第17話 なぜか巨岩ノームが、それとモンスターのお仕事

 拠点である無人島でモンスター達を数えて行く、

 ビーチスライムのリーダーであるボルルとその配下のビーチスライム9体、

 グリーンゴブリンが色分けで3体、

 精霊食い蜥蜴が1体。

 何かが1体。


「うん、待てもう一度計算してみよう」


 全員で14体のはずなのに何度数えても15体になる。

 まるで岩のような何かがいるのだが、

 それがちょこちょこと動くので捉えきれない。


 ついに僕はちょこちょこと動く小さな岩の塊を捕まえる事に成功した。

 モンスター達はその存在にいち早く気付いていたが、

 僕が気付いているとばかり思っていたようだ。


―――巨岩ノームが仲間になりたさそうにしている―――


 そのような瞳で見ないでくれとは言えず、

 その小人のような、茶色い人形モンスターは、 

 ゴブリンとは違って醜さより可愛さが強い、

 瞳をウルウルとさせて、こちらを必至の形相で見つめている。


「仲間になっていいよ」


 すると巨岩ノームはぱあっと輝く微笑みを浮かべて、

 僕の足元にすりよってきた。

 思わずの出来事でとてつもなく可愛いと思った。


―――おめでとうございます。巨岩ノームを仲間にしました。名前を付けてください――


「君はノーグだ」

「ありがとう、巨岩ノームはノーグだ。これからもノーグだ。よろしくなのだ」


 ノーグはとても嬉しそうに言葉で返してくれる。


―――おめでとうございます。初級モンスター島のモンスターをコンプリートしました。スキルが付与されます。【魅力使い】―――


「爺ちゃん、モンスターをコンプリートすると何かがあるとは思っていたけど、このような物なんだね」

「その通りじゃ、1つの島にいる全ての種族のモンスターを仲間にすると、いい事がある、それは何もスキルだけに限った事ではない、色々な恩恵があるのじゃ」


 爺ちゃんはホログラムの状態で一生懸命説明してくれる。

 僕はそれを頷いて聞いていた。


【魅力使い】とはどうやらモンスターや動物達から好かれる魅力が常時発動し続ける事みたいだ。


 これでモンスターのテイムのしやすさが上がるだろう。


 それとマジックボードはアイテムボックスにしまってあるので、

 いつでも新しい魔石を見つけたら嵌める事が可能で、

 100個の同じ魔石が揃った時、連打で入れる覚悟は出来ている。

 それまでの魔石の使い方はモンスターに上げるかどうするかで考えている。


 祖父が言うには例えばスライムの窪みに100個嵌めると称号が貰える。 

 それは結構大事な事なのだとか、

 祖父はこれをコンプリトートしたとの事、負けていられないと、思い出していた。



 そんな事を思い出していたら、

 モンスター達の仕事配分の事を考えていなかった。


「ではビーチスライム達はこの島の掃除だ。もちろん屋敷の中の掃除もしてくれていいぞ」


 ビーチスライム達が敬礼みたいなものをして1体のリーダーと9体の配下達が散り散りになり、

 本能に任せてゴミを食べて行く。


「それと紙や落ちている物は食べなくていいから」


 またビーチスライム達は敬礼して見せるといなくなる。


「ゴブリン達はこの島にある採取をお願いしたい、狩をする時はそれぞれ呼びつけるから安心してくれ」


 グリーンゴブリン達もそれぞれ敬礼すると、3体とも別々の所にいなくなる。


「精霊食い蜥蜴のザランは芋掘りをしてくれ穴掘りはまだしなくていい、芋がある所ならどこでも掘っていい、しかしシルカの畑には手を出すな」


 精霊食い蜥蜴も敬礼して見せた。


 最後が先程からちょろちょろしている巨岩ノームだ

 こいつは何が出来るかまだ聞いていなかった。。

 まだ名前を付けただけであるという事に、

 今更ながらに気付いた。


「ノーグは何が出来るんだ?」


 するとノーグはこちらを見て、


 一応鑑定してみると。


【巨岩ノーム:レベル7】


 なんと驚きなのはテイムしたモンスターの中で一番強かった。

 

「採掘が得意だよ」

「だがこの島には鉱石が出る岩場などは」

「ノーグは臭いで分かる。こっちに来て」


 ノーグが走り出した。

 それもトコトコなのにとてつもなく速く感じた。

 俺は必至で追いつけるように走り出した。

 そこは砂場ではなくて、崖がある場所だった。

 海の水が打ち寄せて、

 崖が崩れている。

 そこにノーグが降りていくと、僕も降りていく、 

 

 海の潮が体に打ち付けるのを感じて、

 それでも海の水が当たっている訳ではないので、濡れる訳でもなく、


 巨岩ノームが帽子のようにしている岩から、

 なんとツルハシを取り出した。

 しかも帽子のような岩は岩そのものであり、ツルハシを嵌めておく鞘のような原理のようだ。


 ツルハシを何度か振り落とす。

 足場の悪い状態に関わらずノーグは何度何度もツルハシを振り落とす、

 するとそこから沢山の鉱石が落下してきて、

 岩場に落ちている鉱石を岩のような帽子に入れていく、

 岩のような帽子はとても沢山の鉱石を入れる事が出来るようだ。


 別にアイテムボックスだと言う訳ではなく、

 ノーグが1個の鉱石を渡してくれる。


「それが一番良い鉱石」


 僕はとりあえず鑑定する事とした。


【鉱石:ダイヤ】


 僕は目を疑った。

 なぜこの世界でダイヤが取れるか、

 だけどこのダイヤを現実に持ち帰って転売すれば最強。


「ならないぞ」


 祖父が突っ込んできた。


「基本的にこの世界の物はあちらに持って行く事が出来ない、出来るのはお主が磨いた魔法とスキルと体だけだ。後あちらの世界の衣服」


「やっぱりかぁあ」

「まぁ分かるがな、わしも同じ事をしようとしたら、あの巻物はそういう物を通さない魔力になっている。本当に都合のいい世界だよなここは、それにわしがそのような事をしていれば、莫大な富が築けたと思うぞ? まぁスキルと魔法と肉体で稼ぎまくったのは事実じゃが」


「だから爺ちゃんは金持ちだったのか」

「それもそうじゃ」


 爺ちゃんのホログラムが色々と教えてくれる事実に感激しながら、

 

「このダイヤは何に使えばいいんだ?」


「まあ今は集めておくといいだろう、今後どのような島が出てくるか分からないのだから」

「そう言う事か、ではノーグ、君は採掘の仕事で頼む、休憩する時は自由だからな」

「はいです」


 巨岩ノームの仕事が決まった所で、

 僕と祖父は修行を始めた。

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