第24話 ベルンへ
買い物は一通りおわった。
ヨルムンガンドの背丈程ありそうな剣、マント、ランタンと火種、日持ちする食料を多数を購入。
それに簡素な服と最低限の皮の具足、そしてヨルムンガンドにも同じものを購入した。
トラバルトには女性の服を見繕う事が出来ないので彼女に選んでもらった所、「同じの」という事で話は決まったようだ。
とはいえ、足部分だけは長丈では落ち着かないらしく膝上で切ってしまった。
こうして2人は旅支度を終え、村人達に見送られ出発した。
トラバルトは村長に再訪を約束し、ヨルムンガンドは村の女の子に自らが着ていた衣服をプレゼントしていた。
彼女が初めて訪れた村がオステインで心底良かったとトラバルトは胸を撫で下ろすのだった。
これから向かうのはクドゥ王国なのだが、その道中、タニア領の街や村が各所にある。
その内の一つ、タニア第二の都市ベルン。
ここには国営ギルドの支所もあり、本来であれば人の往来も盛んで、様々な情報が集まる。
トラバルトはまずベルン自体の様子は勿論、各国の情勢を調べるべくここを最初の目的地とした。
運がよければ騎竜と呼ばれる、希少な人を運べる生物が手に入るかもしれない事も見逃せない点である。
騎竜は個体数が非常に少なく、繁殖も難しい。
小さな村や街ではまず扱っておらず、基本的に騎竜に乗るのは豪商や貴族といった身分の者達であった。
その点からやや目立つ事は避けられないが、その快足は頼もしく、人の何倍もの速度で駆けてくれる。
ベルンにはその騎竜を扱う店があるのだ。
最も、騎竜屋なのに扱う騎竜が1匹もいない場合もあるのだが…。
いずれにしてもこれからの旅を考えると是非とも欲しい所である。
だが不安もあった。
(ベルンでも何も起きなければいいが)
トラバルトは隣を歩く彼女を見つめた。
ベルンは。オステインとは比べ物にならないほど大きい。
それだけ人の数も多く、その数分だけの考え方がある。
トラバルトは一瞬、彼女が心ない中傷や暴力に晒されてる場面を想像してしまった。
(自らへの誹りとは比べ物にならない程辛いな。)
嫌な考えを消すように首を横に振り、身を引き締めるのだった。
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