四、最後の

受験勉強は

どんなに焦って

頑張っても

26時を過ぎると 眠くなった

あしたの朝に しておこうと

アラームを 4時にセットして

今日を終わらせていた


27時は


今までの僕の 

今日の果ての その先なんだ


部屋は静かで 息を止めてる

時間は止まって 僕も動かない

記念品の ペンのなかの

インクみたいに動かない

空気もすこしも 動かないから

ここは宇宙で 無重力

ガラスのなかで

僕らの部屋は こういう置き物


ただチープな 秒針が

真面目に時を 刻んでる


思いきって僕は

椅子を踏み台に 時計の電池を取った

これで僕は 今日のまま


朝日が昇るまでは

3月31日 27時12分46秒


僕はまだ こうこうせい

3月31日までは 

卒業しちゃあ いないんだから


みんなが明日へ 向かうなか

僕は今日に しがみつく


新しい生活は

憧れのもの なんだけど


みんなと まだ

あの子とも まだ

同級生でいたくて


おとなになるのが すこしいや

でも 眠たいな


ベッドに入ってしまったけど


抱きしめた掛け布団の

感触に 匂いに

ちょっとしあわせになる


掛け布団だけで 満足する

そんな僕は

まだこども

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