20200527知ってる日記

見たこともない学校にいる。

クラスは30人程度、見たことのある人間はいない。

他愛もない話題でふざけあう。


そんな中クラスの机の一つに花瓶と一輪の花が置かれてる。

直感的にだれか死んだんだなと思った。

クラスメイトなのに誰が死んだか覚えてなかった。


「この席って……」


「■■■■■の席だよ。先週事故で死んだ」(名前が聞き取れない)


「そうなんだ」


それを聞いてから急に頭にその光景が流れ込んできた。

知らない女子が昔ながらの手法でいじめられていて、最終的に道路に飛び出して引かれて死んだ。

なぜかその光景はクレヨンで描いたような図だったりすごいリアルな光景だったりが交互に入れ替わって見えた。



急に場面が変わって学年が一つ上がっていた。

クラスは半分程度になっていた。

放課後になると、隣の席のA子の家に遊びに行くことになっていた。


部屋に上がり、A子が何かを取りに下に降りて行った。

何となく部屋を見回すと、乱雑にものが詰め込まれた段ボールが目に入った。

そこから飛び出したアルバムのような本が気になり、手に取ってみた。


一ページ目、絵の練習なのかクレヨンで描いたようなうまいとは言えない絵が描いてあった。


部屋にA子が帰ってきた。

あーそれ恥ずかしいから見ないで。的な事を言われたものの次のページへ。


二ページ目、少年の絵が描かれていた。アニメ系の文化祭の冊子に載っているような絵だった。


上手いじゃんとか絵を褒めていた。

でも、A子にはそろそろやめた方がいいと落ち込み気味で忠告された。


一気にとばして適当なところを開くとまたクレヨンでリビングで泣いてる母親?と子供、怒っている父親?の子供の描いたような絵が載っていた。

そこから数ページは怒っている父親とその家族の絵が数ページにわたって続いていた。途中で母親はいなくなっていた。


見てても面白くないよと言われた。


次のページ。女の子が泣いていて黒い影が囲んでいる絵。

次のページ。黒い影に追われる女の子の絵。

次のページ。新しい絵。車に轢かれた人間と血の跡を残すトラックの絵がクレヨンで子供の描いたような絵で描かれていた。

次のページ。かなり精密なデッサンでリアルに事故現場が描かれていた。


見たことはないのにそれが直感的に前に見た死んだクラスメイトだと気が付いた。

そもそもこの絵はフラッシュバックで見たものだった。


死んだクラスメイトの事を全く知らないはずなのになぜか泣いていて、A子も泣いていた。


A子は■■■■■とは親友だったといった。

でも■■■■■がいじめられたのは知らなかったという。

■■■■■が死んだとき事故現場にいて、一番最初にしたのは救急車を呼ぶでもなくその状態を絵に残す事だったといった。

その絵がさっき見た絵だという。


なぜかよく描けていると褒めていた。


瞬きをしたとき、頭に映像が流れてきた。

信号待ちをしていると隣にいた■■■■■が飛び出して目の前で轢かれた。

そんな様子が第三者的な監視カメラのような視点で流れた。


その様子を目の前で見ていた返り血を浴びた自分は合掌して帰路についた。


あの時救急車を呼んでいればと思って泣いた。


涙をぬぐって顔を上げるとその交差点にいた。

振り返るとA子がいて、突き飛ばされた。

A子は笑っていた。


横断歩道に転んだ俺の視界に入ったのは黒い何かで、多分タイヤだったと思う。 


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