第25話 レベリング中

 祖父の力説はやはり分かりやすかった。


「不意打ちというスキルはのう、先程ヤマアキがやったような不意打ちの効果を跳ね上がらせる事が出来るのじゃ」


「という事は次の不意打ち攻撃の成功率と攻撃率が上がると思っていいのですか?」

「その通りじゃ」


 祖父がうんうんと頷き。


「そこで暗殺者の資格を覚えたあたりがお主が憎めない所じゃのう」

「なぜ憎めないのですか?」


「だって不意打ちスキルと暗殺スキルは2つ揃って最強と呼ばれるスキルじゃ、暗殺者の資格とは、敵に気付かれずに敵を倒すという事、そして不意打ちスキルがあるおかげで、さらなる成功率がある。ラジオ体操しながらでも殺せるぞ」


「なぜにラジオ体操?」


「わしの趣味みたいなものじゃ」

「それは失礼しました」


「では次じゃが、魔法使いの卵じゃが、魔法系の技が格段に跳ね上がるのじゃ、先程ヤマアキが使った光魔法じゃが、この魔法使いの卵があれば格段に攻撃力が上昇するのじゃ」


「なるほど、それでは今後使いまくったほうがいいと」

「そう言う事じゃ」


「最後の戦略はなんなのです?」

「戦略は計画を練って相手を倒す時の閃きが上がりやすくなるスキルじゃ、先程お主がビップを使っての戦略、アレでスキル習得の条件が揃ったのじゃろう」


「なるほど」


「という事でここはインプ狩りをお勧めする」


「もちろんですね」


 それから僕とはダークインプ狩を始める事とした。

 ビップが毎回仲間を誘惑する。

 どうやらダークインプでのメスという立場は使えるものみたいだ。


 次から次へとダークインプを不意打ちして殺して行く様は、 

 卑怯者にでもなりそうだった。


 5体のダークインプを倒した程度になると、 

 またもやレベルが上がったのだ。

―――レベル6になりました。おめでとうございます―――

―――剣豪レベル2を習得しました―――

―――弓術レベル2を習得しました―――

―――素早さレベル3Maxを習得しました―――

―――知力レベル3Maxを習得しました―――

―――畑作業レベル3Maxを習得しまし→畑開拓者レベル1―――

―――攻撃魔法レベル3Maxを習得した→賢者魔法レベル1―――




 それから深夜になるまで、ダークインプ狩りを続けていた。

 魔人島らしく鬱蒼と暗くなる島に、

 不思議と僕は恐怖を抱かなかった。

 なぜなら暗くなっても蛍の光のような塊が沢山浮いているし、

 お月様自体がとてつもない光の為、

 暗さに支配される事が無かったからだ。


 今僕とビップは闇色の草原に大の字で横になっている。

 お月様を沢山見るこの景色が最高で、

 とても気持ちのよい景色だったからだ。


 その後もダークインプ狩りを続ける事になった。


 それでもレベルが6以上になる事はなくて、

 そろそろダークインプ狩りではダメなのかもしれないと思うようになってきた。

 僕はさらなる奥地に進もうとして止めた。

 一度ファンタリアル島に戻る事にする。

 ビップを船に乗せると、 

 彼女はとても嬉しそうにワクワクした眼差しで今後住むであろう場所を見ていた

 

 船は自然とファンタリアル島に戻る事になった。

 

 島の浜辺では錬金術師のミュンさんが海水を摂取している。

 それで何を作るのかは分からないが、少し恐怖を感じる。

 だって彼女は回復薬を作るつもりで爆薬を作る人なのだから、

 あの爆薬は僕のアイテムボックスにて眠っている。


 あれをどこで使用するか、ちゃんと考える必要があると、

 この時の僕は思い始めている。


「ビップさんは何か出来る事でもあるかい?」

「えっとお花があれば魔法で蜂蜜を作ったり出来ますわよ」


「花かぁ、薬草系ならあるんだけど、よしシルカさんに相談してみるよ、こっち着てくれ」

「はいですわ」

 

 風の精霊シルフのシルカがモンスターハウスで過ごしていない事を願って、

 畑に到達する。

 そこには信じられない光景が広がっていた。


 まず沢山の作物の花が成長している事、

 そしてごく普通の花が沢山成長して花びらを咲かせている事だ。

 

 風の精霊シルフのシルカは一生懸命水やりを続けていた。


「あら新入り?」


「そうです、彼女は花の蜜から蜂蜜を作る事が出来るのですが」


「へぇ、それならこの花たちを使ってよ」


「だそうですよビップさん」

「それならぜひ使わせてもらいますわ、最高な蜂蜜が出来ると思ってくれていいですからね」


「期待しているよ」


 ビップさんとシルカさんはよき相棒になってくれる事を願った。

 シルカさんも女性なので、女性同士話が合うといいのだが、

 そのような事を僕は考えていた。


 そいてついにこの時間がやってきた。


「ふ、孫よわしの修行を受けて見ぬか」

「もちろんです師匠」

「師匠はやめろお爺ちゃんと呼べ」

「了解しましたお爺ちゃん」


「よろしい、では今日の修行は外でヤル」

「いつも外でしたが」

「ふ、気合を込めてみた」

「そ、そうですか」


「では今日の修行はわしが朗読するから筋トレしろ」

「今日の修行はとかじゃなくほぼ毎日それでしょ」

「筋トレは基本中の基本じゃ、これが出来ないようでは、偉そうな事は言えぬぞ我が孫よ」

「そんな分かってるよ、あんたの筋トレはめちゃくちゃなんだよ」

「あんたではないお爺ちゃんだ」


「お爺ちゃんの筋トレは普通じゃないんだよ」

「ふ、世の中に普通があるのか?」


「どこにでも普通はあるぞ」

「そ、そうだったのか」


「爺ちゃん、意外な新事実に気付きました適な乗りはやめたまえ」

「ふ、ばれたか、そわそわ」


「口で言う程そわそわしてんのかい」

「まぁいい、今からやる修行はいたってシンプルだ」

「はい」

「ジャンプしろ」

「シンプルすぎるだろ」


「20メートルジャンプし」

「殺す気かい」


「いいか人はやれば出来るんだ」

「やれば出来ない事を爺ちゃんは学んだ方がいい」


「孫よお前は攻撃力レベル3Maxになっている。そして攻撃魔法レベル3Maxsにもなっている。それを使ってやってみろ」


「えーと、なるほど」


 僕は頷きつつ、

 攻撃力を足に集中させる。

 そして思いっきりジャンプする。

 空高く舞い上がり、なんと10メートルは行ったではないか、

 祖父は仰天しているがあれはふりだろう、 

 そう簡単に騙されると思ったら大間違いだぞ、

 心の中で突っ込んでいた。


 地面に着地する時は足の攻撃力で足を纏って、

 衝撃を和らげる。そうでもしないと両足が骨折どころでは済まないので。


 それを何度も繰り返し、慣れてくると、

 足にからジェット噴射のように炎の魔法を発動させる。

 なんとか15メートルにまで行く事に成功したのだが、

 何せ足からジェット噴射させる炎系の魔法は、コントロールがとても難しくて、

 変な方向に飛んでしまう、

 一度海に落下して、大変な目にあった。


 それを50回近くやる事となった。

 もちろん祖父は書物を朗読している訳で、

 やはり祖父の朗読は頭の中に吸収されて行く訳だ。


 爺ちゃんはすごいよと心の中で褒めてあげるも、爺ちゃんは朗読に夢中であった。



 ふうと呼吸を吸う、

 これで何度目になるだろうか?

 その時待ちに待った事が起きたのだ。

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