰ろうとしていた。
すると、昇降口で妹の瑠那が俺の事を待っていた。
「あ、お兄ちゃんみっけ!」
「え?」
「一緒に帰ろ!」
いきなりの妹からの誘いに断ることも出来ず、俺は瑠那と一緒に帰ることにした。
「お兄ちゃん今日もお疲れ様、授業は大変だった?」
「いや?そうでもないぞ?瑠那の方は高校には慣れたか?」
「うん、結構慣れたよ〜」
そんな自然な会話をしていると周りの男子が殺意のある冷たい目でこちらを見ていることに気付く。
やべぇ、ちょっと急いで帰ろう。そう思った瞬間だった。
「えい!」
「!?」
いきなり瑠那が俺の腕に抱きついてきた。
えぇ!?なんでこのタイミングで!?
瑠那が強く俺の腕を抱きしめる度、瑠那の大きく豊満なマシュマロの感触が腕に伝わる。
うわぁ…柔らかい…じゃなくて!
こんな所をたくさんの男子に見られたら俺の命が危うい。
俺は少し急ぎながら瑠那と一緒に家に帰った。
◇
家に帰り、家族と夜ご飯を食べた後、俺が自室でくつろいでいた時だった。
コンコン、と自室のドアを叩く音がする。
「入っていいよー」
そう言った後、部屋に入ってきたのは部屋着姿の瑠那だった。
少し胸元が開いた部屋着、さっきまでお風呂に入っていたからか、少し濡れた髪。いくら妹とはいえ、ついこの間までは赤の他人。俺には中々刺激が強い。
「どうしたんだ?瑠那」
「お兄ちゃんにお勉強教えてほしいな〜って」
「あ、ああ分かった」
俺はあくまでも普通の高校二年生。別に頭が良い訳でも、悪い訳でもない。
しかし、人に教えるという経験をした事が無いため、このお願いには少し戸惑った。
まあ、妹が困っているんだ。助けない訳にはいかないだろう。
俺は瑠那の部屋に移動し、勉強を教えることにした。
…
「えーと、ここはこの公式を使って…」
自分が普通の高校生で本当に良かった。得意教科は無いが、苦手教科も無い。そのおかげで、瑠那の苦手な数学を教えることが出来た。
「あー!そうやって解くんだ!お兄ちゃんありがと!」
そう言って瑠那は俺に抱きついてきた。
「うわっ!」
「あ、ごめん、つい抱きついちゃった♡」
上目遣いで謝ってくる瑠那。流石学年一の美少女と言われているだけある。破壊力抜群だ。
「あ、ああ、大丈夫だ」
動揺を隠しきれない俺は、教え終わった瑠那の部屋を後にして自室に戻ろうとした時だった。
「待って、お兄ちゃん」
いきなり瑠那に袖を掴まれる。
「ん?どうした?」
「今日はお兄ちゃんと一緒に寝たいな…」
「え!?」
やけにしおらしい雰囲気で瑠那から衝撃的なお願いをされた。
「ねぇ…だめ?」
なんだこの生き物は、めちゃくちゃ可愛いじゃないか。
しかし、このまま一緒に寝てしまうと俺の理性がぶっ飛んでしまう可能性がある。
「いや…一緒に寝るのはさすがに…」
「いいよ?お兄ちゃんなら、私のことを好きにしても」
「!!?」
瑠那が畳み掛けるようにとんでもない提案をしてきた。いや、これはもはや誘惑だろう。
まずい、これは男からしたらめちゃくちゃ嬉しいシチュエーションだろう。
しかし、残念ながら俺と瑠那は義理とはいえ兄妹の関係だ。
俺は兄妹という理由を使い、瑠那の部屋を後にした。
…
自室に戻った俺は、さっきまでの出来事を思い出す。
『お兄ちゃんなら、私のことを好きにしても…』
あまりにも刺激的な一言が、脳内でフラッシュバックする。
何故瑠那がこんなことを言ってきたか分からないが、何か理由があったのだろうか。
その日の夜は中々眠ることが出来なかった。
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