新しい出会い

第一章 第一話 本当か?














俺は神崎直樹。15歳。今年から高校生に進


学した。それほど頭のいい高校ではないが、


家から近く、男女共学、何年か前に大規模な


改修工事が行われ、とても清潔感あふれる


高校だ。入学して2ヶ月が経過したが、俺は


相変わらずVSOライフを満喫している。クラ


スのメンバーともだんだん仲良くなってきた


頃だ。


「みんなさ、VSOやってる?」


野球部の足立が昼休みのネタにこの質問をし


た。


「やってるよ」「お小遣いためて早くやりた


いのよー!。」「お前の質問に答える必要は


ないけど、一応やってる。」


返答を聞く限り、クラスの3分の1はやって


るようだ。


「神崎もやってんの?」


前の席の滝川が体を横にして聞いてきた。


手を組んで寝る体制の俺は顔だけ少し上げて


いやいや答えた。


「一応やってるよ」


「なら、俺とやろーぜ!」


「断じて断りまーす」


「なんで?友達とやったほうが面白いじゃ


ん?」


「俺は今忙しいんだよね。忙しくなくなった


ら、やろうよ。すまんね。」


「いつからやってんの?VSO。弱ければ俺が


教えてやっからよ!!」


「事前登録からやってまーす」


「事前登録!?あの100名だけが選ばれたっ


てやつか?」


「そうだ。運がいいだろ?」


「つーか、ばりばり、ベテランやん。で!こ


こで提案なんやけど、同じチームになって


VSOのこと教えてください!いいよな?


な?」


「あれ?さっきまで教えてやるとかなんとか


言ってたけどどした?(笑)」



「状況が変わったんだよ!」



「一週間後な。俺もやりたいことあるで」



「一週間後?待ちきれねーよ!その間にもっ


と強い人見つけてパーティくんでやる!」



「強くないとなかなか組んでくれないらしい


ぞ。強いのか?滝川は」


「最近始めたばっかりだからな。強くはない


けど。ま、まぁこれからだ!」



「初心者と組んでくれるお人好しに会えると


いいな!」



机にもたれていた滝川の肘を机から落とし、


次の授業の教室に走った。 



「おい!てめぇ!あぶねえじゃねーか!おいま


て!」




「ただいまぁー」


「おかえり」


キッチンに背を向けたままの母親が答えた。



「今日は仕事早いね。」



「最近体が痛いから、定時で帰って来たの」



「母さん。体が一番だから無理しないでよ」



「わかってるわ。でも、直樹が大人になるま

で頑張らなくちゃ!」



母は右手の拳を握りガッツポーズをしてき


た。笑顔で言っているのだがとことなく疲れ


て見える。



父親のことを聞こうと思ったが母親の今を頑


張る顔を見ると聞く気がなくなった。


ご飯を食べ、風呂に入り、早速自室に戻り


VSOを開いた。


「よし!今日も頑張ろっと。」


前回ログアウトしたこの場所から、今回の目


的場所、「偽りの墓地」へとあるき出した。



「そこの君!そこの君!」



ふと道路の脇を見ると、一人のおばあさんが


手招きをしている。


「占ってあげる!」


しょうがなく歩く方向を変え、おばあさんの


方へと向かう。


「おばあさん。いつも高いお金取ってますよ


ね?」



…ギクリ…



「ま、まぁこちらも商売なので……」



「じゃあお疲れ様です!」 



進行方向に再度向き直し、あるき出した。


「待ってくれよぉ!お願いだから!」


さろうとする俺の右手を掴んでこう言ってき


た。


「今日はむ、無料でできる日だから」


全くの嘘だと気づいているが、少しはこの占


いに興味があったのだ。高いお金は取るもの


のとても当たることで有名だったのだ。


「そうなんですか?!じゃあやります。」


再び戻り占いをすることにした。


勾玉に手をかざして占いが始まった。



「なんで僕に執着するのですか?毎回通るた


び止めてくるじゃないですか?。」


勾玉を睨みつけるおばあさんに聞いた。


「雰囲気が他の子とは違くてねぇ。見どころ


があるんじゃよ」


「そうですか…ありがとうございます。」


睨みつけていた目が次は驚きの目へと変化し


た。



「戦闘力352146。これは日本サーバーでも


BEST1000には入る実力だねぇ。」



「そんなに俺強いのですか?」



「強い方だと思うねぇ。個人ランキングに占


い結果出してる?」



「出してないです」



「なんで出さないのさ?有名になれるのにね


ぇ」



「有名になりたくないんです。それに日本で


何位とか俺はどうでもいいので。自分の好き


なようにやるだけです。」



「そうかい。まぁそれぞれが決めることだか


ら口出しはしないけどねぇ」 


ふと時計を見ると、現実ではもう10分立っ


ている。


「やることあるのでこれで失礼します」



深く礼をしてその場を去った。



「偽りの墓地」に行こうとしていたが、久し


ぶりにイベントに参加しようと思い、街へと


向かうことにした。



イベントが行われる今回の街、レベチックで


は多くのプレイヤーがすでにワイワイガヤガ


ヤしていた。


今回のイベントは最大5人までチームで組め


てできるらしい。しかし俺は誰ともやってな


いのでソロである。



「ソロでやるしかねぇなぁ」


一人で受付まで行こうとしたときだった。 



「すいません。もしかして一人でイベントに


参加するのですか?」 



「そうですけど。」



男女二人が顔を見合わせて、突然土下座をす


るのだった。









気軽にコメント等よろしくお願いします。

引き続き書いていくので、よろでーす!


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