第14話 祖父の隠し部屋
「わたしは錬金術師で自分が造った永遠の眠りという薬を間違って飲み物として飲んでしまったようで、こうなりました」
「すごいドジっ子なんだな」
「それは誉め言葉ですか」
「もちろん、誉め言葉です」
「わたしは錬金術で色々と薬を作る事が出来ます。どうかあなたの島で生活させてくださいませんか、もちろん錬金術で色々な薬をつくるので」
「それはとても嬉しいけど間違ったものを飲まされたりしたら」
「それもそうですわね、ああ、あなたはわたしの事がいらないのですわね」
「なぜそこまでお姫様的になるんだよ」
「わしが思うに、お主が毎回鑑定すればいいのでは?」
「そうでした」
つまりミュンが造った薬を僕が鑑定して効果を確かめるという方法だ。
それに今更気づきつつも、
「そういう事でしたら思いっきり失敗出来ますわね」
「それはダメな方の理解かと」
僕が突っ込むとミュンはにこにこと笑う、
とても笑顔の可愛らしい美少女なのだろうと思った。
なぜこの島にいたのか、
そしてこの島が出現する前はどこにいたのか、
色々な事を尋ねたい気もした。
だけどそれはミュンが自分から話してくれるのも待つ事にしたし、
どうしても聞きたい時はゆっくりとした口調で尋ねればいいだろう。
僕のいる無人島よりたった2倍程度の広さの無人島は、
探検すると、特に何も見つかる事はなかった。アイテムもそして素材系のアイテムもモンスター達ですらいなかったのだから、
僕達はぼろぼろのイカダに乗って、自分の無人島に戻る事とした。
そこではシルカが一生懸命畑作業をしている。
とはいえ殆どが魔法のようなそれでいて、
シルカは指揮者のように両手を動かしているだけなのだから、
ミュンはシルカを見ると、
ぱあっと顔を輝かせて、
シルカを抱きしめてしまった。
「はうぅ、可愛いです」
「彼女はミュン、シルカは風の精霊で僕がテイムしたんだ。彼女は農作業をしてくれるよ」
「それはとても頼もしいです」
「御姉さまはミュン様ですね、今後よろしくです」
「はい、よろしくです」
ミュンはにこりと笑っていた。
僕とミュンは屋敷に入る事に、
そして祖父は告げるのだ。
「錬金術に使える部屋がある。こっちにきてくれ」
そこは本棚しかない書斎だ。
1棚の本棚のある本を引き抜くと、
書斎が動きだし、
そこには沢山の部屋が存在していた。
「ようこそわしの隠し部屋へ」
「爺さんすげーよ」
「そうかいのう」
僕は爺さんが格好良く見えた。
まるでスパイみたいと。
―――拡散を習得しました―――
―――村長の資格を習得しました―――
そう思っていたら、どうやらこれを覚えていたようで、
拡散は僕が受けている効果を周りに受けさせる事が出来る。
つまり【モンスター言語】を覚えているから、ミュンにはシルカの言葉を理解する事が出来たのだ。
自然にミュンとシルカが会話していたので気づかなかった。
村長はただの資格みたいで、後々色々な力を発揮するだろう。
祖父に案内されるがまま、
まるで赤い小さな精霊のようにホログラムが色々な部屋に侵入していく、
「ここじゃ、昔錬金術師が使っていた部屋なのじゃ、素材系は残っていないが、道具はあらかた揃っている」
「わぁあ、すごいです、こんなに道具があれば、沢山の錬金術が使えますわ」
「それと錬金術師が使っていた部屋がこちらだ」
僕も一緒に行くと、そこには一般的な部屋がある。
「わぁ、わたしは狭い所が好きなのですわ」
「そう言ってもらえてうれしい、お手洗いと洗面所とお風呂はこの部屋にある」
「それも助かります。これで引きこもり生活が」
「いまなんて言った?」
「いえ失礼しましたわ」
「爺さん、この隠し部屋には何個部屋があるんだ?」
「さぁ?」
「さぁじゃねーよ、すごく単純な質問だろうが」
「この隠し部屋も無人島レベルが上昇するたびに大きくなる、わしの時は1000人くらい入れたぞ」
「それマンションよりすげーから」
「そうか? どうやらこの隠し部屋の場所は異次元と繋がっている、だが窓から見える景色は無人島のそれなのじゃ、この屋敷って普通ではないのかもしれないなぁ」
「今頃気付くな爺」
「ふぉふぉふぉ、そう褒めるなて」
「誰が褒めてるんだ。つーかこっちが会話してるのに錬金術を始めるんじゃねー」
ぼふんと煙があがる。
「何気に失敗してるし、ミュンそこまで錬金したかったのか?」
「はいです」
ミュンは可愛らし顔を台無しとばかりに真っ黒い煤だらけになる。
どこでそのようなアイテムを集めた。
「あ、わたしもアイテムボックス使えるので」
「そうでしたかあああ」
どうやらアイテムボックスに大量な素材が入っていたそうです。
「次は何造ろうかな」
「爺さん、錬金術師の部屋の耐久性は?」
「うむ、核爆弾でも平気じゃ」
「は、はは、それすごくない?」
「知ってるか、錬金術で核爆発起こす馬鹿がいた」
「それ確実に爺ちゃんの仲間だろうが」
「ふ、彼がこの世界にいないという事は、別な世界で爆弾つくってるかもな」
「恐ろしすぎるわ」
ぜはーぜはーと僕は疲れ果ててしまった。
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