第35話 九十九神とデビル神

 2体の悪魔、

 しかし九十九神は悪魔の様に見えて悪魔ではない、

 こちらのデビルアーマーの方が悪魔そのものである。


 九十九神の方から出てくるのは体にあらゆる御札を張り付けられているものだから、

 僕はてっきり悪魔かと思った。

 しかし、デビルアーマーから出て着たのは、

 正に悪魔そのものであり、

 赤い形相と赤いマント、白い鋭い牙がずらりと生えており、

 背中には黒い翼が生えている。

 そいつはくっくっくと笑い続ける。

 それでも言葉を発さない事から、


  

 2体の化物達は話す事はせず、全てを分かり合っていたのだろう。


 時間外の世界、

 そこには時間そのものの概念がなくて、

 沢山の物や生き物たちが静止している。

 その時間外の世界で2つの強大な力と力がぶつかり合っている。

 まるで映画でも見せられているような光景に、

 

 僕はぞわりと寒気を覚える事になった。


 九十九神が体のパーツを置き去りにして、

 全身を御札でぐるぐる巻きにされている状態でデビル神に飛来し、 

 デビル神はそこに向かって力を溜めた拳を叩きつける。  

 衝撃波が沢山の物をふわふわと浮かばせる。

 もはやこの世界の理がめちゃくちゃになろうとしている。


 

 これは本当に神様と神様の戦いそのものであった。

 拳と拳がぶつかり合っただけで、全てが壊れそうになる。


 次の瞬間、時間が動き出す。

 どうやら時間外世界にいられるのは時間が限られているみたいだ。


 九十九神が分離した状態から融合し、元の九十九神になった。

 デビルアーマーから分離したデビル神も融合し、元のデビルアーマーになった。


 ほっと一安心すると、


 周りでは当たり前のように戦いが続いていた。


 ダークコングのビックフットとスモールゴリ

 グリフォンのグーリーズ

 ヤタガラスのガラガラ

 

 この魔人島でテイムした新しいモンスター達は一緒に命を賭けて戦っている。

 沢山のゴミがら落下してくると、ビックフットとスモールゴリはフォーメーションを組んで僕をゴミから守ってくれる。


 グーリーズは巨大な体で、沢山のゴミをその鋭い両足のカギヅメでかっさらっていく、

 ガラガラは黒い翼を上手く活用しながら、竜巻のような風を発生させ、九十九神のゴミの体を分離していく。


 どうやら九十九神はある程度ゴミが分離しないと再びゴミを融合させる事が出来ない、

 それか、一度剥がれたゴミは二度目は融合出来ない可能性がある。

 沢山の可能性はあるが、まずは1つずつ潰していくい必要がある。


 鋭い矢が後ろから飛来し、

 九十九神の心臓を貫いた。


 その衝撃に沢山のゴミが落下する。


「ナイスだレイ」


「そんなの当然よ」


 狩人の達人のレイは人間の心臓の部分を狙ったのだろう、

 それはどうやらナイス判断だったみたいだ。

 心臓を射抜くと倒す訳ではないようだが、

 一応衝撃を与える事が出来るようだ。


「レイ、こいつの心臓を狙え」


「了解した。言われなくてもやるつもりだったわ」

「それは失礼した」


「なんだか楽しそうです」

「やはり主はそうでなくちゃ」


 2体のダークコングのビックフットとスモールゴリが呟いた。


「それもそうだな」


 戦いは楽しんでやらないといけない、

 そんな気がしていた。


「わしも心配したぞ」


「爺ちゃん、さっきまで静かだったから心配したぞ」

「安心せい、九十九神とデビルアーマーを押さえるのに必死じゃったい」


「やっぱりあれは」


「そうじゃ、九十九神には付喪神が宿り、デビルアーマーにはデビル神が宿っていた。この二つがぶつかり合う事により、神の干渉が始まったという事じゃ、それを止めるのがわしの務めじゃからのう、まあ予兆はあったんだがなぁ」


「それはいいから、今は戦いましょう」

「それもそうじゃ」


 僕が後ろに下がると、

 そこに巨大なゴミの塊の拳が飛来し、

 地面を抉り、

 沢山のゴミ達を四散させていた。


 まだまだ九十九神を倒せそうにないと考える状態であった。


「おい、ヤマアキ、九十九神の心臓を狙っているのだが、反応がなくなったぞ」

「それはどういう」


「恐らくコアの部分を移動させたのじゃろう」

「つまり、心臓を移動させた? って事か爺ちゃん」



「そのとおりじゃ」


「なら、うちは自分の感性を頼りにして狙っていいかしら?」

「そっちは任せた」


「承知」


「ビックフットとスモールゴリは落下してくるゴミを排除してくれ、僕を守ってくれ」


「主人を守るのがゴリラの役目です」

「小さくてもゴリラですから」


 2体のダークコングはウホウホと言いながらにこりとしていた。


 空気を吸い込んで走り出す。エンジェルスタッフことエンジェルライフを持つ、

 エンジェルライフと覚えると杖のイメージがないので、エンジェルスタッフと認識するようになっていった。

 

 エンジェルスタッフは杖状体から魔法剣に変形でき、

 その武器スキルには翼を生やす事が出来る。


 そのスキルを発動させると、

 ダークコング2体にも翼が生える。

 これは他の相手にも翼を生やす事が出来る。


 レイにはやめておいた。彼女は足場があるほうが狙い撃ちしやすそうなので、


「すごい、このビックフットが空を飛んでいる」


「スモールゴリもだ。ゴリラがついに進化したのか」


「違うそれは僕のスキルだ。僕が空から魔法を連打するから、君達はガードしてくれ」


「任せろ」

「まかしんしゃい」


「ヤマアキよ何をするつもりじゃ、ほう、なるほど、考えたな」



 爺ちゃんがにやりとほくそ笑むと、

 それを発動する為、祝詞を呟いた。 

 全ては作り物、そのような祝詞はない、

 それを発動させる為の気持ちの整理、心の整理という奴だ。


 空に掲げるエンジェルスタッフまたはエンジェルライフ。


 スキル【攻撃魔法レベル3Max】と【手加減】を発動させていた。

 攻撃魔法レベルの3Maxの恐ろしさは、

 今そこに出現した。無数の炎の塊が意味していた。


 それはもはや、無差別に発動したらこの魔人島を焦土とする事が出来る程のパワーであった。

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現実と異世界を行き来しながら無人島育成計画~爺ちゃんと僕の伝説で成り上がり~ MIZAWA @MIZAWA

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