第13話 道連れ


ヨルムンガンドが目を開くと世界は90°傾いていた。


木々から刺していた光は陰りが見え、時間の経過が感じられる。



(結構寝ちゃったのか)



ヨルムンガンドが体を起こすと隣の木にもたれかかり目を閉じていたトラバルトがいた。



(…。)



そのまま暫く眺めていると彼は目を覚ました。


「ああ、おはようございます。

いけませんね、私も眠ってしまうとは。」


トラバルトは幼少期の経験から睡眠中であれ敵意には鋭敏であったが、それでも1人ではない状態では少し迂闊だったと反省した。



ヨルムンガンドはふるふると首を横に振り気にしてない事を告げた後、トラバルトに尋ねた。


「将軍はこれからどうするの?」



「私も貴殿が起きたらお話ししようと思っていました。」


そう言いながらニコリとトラバルトが涼しげに笑いかける。


「私は旅に出ようと思います。

お話し頂いた情報通りなら、恐らく戦争は近いうちに終結するでしょうから、これからは多くの難民が出たり、異種族間の問題が顕在化してくるはずです。

私は学が乏しく、人の為に使えるものなどこの武しかありません。

ならばその少しでも使える部分を必要としている人々の為に使う旅をしたいのです。」



話を聞いていたヨルムンガンドは一言告げた。


「よく、わかんない。」



トラバルトはたまらず笑ってしまいそうになったがなんとか堪えて続けた。


「ま、まぁ、要するに困っている方々の力になるべく旅をしたいのですよ。」



表情は動かぬがヨルムンガンドは、少し不安げに言った。

「また、戦うの?」



トラバルトはそんな彼女の目を真っ直ぐ見据えて言った。

「はい、戦います。

しかし今度は私が納得をした戦いをするのです。

なるべくなら殺生沙汰にはしたくありませんし、もし必要に迫られても、それは私がそうするべきだと納得した上で行うのです。

中々傲慢でわがままだと我ながら思うのですがね。」



「嫌々戦うわけじゃ、ないんだね」


不安が解消された声でヨルムンガンドは話し、トラバルトも「はい」とにこやかに答えた。


そして何やら躊躇いがちにトラバルトは「それとですね」と言いかけたがうまく言葉が繋がらなかった。



「?

どうしたの?」



トラバルトは少し自信なさげだった。

「その…ヨルムンガンド殿も一緒にどうかな、と思いまして。」


そう言った途端ヨルムンガンドは「え」と漏らし固まってしまった。



その反応を見てトラバルトは内心少し焦っていた。


「あ、いや失礼しました。

流石に女性を男との流浪の旅にお誘いするのは配慮に欠けていましたね。」



すると俯いていたヨルムンガンドが「違う」と呟き、今度はトラバルトが「え?」と漏らしてしまった。



「私、一緒に行くものだと思ってたからビックリした。」




「え?」

再度トラバルトはそう漏らした。

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