第三話 学校にて














「学校行きたくねー」


授業中、教室の角で一人つぶやいていた。


「そんなこと言いながらちゃんと来てるじゃ


ん」



「行かないとだめだからねぇ」



「そんなこ言い方するなよー!ここはVSOの


話でもして時間潰そうぜ」



滝川はそう言い話し始めた。



「そうそう!俺よくわからん人と妹でチーム


組めたんやて!」


滝川もチームに入ることができたのか!

        



「よくわからんのに、チームになっています


大丈夫なのか?」


よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに顔を近


づけて答えた。


「それよそれ!今、イベントやるんだけど最


後の最後で裏切ってそいつのポイント奪おう


って考えたわけ!」



滝川のいつもの悪い性格が出た。ただ、その


イタズラが結構冗談にならないことを本人は


知らない。



「いいのか?そんなことして。恨みかわれて


ゲーム内で殺されるぞ。まず強いのか弱いの


かもわからないんだろ?」 



自身有りげの顔。首を横に振り



「初期からやってたそうだが、あれは弱い


ぞ。最近またログインし始めたって感じがす


るんだよ。」



「そこ!前向きなさい!」



動かしていたチョークを止め、先生が怒鳴っ


た。



「「は、はいぃ‥‥‥」」



「お前のせいで怒られたじゃねーか!」



「バカ!お前も話に乗っ取ったじゃねーか


(笑)」





休み時間中。





「VSOの話で言ってたあれ本当にやるの


か?」



机を持ち上げながら聞いた。



「まぁな。強くないと思うし」



「実はさ、俺もパーティ、昨日入ることがで


きたんだ。同じ三人のグループでね。滝川み


たいなことする奴じゃないといい(笑)」



「そんな言い方するなよ(笑)でも、良かった


やん!孤独プレイがやっと終わりを迎えた


か!」



「う、うるせぇ!イベントだけ付き合ってあ


げるだけだから」



「これからもお願いしますって頭下げれ


ば?」



「相手に言わせてやるわ(笑)」








昼休み





「今日は金曜日、今日乗り切れば休みがオレ


を待っている。」



背伸びとあくびを同時に行いながら言った。



「あ、そうそう。直樹に関係のある話がある


んやて。」



今は休み時間だから、先生を気にする必要は


ない。



「俺に関係する話?」


「そうだよ。お前の楽しみが消えるかもな」



「やめろよ!。話膨張させてるだろ(笑)」



滝川は割と真面目な顔をしている。これは本


当かも知れない。


こそこそ声で話し始めた。



「最近、VSOの事前登録から始めているプレ


イヤーがパソコンハッキングされて全ロスす


る被害があるらしい。」


え?



「まるっきり俺その中に入っとるやん」



「100人中13人が被害にあってるらしい。そ


の中の10人はVSOやる気なくなったらし


い。」



「そりゃなるだろ。3年間かけて頑張ってき


たゲームだぞ!俺だって消えたらやる気失せ


るわ。」



「しかもほとんどの人が同じようなインタビ


ュー受けたあとらしい。」



「それで聞き出してるってことか?」



「多分な」



昼食中



唐揚げを口に頬張りながら聞いてきた。



「直樹っていつも家族の話するときに父親出


てこんけどいないの?」



いつか聞かれるのではないかと思っていたが


的中した。



「そうだな。楓には話してもいっかなぁ。俺


の父親はねぇ、俺が八歳のときに捕まっ


た。」



「え?そ、そうか。聞いて悪かったな」



「いいよいいよ。で、確か会社のパソコンに


ウイルス入れたとかハッキングしたとかそこ


らへんかな。」




父親は気味が悪かった。



「父さん!遊んでよ!」


「いま大事なところなんだ!邪魔するんじゃ


ないよ!」



「でも今日遊んでくれるって言ってたもん」



「そんなこと言ってないぞ。聞き間違いなん


じゃないか?」





クソ。胸糞悪いわ。思い出すのはやめよう。

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