第23話 カップラーメンとモンスターハウス説明

 最初にやってきたのは意外な人物である純白の女神のミュンさんだった。

 彼女は錬金術師であり、色々な研究を屋敷でしている。

 ミュンさんが住んでいる区画は、

 島が成長すると大きくなる所であり、

 異次元のような場所であった。


 彼女はこちらにやってくると、カップラーメンを見ている。


「とても珍しい物ですね、お湯で固めた麺を溶かしているようですが」

「原理はよく分からないけど、お湯で麺を柔らかくするんだよ」


「なるほど、失敬、このカップラーメンを食べてもいいかな?」

「いいですよ」


 純白の女神の称号を持っているミュンさんは、

 ずるずると味噌味のカップラーメンを食べた。

 すると彼女は驚いた表情になり、

 次から次へと夢中になってカップラーメンを食べていた。


「う、旨い、こんなに美味しい料理を食べた事がない」


 その時、風の精霊のシルフであるシルカがやってくる。

 ふわりふわりと空中を泳いでいながら、


 その真下には10体のビーチスライムがやってくる。

 10体のうち1体だけがリーダーでボルルという名前だ。


 グリーンゴブリン達も棍棒を担ぎながらやってくる。

 レッド、ブルー、グリーンの3体はこちらを見てにかりと笑って見せる。


 精霊食い蜥蜴のザランがずるずると蜥蜴のように這いながらやってくる。


 巨岩ノームのノーグは相変わらず頭に巨大な岩の帽子を被っている。

  

 皆が集まると、僕は皆にカップラーメンを提供した。

 それぞれのモンスター達は感激のあまり泣きわめきながら食べている。


「これは体によくないものを使用されているのでは?」

「その通り、このカップラーメンは毎日食べると体に毒とされる。たまーに食べる分ならいいんだよ」

「なるほど、やはり錬金術師としての分析はなまっていないようです」

「ミュンさんは錬金術師としての分析は必要ないのです。ここで沢山美味しい物を食べれば」

「ふ、その通りだな、あまり錬金の事ばかり考えるのも体に毒だ。さてカップラーメンの汁でも飲むとするか、ん、ごくんごくん、ふうーこれはすごい美味だな」


「カップラーメンは汁もとても美味しいのです。皆さんもカップラーメンを食べる時は汁も飲みましょう、体には毒ですが」


 モンスター達はそれぞれ感動の眼差しをこちらに向けている。

 これだけ旨いものを提供してくれる僕に感動しているようなのだ。

 

「今日はこれまでです。それとモンスターの皆さんにはモンスターハウスについて説明したいと思います」


 その場のモンスター達が頷いている。

 きっと大きな建造物であるモンスターハウスが気になっていたようだ。


「モンスターハウスではあなた達の楽園があると思ってください、あのハウスの中には異空間と繋がっており、巨大な大陸があり、モンスターそれぞれの適応に応じた生活が営める事となっております」


 そして僕としても分かり安い事がある。

 それはモンスター達をリストアップ出来、彼等を【食事、訓練、睡眠】というコマンドで育てる事が出来るし、色々と訓練させて強くさせる事だって出来る。もちろんこちらでの仕事も大事だが。


「1つ質問していいか?」

「どうぞボルルさん」


「そのモンスターハウスに入ったらこちらに戻ってこれるのか?」

「はい、意識すれば、こちらに帰還する事が出来ます。休みの時間などをモンスターハウスで過ごす事も出来ます」

「なるほど」


「ちょっといいでしょうか」


「ザランさんどうぞ」


「そこには蜥蜴が住みやすい湿地帯とかもあるのか?」

「もちろんあります。雪山だって火山地帯だって、色々な場所があります」

「す、すごい」


「まぁモンスターハウスとは楽園みたいなものなのかもしれないのでしょう」


 これは僕の勝手に思い込みだが、

 モンスターハウスを見た時感じた事、

 それはモンスターにとってここは楽園の場所に成りえる所なのだと、

 僕ですら思ったのだから。


「なら行ってみようかな」


 そう呟いたのは、風の精霊のシルフのシルカであった。

 彼女は空中を浮遊しながら、モンスターハウスのドアを開いた。

 正確にはモンスターが近づくと自動で開くようになっている。。


 負けじとほぼ全てのモンスター達がモンスターハウスに入って行った。

 仕事は僕が現実世界に戻っている時にやってくれているようなので、文句は言わず、

 彼等が楽しめる環境も作る事が、モンスターテイマーの資格を持つものとしてやるべき事だと、この時の僕は思っていた。とりあえず、この無人島に名前を付ける事を考えていた。


 眼の前には錬金術師のミュンさんがいた、

 彼女は5本の瓶を持っていた。


 彼女はアイテムボックスを使用出来るので、  

 突然先程まで持っていなかった5本の瓶が出現していようと、

 驚く事ではなかった。


「あの、ヤマアキさん、この5本のポーションが出来たのですが、何が出来たか分かりません、わたしとしては回復ポーション的なものを作ったのですが、途中で訳が分からなくなって」

「は、はは、そうですか、鑑定してみますよ」

「それをお願いしたいのです」


 白いワンピースを身に着けているミュンさんはそれこそ純白の女神という異名があっているものだと思う、だけどその女神はとんでもないポーションを作る傾向があるのだ。


 恐る恐る鑑定すると全てが、


「えっと非常に言いにくいのですが、すべて爆薬です」


「なぜなのおおお、わたしは最高な錬金術師なのに、少し邪念が入っただけで回復ポーションが爆薬になるなんてええええ」

「えとこの爆薬貰っていいですか?」

「貰ってくれるのですか、このわたしを」

「いえあなたはいらないので、爆薬だけを」

「これは失敬、その爆薬は失敗なので差し上げますわ、ふむ、次はちょっと意趣を変えて作ってみようかしら」


 どこまでもポジティブなミュンさんは、屋敷の扉を開いて、

 異空間なのかよく分からない区画に向かって行ったのだろう、

 そして核爆弾をも防ぐ事が出来る錬金術師の部屋に向かったのだ。

 少し想像しただけで恐ろしさが募ったりもした。


 僕は先程から静かな祖父を呼び出す事に。


「爺ちゃん、僕は新しい島に行こうと思うんだけど」

「そうなのか、それならわしの出番じゃ」


「いつでも助言してくれていいからね」

「孫が一生懸命話している所を妨害する事は祖父としては出来ん、さぁレッツラゴー、それとイカダから進化したから」


 祖父の何気無い言葉、

 島を成長させる事で、船が成長したのだろう、

 今の島レベルは10なのだから、


「それと爺ちゃん、この島に名前を付けよう思うんだ」

「それはいい事じゃ、ふむ、わしも考えてみよう」


 眼の前にあるイカダではなく、大きな木造型の船を見た時、  

 僕は感激を覚えていた

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