見た夢の話

さめねこ

20200508 夢占い

 夜、突然怪しい人間に声を掛けられた。

 女とも男とも判別のつかない中性的な声で、顔は見えず、長いローブをまとった怪しさが服を着た人間だった。


「あなた、何か悩んでいませんか?例えば、夢とか」


 驚いた。

 わたしは先日みた夢の内容がどういう意味を持つのか知りたくてちょうど調べようかと思っていたのだ。


「お題は一切いただきません。私はただ占いがしたいのです。占って差し上げるのではなく、占わせて頂きたいのです」


 タダより高いものはないと思ったが、なぜか私は夢の話を占い師にしていた。


「なんてことはない夢なんですよ。ただね、子供の頃の姿でね、友達とゲームをしてるんです。4人で協力するやつです。毎回僕が死ぬんです。でも、友達の使ってるキャラは蘇生技をもっていて生き返らせてもらうんですよ。それで、まぁクリアはできたんですよ。で、そのあと別の友達も部屋に遊びに来るんです。合計で7人くらいになったかなぁ。そんな、夢なんですよ。そんな事なかったんですけどね。これはみんなに会いたいから見たとかそんな感じなのかなぁって、帰ったら夢占いとかで調べようと思ってたんです」


「なるほど。あなたね、それはね、心の弱さが見せる夢ですよ。あなたは今から逃げ出したいんだ。子供の頃の、それも自分が一番楽なときに。それは弱さですよ。過去よりも未来を見たほうがいい。でも、友人に会う夢ってのはいいですよ。縁起がいいんですよ。きっと夢で見た人に再開できますよ。あちらも会いたがってるでしょう。あなたも会いたいなら会えますよ」


 ああ、それはそのとおりだなぁ。確かに最近心が弱っているなぁと合点した。

 あの夢はそういう意味だったのかと。


「でもね、占い師さん。みんな死んでるんですよ。わたし以外はみんな。キャンプに行く途中の事故で。でも、みんな会いたがってるんですね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る