閑話 アスタルテとのデート
プロローグ ~アスタルテとのお出かけ計画~
今日はレーネさんと2人きりでお出かけだ。
アスタルテは少し早めに起きて部屋で支度を始める。
なんせ今日から4日間予定がギッチリ詰まっているからである。
事の発端は一昨日に遡る─────
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「う~ん、とりあえず新居での生活も落ち着いてきたし、街の探索でもしたいなぁ…」
アスタルテがぼそりと呟く。
ここを購入してからというものの、家具の購入や家でのルール決め、実際に生活して気になるところの改善などなど、落ち着いて街の散策をする機会が無かったのだ。
今ならそれらも無事に解決したことだし、住んでいる地域の探索をしてもいいかも知れない。
アスタルテが考えていると、近くにいた三人が同時に反応する。
「それなら、私が案内するよ」
「なら、ウチと散策にでも行こうぜ」
「…私…案内する…」
まさかの同時発言にそれぞれは顔を見合わせる。
「私がこのグレイスにおいては一番詳しいと思うよ?」
「悪いがレーネ、ここに一番詳しいのはこのウチだ、ウチがアスタルテを案内する。」
「…ゼル…方向音痴…私が一番…詳しい…」
「ウチは方向音痴じゃねえ!」
気づいたら誰が一番詳しいかで口論が始まってしまった…
「え、えっと~、全員に案内してもらうというのはどうでしょうか…?」
アスタルテはおずおずと手をあげて聞いてみる。
「アスタルテ君、それもありだと思うけど、出来れば私が君をエスコートしたいんだ」
「アスタルテ、ウチが一番良いこの街の周り方を知ってる、他には譲れねぇ」
「…私の…案内が…一番分かりやすい…」
(えぇ…別にそんな気合いを入れるほどじゃなくて、フラっと買い物気分で行こうと思ったんだけど…)
しかし、今更そう言える雰囲気でもなく…
アスタルテがどうしようかとおろおろしていると、ノレスが口を開いた。
「じゃったら日を分けて一人ずつ案内してやったらいいじゃろう…というか、お主らはただこやつと二人きりでデートしたいだけじゃろうが」
ノレスの言葉でレーネとコトハはハッとし、ゼルは顔を赤くした。
「ふむ、確かにそれが一番の解決策だな、そうしようか」
「…異論…無し…」
「ゼルもそれでいいね?」
「でで、デートって!う、ウチは別にそう思ってた訳じゃねえ!」
ゼルが顔を赤くして叫ぶ。
「ふむ、それじゃあゼルは辞退するって事でいいかい?」
「んなこと言ってねぇだろ!ウチもそれでいい!」
「…ゼル…闘牛モード…」
「コトハ、てめえぇぇ!」
なんか…状況悪化してない…?
「なんなら、我もお主とデートしたいからの。順番はそなたらに任せるぞ」
(あの…私の意志とかって…聞かれないんですかね…?)
こうして、アスタルテは全員とデートに出かけることになったのであった。
結局くじ引きの結果一番レーネ、二番ゼル、三番コトハ、そして最後にノレスという順番になった。
アスタルテが知らぬ間にルールも決められていたらしく、それらの内容は、
《その日は一日、案内者のみがアスタルテと過ごす。》
《他の者は邪魔にならないように大人しくしていること。》
《翌日の朝になったら次の案内者がアスタルテとの行動権を得る。》
の3つだった。
うん、完全に私の意志は関係ないみたいですね、ハイ。
(ってか、その日の夜までならともかく朝までかよ!!)
疑問に思うも口にしないアスタルテであった─────
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