第8話 無人島の住民1人目

 精霊食い蜥蜴を観察する事にする、

 鑑定で得られる情報は大体習得しているので、

 今調べる必要がある事は、奴の攻撃方法、

 右手と左手には鋭い爪が生えている。

 尻尾には棘がある。

 観察していたのだが、

 突如我慢出来なくなったのか精霊食い蜥蜴がこちらに向かって走ってくる。

 

 僕は咄嗟に先程ゴブリンの血でチャージしたものをブレイクさせる。

 血の弾丸となって、精霊食い蜥蜴の頭にヒットするも、

 まるで堅い鱗に阻まれているかのように弾かれる。

 クリムゾンリッパ―を構えて、

 真上から真下へと落下させるようにして斬撃を放つ。

 しかし精霊食い蜥蜴は、右にごろりと回転してそれを避けてしまう。


 右わき腹に尻尾の攻撃を食らった。

 左側に吹き飛び、ごろごろと転がりながら、ファイブアーマーが無ければ、骨折していただろう。


 立ち上がると、いまだに精霊シルフは蹲っている。

 頼むからその羽で木の上に登ってくれと、

 願ったとしても、

 蜥蜴はぺろりと口を開いた。

 

 僕は無我夢中でクリムゾンリッパ―をぶん投げる。

 それが精霊食い蜥蜴の口の中に入り、

 ずぶりと突き刺さる。

 精霊食い蜥蜴は悲鳴を上げる前に、即死していたようで、

 そこから消滅して、精霊食い蜥蜴の魔石が1個大き目で落下している。


 死体があった場所は今では消滅しているがクリムゾンリッパ―が落ちているだけだった。


 その時僕の脳内で色々な驚きが上がる。


―――レベル3になりました―――

―――全力疾走を習得しました―――

―――ダメージ削減を習得しました―――

―――投擲を習得しました―――

―――剣術レベル3を習得しました。

   フルになりましたので進化します―――

―――剣術レベル3から→

   剣豪レベル1を習得しました―――

―――防御力レベル2を習得しました―――


 僕はびくびく怯えている精霊シルフに声を掛けようとして。


「シルフさん、大丈夫ですか?」


 風の精霊シルフはふわりと飛翔して見せると、

 僕の肩に乗ったのだ。


 それについて僕は衝撃を覚えた。


―――おめでとうございます。精霊シルフをテイムしました。名前を付けてください―――


「じゃあ、君はシルカでどう?」


―――精霊シルフをシルカと名付けました―――

―――異種族言語を習得しました―――

―――モンスターテイマーの資格を習得しました―――

―――モンスター言語を習得しました―――


 僕は冷や汗を掻きつつも、

 何かどんどんと僕は最強になって行っている気がするのだが。


「爺ちゃん、これはどういう事何ですか?」

「いや、わしにも分からない、お主には才能があるという事じゃ、ふぉふぉ」


 祖父には僕の習得したスキルが見えているはずであった。

 なにせ僕にこの世界そのものを託したのが祖父だからだ。

 僕のステータスくらい見えていて当たり前だし、

 今の言動からやはり見えているようだ。


「シルカ、シルカなのよろしくね、ヤマアキ」

「うん、シルカよろしく、僕はヤマアキだよ」

「うん知ってる。頭の上に名前が出てる」

「なるほど、周りから見ても僕の頭上には名前が出ているのか、僕は鑑定する必要があるのに」


「シルカは思う、たぶんだけど、テイムした精霊だから見えるのだと思うよ」

「なるほどな、シルカは賢いなぁ」

「やたー褒めてくれたああああ」


 シルカは僕の肩でぶるぶると騒いでいた。

 僕はそれが可愛らしくてついついとろとろになりそうだった。


「シルカね美味しい果物を見つけたの」

「そうか教えてくれ」


 僕達は軽く空を飛翔するシルカを追いかけた。

 今のところモンスターと遭遇する予定はないが、

 時折【鷹の目】を使用して周りを監視していた。


 するとついにそこには巨大な木が地面に太い根っこを生やして優雅に生えていた。

 この頑丈な木が不思議でよーく観察していくと、

 木の実が無数にある。

 見た事もない果物だ。

 リンゴのような形をしていて葡萄のように紫だ。

 普通に考えたら、毒でもあるのではないかと思うが、

 鑑定して見る事に。


【ブーリン:果物でとても栄養価が高い珍しい食べ物】


 どうやら食べる事が出来る。


「そうだ爺ちゃん、家にある巨大な木にブーリンは食べらせられる?」

「基本的にあの木はなんでも食べるぞ」

「なら沢山収穫しておこう、シルカお願いがあるんだ。ブーリンを1個ずつ持ってきてくれ、もちろん君が食べる分も用意する」

「はぁい、わかりましたぁ」


 シルカは空中を飛翔しながら、次から次へとブーリンを収穫していく、

 僕はブーリンを1つずつアイテムボックスに入れて行く。


「爺ちゃん、アイテムボックスの中では食べ物は腐るの?」

「それは安心しろ、アイテムボックスの中では時間が停止されている。だから食べ物は腐る事はない」

「それを聞けて安心した」

「なんでも聞け、その為に魂のホログラム状態で付いてきているのじゃから」

「すごく頼もしいよ」


「ふぉふぉ、孫に頼もしいと言われれば本望じゃて」


 巨大なブーリンの木には200個ほどの果物がついていた。

 さすがに全て収穫する訳には行かない、

 鳥などモンスターたちの食料を全て奪うのは、人間のしていい事ではない、

 僕は50個程収穫すると、

 シルカと共にまた無人島の探索を始める。


「シルカ、君には家はないのかい? 後は家族とか」


「シルカの家族は皆ばらばらになったの、この島にはゴブリンばかりで怖い、だからずっと木の上で隠れていたら、さっきの巨大な蜥蜴と出会ったの」

「なるほどなぁ」


「シルカ、今から戻る場所はモンスターもいなければ、君の仲間もいない、でもどんどんと住民を増やしていきたいと思っている。普通の人間もモンスターもそして精霊も、色々な人達が集まる島にしたい。その為には皆で助け合う事が大事だ」

「うん、シルカがんばる」


「そこで何か出来る事がないか?」


「シルカ植物と会話出来る。だから畑とか任せて」


「爺ちゃん畑とかなんとかなるか?」


「巨大な木の近くに柔らかい土がある。あそこならいいじゃろうが今は耕されておらぬ、開拓するのは骨が折れる作業だと思うぞ」

「シルフの魔法すごい」


「そう言う事らしいよ爺ちゃん」

「そうだな、シルフに頼って見るかのう」


 それから僕達はイカダのところまでどういう道筋がいいか【鷹の目】で把握して、

 戻る事とした。

 僕はイカダに操縦する事に必死で、ある事に気付いていなかった。

 それはイカダが操縦しなくても自動で動くという事、

 つまり行き先を意識すれば戻っていくし新しい場所にも行く。


「先に言ってくださいよ爺ちゃん」

「済まぬ、忘れておったわい」

「どうりで思った方向に行かないのに目的地いける訳だよ」

「ふぉふぉ」


「この船おもしろーい」


 シルカはイカダの上で揺られていた。

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