第6話 異世界無人島冒険

 巻物を使って異世界に渡ると、そこはいつもの祖父の書斎であった。

 巻物をテーブルの下に隠すと、日記帳を開く。

 そこから出現するのはホログラムのような祖父であった。

 今日は青色のホログラムであり、

 僕はここに来る前に母親が料理してくれたカレーライスを食べた。

 父親も早く仕事を斬り上げた。

 母親と父親が話を展開していく、

 そんな暖かい家族になりつつあった。


 その事を祖父に教えたい。

 

「よう元気か、ベイビー」


 祖父はすごくご機嫌であった。

 現在夜の6時30分であり、

 今から深夜の2時まではとても長く感じている。


 だがきっとそれもあっという間に終わるのだろう。


「爺ちゃん聞いてよ」

「ふむ、聞いちゃうぞい」


 僕は父親と母親の事を語る。

 あの仲の悪かった父親と母親が仲良く話をしている事、

 高校では最初また虐められそうになったけど、半殺し程度で済ませると、頭をさげて、謝ってくれた事。その後また半殺しにするぞと脅すと従った事、彼等とは友達になれるか分からないけど、ちょっと無理かもしれないけど、


 それでも、これからの高校生活には虐めは軽くなったと思っている。

 

「ふむふむ、それは素晴らしい事じゃのう、じゃがわしはあまかーない、なぜならこの世界を潤わし、お前を無敵にする為、わしは沢山計画を練っている」


「恐ろしいですね」


「ふぁふぁ、さて、お主の心が明るくなったという事は?」


「どういう事です?」


 僕が尋ねると。


「前方の窓を開けてみろ」


 僕はゆっくりと扉を開ける。

 するとそこには巨大な島が出現しているではないか。


「山明の心の成長で、この世界が成長したのじゃ、この世界は今はわしの心の世界ではなく、山明の心の世界となっている。さて、旅に出たくはないか?」

「もちろんだとも」


「まずは装備じゃ、地下倉庫にいくぞ」


 僕と祖父は地下倉庫に辿り着くと、

 そこには沢山の武器と沢山の防具が飾ってある。



「クリムゾンリッパ―とエンジェルライフとオメガスレイヤーの3つから選べ」


「今鑑定してもいいですか」

「そうじゃった。鑑定する事を忘れておったわい」


 祖父は青いホログラムの状態で頭をぺちんと叩いた。

 頭は剥げているのが祖父のチャームポイントだ。


 僕は鑑定を初めて使用する事となる。

【クリムゾンリッパ―】倒した敵の血を吸い上げる。血を使用して技を発動させる事が出来る。技は持ち主によって変わってくる。

【エンジェルライフ】使用者に翼の恩恵を与え、空を飛翔しながら、魔法を発動する事が出来る。魔法剣と呼ばれている。

【オメガスレイヤー】筒状の剣でありながら、切れ味は全くない、筒の先から空気の砲撃を浴びせる事が出来、後は打撃剣として使う事が出来る。


 僕はこの3つから選ぶ必要があり、エンジェルライフとオメガスレイヤーはとても癖のある剣だと思った。使うのはそう簡単ではないだろう。


「2本の剣を持ち歩いたらダメなんですか?」

「もちろんダメじゃ、お主は武器の初心者、この伝説級の武器を2本同時に使ったらそれは化け物じゃ、しかし使えるようになる必要がある。訓練程度なら許そう、じゃが島の探検では許さない」


「了解っと、ならクリムゾンリッパ―にするよ」


「わしもそれをお勧めする。では次は鎧じゃ、こっちを見ろ」


 実は先日ちょっと見ましたとは言えない。


「デビルアーマーにエンジェルアーマーにファイブアーマーじゃ、また鑑定して見ろなのじゃ」


 僕は3つの防具を見ながら鑑定を発動させる。

【デビルアーマー】悪魔の鎧とされ、持ち主を悪魔の道へといざなうがステータス上昇率が高い。

【エンジェルアーマー】天使の鎧とされ、常時回復していくが、ステータスは上昇率が低い。

【ファイブアーマー】一般的な防御力のバランスがよい鎧


 僕は即座にファイブアーマーに決める事にした。


 私服からファイブアーマーに着替えると、 

 地下倉庫には大きな鏡があったのでそれを見る。


 白くて銀色なごつごつとしたフルアーマーのようなものがあり、

 上半身と下半身と両足をうまく防御してある。


 圧倒的な防御力だろう、

 さらに軽いので、動きやすい。

 クリムゾンリッパーは鞘を引き抜くと、まるでククリナイフを剣用に長くさせたようなものが出てくる。


 血のように真っ赤なそれは、

 まるで血の臭いがしてきそうだった。


 そして僕とホログラムの祖父が浮かび上がりながら、

 外に出る。

 外には巨大な木があり、

 やはり大きな口がある。


「あれは成長する木でな、ある程度食べ物を上げると成長する。すると島が大きくなるんじゃ、食べ物は別な島から見つけるか、畑で農作物を育てるか、現実から持ってくるかじゃ」


「なるほど、実は僕すごい貯金があって」

「なら現実で購入してくればいいじゃろう、現実のほうが栄養価が高いからなぁ」

「そういう問題なんですか?」


「あの木は質を見極めるずる賢い木なんじゃ」

「なるほど」


「ではあのイカダで向かうぞ」

「あれ沈没しますよ」


「大丈夫じゃ、沈没しないように魔法をかけている。魔法をかけたのが沈没しかけの時じゃったから」

「せめて頑丈な時にかけてよ」

「こっちだって色々あんじゃよ」

「すみません」

「ふふ、気にするな」



 かくして僕とホログラムの祖父が、

 突如出現した島に向かう事になった。



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