第11話 苛めっ子たちの逆襲を無効化しました

 明日は高校に行くぞと思って眠りについた。

 夢はあまり見る事はしなかったけど、

 祖父が表れてこちらを見て爆笑していたので、とりあえずお仕置きしておいた。

 

 祖父はそれでもげらげらと笑っていた。


 最高な夢だった。


 目が覚めると、朝飯を食って歯磨きして、制服に着替えて、父親と母親に挨拶して、

 2人とも唖然と口を開けていたけど、


 僕は生まれ変わったのだと、

 再び思う事にした。


 バスに揺られながら、

 周りのOLとか別な高校の女子高生とかがこちらをじっと見て頬を真っ赤に染めている。 

 そちらに僕が視線を向けると、彼女達はとても恥ずかしそうにそっぽを向く、



 どうやらこの顔には女性を引き寄せるスキルみたいな物がかかっているのかもしれないし、

 単純にイケメンだから気になっているだけなのかも、


 僕がデブでチビだった頃の記憶では、周りから好かれるイメージはなかった。


 しかし現在は周りの視線が鋭く感じる程、

 周りはこちらを凝視していた。


 仕方がない事だと割り切る事にして、


 僕は高校に辿り着き、校門を通って、上靴に取り換えて、教室に直行で向かった。

 扉を開けると、そこには沢山の生徒達がいて、

 彼等は僕を見るなり今までなら無視をしてきた。


 だが全員が大きな声で。


「おはよう」


 そう叫んでくれた。 

 とても嬉しくなって思わず僕も大きな声で挨拶をし返すと、

 僕は椅子に座り、授業が始まらないかと待っていた。


「やぁ、ヤマアキ、スマホゲームとかやってる?」

「うん、やってるよ、最近は育成ゲームに嵌ってる。モンスターを成長させる奴」


「奇遇だな、俺もそのゲームやってるぞ」


 このクラスのリーダー格の伊達島君はこちらに一生懸命話しかけてくれた。

 恐らくだけど今まで虐めてきた事が申し訳なく思っているのだろう、

 だが逆に僕にボコボコにされたくないから、必死で話しかけているだけの可能性もある。



 周りに沢山の生徒達が集まって、

 育成モンスターゲームの話をするようになり、

 女子達も何々と加わわる。


 今すごく信じられない現実に直面しているようだ。


 小学生から中学生から、そして現在の高校生までずっといじめられてきた。

 なのに現在は彼等彼女達は僕ににこやかに話しかけてくれる。


 自らの趣味を教えてくれたり、 

 中にはいつか合コンしようと誘ってくれたり、

 

 幸せは唐突に終わる事だってある。


 廊下に続く絞められたドアがスライドして真横に激突した。


 そこに立っていたのは、不良グループの副リーダー格の丸山君だった。

 丸山君は空手や柔道の達人と呼ばれ、

 あらゆる大会で優勝しているとの事、

 その周りには10名程の悪ガキたちがいて、

 彼等はこちらに向かって真っ直ぐにやってくる。


 伊達島君と周りの生徒たちは、一直線に逃げる。


「おいてめー最近強くなって、調子こいてる奴だな、今お仕置きしてやる」


 そう言いながら彼は僕の襟をつかみ持ち上げる。

 だが圧倒的な力により持ち上げられる事はなかった。


「なんつー重さだ、見た目ひょろいのに」


 丸山君は一度手を放して、

 拳を固め、殴りかかった。


 僕は顔面にその拳がヒットするのを感じた。

 避けるまでもなく、顔にダメージは一切ついていない、

 鼻血ですらなく、丸山君の右手の甲から血が流れている。


「何つー硬さだ」


 丸山君は唖然としている。


「てめーらやっちまえ」


「本当に悪ガキだね、丸山君は僕を倒す事が出来ないと思ったら別な奴等に任せるのか?」

「るせーお前の話は聞いてないよ」


「なら無理矢理にでも聞かせてやるよ」


  攻撃力、防御力、素早さのレベルが2である事、

 そしてレベル1でもすごい効果なのに、レベル2だとどれくらいすごいかまったく想像できないけど、

 目の前に向かってただ歩く、

 不良達10名は殴る蹴るをぼこすかやる、 

 それでも微動打にしない僕はただひたすら丸山君に向かって歩き続ける。


 いつしか不良メンバー達は泣きっ面を浮かべながら、


「丸山さん、こいつ無理です止まりません、殴っても蹴ってもこっちが痛いだけです」

「丸山さん、こいつ何も反撃してこないのにこれだけの防御力なのです。こいつが暴れたら俺達死にますよ」

「丸山さん、やばいですこいつまったく微動打にしないです」

「丸山さん、逃げてください」

「丸山さん、死にますよ」


 不良達が全員で僕に覆いかぶさる。

 命を賭けて行く手を妨害する彼等に、

 僕は不思議な何かを感じていた。

 それは彼等の丸山君への忠誠心だ。

 

 とりあえず不良グループ10名を黒板に串刺しにしておいた。


 昨日黒板を治したのに、同じ事をしたので、教師の顔が楽しみだとおもいつつ、


 丸山君は教室の入り口の所に立っていた。

 こっちを見て、にぃと口を釣り上げると。


 こっちに向かって右足で蹴り上げる。


 それを腹にヒットする僕、僕は微動打にしない、


 まったく痛みがない、ただ痒いだけであり、どうやらとてつもない防御力のようだ。


 丸山君は助走をつけて空手の拳を放ってくる。

 それが顔面にヒットすると、

 ぐねりと衝撃で後ろに吹き飛ばされそうになりつつも、

 ゆっくりと、前を見据える。

 

「まったくの無傷化」


 それから空手の連撃が始まった。 

 僕の体はまるでゴム人形のように、ぐねりぐねりと衝撃波を受ける。

 しかし後ろに吹き飛ばされる訳でもなければ、

 打撃などで内臓が負傷する事もない、

 丸山君は諦めが悪いみたいだ。


 僕はとりあえず拳を一発放つ、

 丸山君はまるでピンボールのように弾かれて、

 廊下を縦横無尽でピンボールバウンドしながら、見えなくなる。


 僕は頭をぽりぽり掻きつつ、


「僕が強すぎるのかな?」


 1人で呟くと、

 先生が授業を始める為に教室にやってくる。

 先生は黒板を3度見して、そこで膝をついている。


「うそおおおおおん」


 黒板委は巨大な穴が開いていたのだ。

 先生の慟哭が響き渡った瞬間であった、


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