6
「おはよう」
久しぶりにぐっすり眠れたかな。天井に貼られた渚くんのポスターを眺めながら身体を起こして、サイドテーブルに置かれたココリナの写真に微笑みかける。
心の中で立ち止まっていた時も朝は巡ってきていたはずなのに、今初めて、本当の朝に起きれたみたい。私は伸びをして、窓を開け澄んだ朝の空気を吸いこんだ。
私は目に見えるものばかりを信じてきたけど、これからは心の中に感じるものも見つめていく。精一杯生きた後に、虹の向こうで出会えればいいんだからね。
「えーっ、新プロジェクト進行中!?」
学校から帰ってきてベッドの上でくつろいでいたその時、私の全身に衝撃が駆け巡る。縦画面のままのスマホを持つ手が小刻みに震える。あのぼのぼのスローライフ乙女ゲームに新展開があるのだと、ゲームの公式SNSアカウントで発表されていたのだ。私の心臓がバクバクして、情報の詳細を親指でなぞっていく。
「今度は南国でドキドキスローライフって、サーフィンできるの!?」
私は真っ先に渚くんが華麗に波に乗る姿の妄想を爆発させる。天井のポスターがきのこ狩りの渚くんからサーファーの渚くんに変わる時もそう遠くないかもしれない。
ふと、今朝閉めたはずの窓が開いていることに気づいて、私はそこに見えたものに驚いて瞬きすることが出来なかった。
ピンク色のカーテンが揺れるそば、渚くんがココリナを抱いて、緩やかな風に吹かれていた。渚くんはにこにこいつもみたいに微笑んでいて、ココリナも穏やかな顔つきで長い耳を揺らしてる。私のことを見守ってくれているみたい。渚くんが手を振ってる。私は笑顔で渚くんとココリナに手を振り返した。
だなんて、ちょっとぐらい夢見てもいいよね?
サービス終了しました くもかげ @fenviner
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます