ノレスと……
「勿論じゃ。 あれは出会った時からかのぅ……我は今日という日が来るのを待ちわびておったのじゃ」
「なんで……」
(そんな……今までのが全部演技だったなんて……)
アスタルテはショックのあまり顔が熱くなり、視界が滲む。
「さぁ、我が愛しの君よ。 儀式を始めようか」
ノレスがアスタルテの頬を撫でる。
「本当に……」
「ん?」
「本当に、する気なの?」
「そりゃあ当然じゃろう? ここまで来てやらぬなんて有り得ぬ」
「後悔は、無いんだね?」
「何を今更……後悔などする訳が無かろうて」
「そう……分かった…」
「お、おいアスタルテ…? 様子が変じゃがまさか嫌な」
ノレスの言葉に耳を傾ける事無く、アスタルテは両腕に全ての力を込める。
(凄く、物凄く悲しいけど……覚悟は決まった。 少しずつ回復してきた魔力を全て使ってノレスを倒す……例え相打ちになろうとも!!)
「ぐぎぎ……こ、このぉ……!!」
アスタルテは両腕が折れる勢いで力を込め、触手を引き剥がそうとする。
魔力の回復がまだ少なすぎてスキルは使えないが、腕力に割くことは出来る。
「ちょ、ちょっと待てアスタルテ!! 一体何をしておる!? 我とするのがそんなに嫌なのか……?」
「このまま黙って殺される程私はヤワじゃないから!!」
「は…? 誰がお主を殺すじゃと!?」
「え? 誰ってそりゃノレスが…」
「我がじゃと!? それは冗談にしてもタチが悪いぞ!?」
「え…」
呆気に取られたアスタルテは首を傾げる。
「ちょっと待つのじゃ。 そもそもどうしてそのような思考になったのか申してみよ」
「え、だってノレスが転生者を殺すと元の世界に戻れるって言ったから…」
「その話はまた後にって言ったではないか」
「え…? でも、身体を捧げてくれってつまりそういうことなんじゃ…」
アスタルテの言葉を聞いたノレスは額に手を当ててため息をつく。
「はぁ全く…何故こんなことになったのじゃ…」
「だって話を切り出すタイミングおかしくない!?」
「我々はこれから一線を越えるのじゃぞ? ならば転生者であるという重要なことを話しとかなくてはならぬと思ったのじゃ。 ちゃんと素性を明かさなくてはならんじゃろう?」
「えぇ……それじゃあ、身体を捧げるっていうのは一体どういうことなの?」
「ふむ」
ノレスはニヤリと妖艶な笑みを浮かべると、アスタルテのお腹を指でなぞる。
「至極単純な事じゃ。 我との子をそなたに授かって貰いたい」
「…………。 え、ええぇ!?」
思いもよらぬノレスの発言にアスタルテは驚く。
「心配はいらぬ。 出産の際の注意事項や子育ての仕方などが書かれた書物は全て頭に入れておいたからの」
「気が早くない!? というか最近図書館に行ってたって聞いたけどまさかそのためだったの……?」
「そうじゃが?」
「はぁ……じゃあ今日一日部屋に籠ってたのはなんだったの?」
「お主の覚醒状態を解く為に触手ちゃんの魔力を抜き取ったり、うっかり調整を誤らぬように準備しておっただけじゃが?」
「…………」
アスタルテはがっくりと項垂れる。
(まさか…全部私の勘違いだったなんて……数時間前の私を殴りたい……)
「とにかくじゃ」
ノレスはアスタルテの顎を持ち上げて目を合わせる。
「我はお主を殺そうとなど思っとらんし、やましいことなど皆無である」
「ごめん、勘違いしてたよ……」
「誤解が解けたのであれば良い。 ではそろそろ良いか? もう我は我慢ができそうにないのでな」
そう言ったノレスのお腹の下から、何やら禍々しいモノが出現する。
「ちょ、ちょっと待って!?」
「なんじゃ? もう爆発しそうなんじゃが……」
「私、子供を授かることに関して良いって言ってないし、そもそもそんなの入る訳なくない!? あといきなり入れるつもりなの!?」
「駄目じゃ。 我との子は絶対に孕んでもらうぞ、我が一番最初にお主に出会ったのだし、我が長年我慢してきたんじゃからな」
「そんな……心の準備が…」
「今すぐに準備すれば良かろう」
ノレスはアスタルテの拘束を解くと、ベッドへと運ぶ。
そして自身の服を脱ぎ捨てると、アスタルテの服に手をかける。
「確かに順番は大切じゃな。 しかし、我は本当にもう我慢の限界なのじゃ」
「あーもう分かったから! といっても、一回で絶対にできるとは限らなくない?」
「ふっ、安心せい。 絶対に孕ますスキルを使っておるからの」
「そんなスキルあるの!?」
「我が作ったんじゃ」
な、なんてくだらないスキルなんだ……
それにしても私が子供を……
うぅ、出産ってものすごく痛いっていうし、大丈夫なのかな……
「アスタルテよ」
「ん?」
ノレスがなにやらそわそわしているのを見てアスタルテは首を傾げる。
「す、すまぬ、本当の本当に我慢が限界なんじゃ……このままでは理性が無くなってしまう。 一回出させてはくれぬだろうか……」
「そ、それはいいけど……いや、だからそんなの無理! 入るわけないでしょ!?」
ノレスが腰をアスタルテに押し付けているのを見て、慌てて止めに入る。
アスタルテの身長がおよそ135辺りなのに対し、ノレスの身長は190以上だ。
つまり、私は幼児体系で相手は一般男性以上なのである。
ということは当然私は小さい訳であって、ノレスは大きいのである。
────そう、ノレスは大きいのである。
「ねじ込めばいけるじゃろ」
「夜の営みに関してねじ込むなんて言葉聞いたことないんだけど!? 仮にねじ込んだとしても私にあるの苦痛だけだから!」
「仕方ないのう……ほれ、これなら良いか?」
ため息をついたノレスはソレに手をかざすと、ソレは二回りほど小さくなった。
「そ、そんなこともできるのね……」
「我に出来ん事は無い」
ノレスは言葉と共にアスタルテに覆いかぶさると、アスタルテにキスをし腰を動かした。
「ふぐっ、んんん……!」
アスタルテは下半身から来る痺れるような感覚と、激しく絡まるノレスの舌に意識をかき回されていたが、お腹に広がる暖かい感じに気付きノレスの顔を剥がす。
「の、ノレス……まさかもう出したの…?」
「すまぬな。 お主と交われる興奮と長く食らっていたお預けから、もう我慢できんかったんじゃ」
「そ、そう……ってなんか逆流してるけど!?」
「む、我の愛を全て受け止めてくれると思っておったが……さすがに容量が小さいのう…」
「いやどう考えても出しすぎだって!」
「そうじゃ、後で大人の姿になっておくれ、そのお主も愛したい」
「うっ、いいけど……改めて面と向かって愛したいって言われるとやっぱり恥ずかしいな……」
アスタルテが赤面していると、その間にノレスはごそごそとなにやら動き始める。
「ノレス?」
「気付いたんじゃが、こっちは行き止まりがないじゃろう?」
「こっちって? ま、まさか……ちょっとまっ」
「ほれ」
「んぐぁ……!? ちょっと、ノレスぅぅ!?」
「アスタルテ……アスタルテよ、我はお主の全てが愛おしくてたまらぬのじゃ。 出来れば最低でも一か月は休みなく交じり合いたいが……我には一日しか許されておらぬ。 ならばせめて……この一日で出来るだけやろうではないか!」
今までどこか理性的なアスタルテだったが、この瞬間頭で何かが切れたのであった──────
後日、アスタルテはこう語ったという。
「雨の日に一回濡れると、なんだかどうでもよくなってもう傘畳んでずぶ濡れ上等!ってなるじゃないですか、あれと同じで一回リミッターが外れるともうどうなっても構わない!ってなっちゃうんですよねー……ええ、今思い返しても叫びだしたいくらい恥ずかしいです……」
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