第16話 最初の無人島【初級モンスター島】に決定(後編)


 なんと10体のスライム達がやってくる。


「見た所ゴブリンをテイムしたいようですね」

「ボルル何か策はあるのか?」


「ようはこのボルル達がゴブリンを倒せばいいのです。ボルルの主人はあなたなのです。なのでボルル達がゴブリン達を倒したらあなたが倒したという事になるのです」

「なるほど、考えたな」

「もちろんであります」


「では頼めるか」

「はいです、みんな合体だ」


 そしてボルルは9体の配下と融合をすると、

 僕と同じくらいの大きさの巨大なスライムになった。


 その姿が巨大スライムは、ゴブリンにタックルを仕掛ける。

 グリーンゴブリン達は薬草採取に夢中になっており、

 僕はそれを観戦していた。

 ボルルは1体ゴブリンをタックルで弾き飛ばす。


 すると。


―――おめでとうございます。グリーンゴブリンをテイムしました。名前を付けてください――

 

 1体がテイム完了すると、

 立ち上がったそのグリーンゴブリンはこちらにとことこと歩いてくる。 

 まだ巨大スライムとグリーンゴブリンの戦闘は続いている。 

 2体目を弾き飛ばす事に成功すると。



―――おめでとうございます。グリーンゴブリンをテイムしました。名前を付けてください――


 2体目もこちらにとことことやってくる。

 まるでゲームそのものであり、

 ここはゲームの世界ではない事を僕は知っているのだ。

 だからこそ不思議な気持ちにさせられるのだ。


―――おめでとうございます。グリーンゴブリンをテイムしました。名前を付けてください――


 最後の1体もとことことこちらにやってくる。

 3体のグリーンゴブリンを仲間にする事に成功した。

 そして僕は彼らを見据えて。

 全員を鑑定しても、全員のレベルも同じだから、リーダーを決める訳にもいかず。


「君はレッド、そっちはブルー、そっちがグリーンだ」

「嬉しい、名前、最高、レッドの帽子が赤いから」

「嬉しい、名前、最高、ブルーの肩当だから」

「嬉しい、名前、最高、グリーンの髪だから」


 そうレッドは赤い帽子、ブルーは青い肩当、グリーンは緑の髪の毛だから、そう名付けた。

 その方がとても分かりやすいし、

 

「君達は何が出来る?」

「狩が得意」

「ブルーも狩得意」

「グリーンも狩が得意」

【だけど皆は採集するのも得意】


「じゃあ、君達は狩をするタイミングなら狩を頼む、基本は無人島での採取をお願いしたい」

【まかせて】


「僕に付いてきてくれ」


【御意、御意、御意】


 グリーンゴブリン達の独特な話方は、遠いい田舎の親戚の言葉遣いに似ていたので、

 さほど違和感がなかった。


 まだまだ僕のモンスターテイムの旅は続く。

 僕の後ろには巨大スライムが1体と、ゴブリンが3体歩いている。

 謎のパーティーメンバーを作った。謎の集団と言えば分かるだろうか、

 鷹の目の情報では、ここらへんに【精霊食い蜥蜴】がいるはずだ。

 辺りを見渡すと、

 

 1体の精霊食い蜥蜴が地面から何かを取り出して食べている。 

 よーく見たら、芋みたいなものだった。

 つまり精霊食い蜥蜴はなにも精霊だけを食っている訳ではないという事だ。


 鑑定スキルを発動させる事にした僕は、

 ゆっくりと近づいた。

 もちろん巨大スライムとゴブリンが3体いるのですぐに勘づかれたが、

 鑑定に成功する


【精霊食い蜥蜴:レベル5:仲間条件背中に乗る】


 えっと、恐ろしい条件に僕は臆病になりながらも、

 精霊食い蜥蜴は1体1体を倒して魔石を手に入れるには少し手こずるので、

 この背中に乗る事がベストだと思った。


 それに精霊食い蜥蜴の数もそんなにいないので、

 そもそもこの島のモンスター達は全員殺したらどうなるのだ?



「爺ちゃん、この世界のモンスター達ってどこから出てるんだ?」

「いい質問じゃ、島そのものから出ている。島そのものがダンジョンみたいなものでな、ヤマアキはダンジョンの上を歩いているが、島のダンジョンは基本地上のみで、地下のダンジョンがある無人島は限られているのじゃ」

「なるほど、それで無人島がモンスターを作っていると?」

「創造しているが正しいのじゃ」


「まるで無人島そのものが神様みたいなもの?」

「それに近いのじゃ」


「なるほどねぇ、ならこうするか、ゴブリン達は陽動で、このポイントまで引き継げてくれ、巨大スライムは分裂してゴブリンのフォローをしてくれ」


【うん】


 モンスター達が答えてくれると、 

 僕はそのポイントの木登りを始めた。 

 太い枝の所で枝に掴まって、いつでも飛び降りれるようにする。

 少し離れた場所でゴブリン3体が陽動に仕掛ける。

 すると精霊食い蜥蜴がゴブリンを追いかける。

 3体のゴブリン達は命がけで走っている。

 1体がこけると、スライム達が表れて攪乱する。

 それでゴブリンが立ち上がると、またスライム達が四方に散る。

 


 ゴブリン達3体は僕がいる木の下に到着すると、

 精霊食い蜥蜴が問答無用とばかりに突撃してくる。

 そしてゴブリン達がわっと離れると 

 精霊食い蜥蜴が木に激突し、

 僕は思いっきりジャンプする。

 精霊食い蜥蜴の背中にしがみつくと、

 最初は精霊食い蜥蜴も暴れていたが、

 しばらくすると、静かになる、

 いつものアナウンスみたいなものが聞こえる。



―――おめでとうございます。精霊食い蜥蜴をテイムしました。名前を付けてください――


 精霊食い蜥蜴が静かになると、

 スライムのビーチスライム達、

 ゴブリンのグリーンゴブリン達が次から次へとひっそりと現れる。

 グリーンゴブリンのグリーンはとても臆病なのか草むらに隠れている。

 精霊食い蜥蜴は思った以上に大きくて、

 僕を圧倒させた。


「蜥蜴としてお前の手下になってやる」

「それは助かる。それで君は何か出来るんだい?」

「それは芋掘りと、穴掘りだ」


「名前はザランでいいかい?」

「うむ、格好いい名前ではないか」


「ではザラン、芋掘りと穴掘りをお願いしたい、穴掘りはまだしなくていいから」

「承知した」


 後は風の精霊のシルフと巨岩ノームだが、

 すでにシルフは1体仲間にしているので、それは放って置くとして、

 巨岩ノームは次の機会にした。巨岩ノームは未知数なので、時間を見てテイムしに行こうと決める。

 僕達はイカダに乗る事とした。

 しかしイカダはそんなに大きくないので、

 全員を乗せる訳にはいかない、

 ので3往復してモンスター達を屋敷のある無人島に漂着した。


 ザランを見たシルカは悲鳴を上げそうになっていたが、

 ザランが頭を下げて、食べるつもりはないと告げると、

 シルカの相棒のような存在になっていた。



「なぁ爺ちゃん、船を大きくする必要もあるな、もしかしたら大きなモンスターを仲間にするかもしれない」

「ふむ、そろそろじゃと思った。島レベルを10にすると船を1ランク上げる事が出来る」

「なるほど、その為には沢山島の巨木に餌を食べさせないとな」

「その通りじゃ」

「では深夜の2時まで色々とやる事もあるじゃろう」

「そうですね、まずはモンスター達の配分指導だね」

「その通りじゃ」


 かくして僕と爺ちゃんは新しく出来たモンスター達の仕事配分する事となった。

 この世界では不思議な光もあったり、

 月がとてつもなく光る時は、まるで太陽のように明るい。

 だから夜でも結構視野は広がる。


 そんな世界なのだここは。


 とても最高であった。


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