14.入れ替わりに関する長々しい持論
妹と話していたら某有名人の名前を挙げて「二時間でいいから入れ替わりたい」と言った。とりあえず正直な感想を告げた。
「二時間もお前になる有名人が可哀想」
さて、創作世界ではお馴染みの入れ替わりネタであるが、そもそも何が入れ替わっているのだろうか。以前は魂だと思っていたのだが、最近疑問を抱くようになってきた。
魂(精神)が入れ替わっているというのは、なるほど確かに合理的に思える。ではその場合、記憶はどうなるのか。記憶喪失と言うものがこの世に存在する以上は、記憶が魂に一体化していないことは明白だ。魂だけ入れ替わっても記憶が付随しなくては意味がない。しかし魂に一切記憶が関係ないかと言うと、それは違うと言えるだろう。記憶を持たない魂は無である。
魂というものが存在し、それに記憶が不可欠であり、脳に記憶が蓄積されているのであれば、魂とは詰まるところ脳に蓄積された情報に正確にアクセスするための因子を持っていることになるのではないだろうか。
要するに、他人の脳内のことがわからないのと同じように、自分の脳内には自分の魂でしかアクセス出来ないというわけだ。
そうなると、魂が入れ替わった後にアクセスしているのは元の自分の脳ということになる。リモート操作というやつだ。あるいはクラウド化。魂という不可視かつ不可解な存在が為せる技だとすれば説明はつく。
では入れ替わった後の体にある脳は使われていないのか? 答えは否である。
その体を動かせるのは、その体の中にある脳だけだ。記憶領域としては元の脳を使い、運動能力として入れ替わった後の脳を使用する。つまり二つの脳はいくつかの因子で結合されるということになる。
これは非常に重要なことだ。そもそも論として、入れ替わったという事実は「誰が」「どのように」認識するのだろう。あくまでそれは主観に過ぎないのではないだろうか。二人の人間がそれぞれの記憶を「入れ替わっていた」と認識すれば、そこで入れ替わりは成立する。結合されている脳同士であれば矛盾なく情報を整形出来るだろう。
要するに入れ替わりとは、元々脳が結合されていた二人の間で取り交わされた情報操作なのかもしれない。寝ている間に結合されている脳が情報を交換していても、あるいは街角で顔をあわせた時に情報交換が為されるとしても、その瞬間に入れ替わりは成立するのである。
魂が入れかわるという前提があるのであれば、こういう仮説も良いだろう。
ということを妹に送ってみようと思ったが、冒頭のメッセージ以降返信がない。仕方ないので此処に書き残す。
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