アマビエを描く男(鬼娘の百物語番外編)

作者 久世 空気

8

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★★★ Excellent!!!

読んでいく中で、「妖怪は神が零落したもの」という視点に興味を抱いた。

確かに神というものは、ここ日本においては必ずしも善ではない。
おそらくこの国においてもっとも有名な神の定義は、本居宣長が記した「古事記伝」の一文であろう。

「世の常ならず、優れたることのありて、畏きものを『かみ』とは言うなり」

常識外れの特別な力を持つものは、何でも崇められた。原初の自然から個人の行いまで。それぞれの不思議さに人々は神を見出し、奉ってきた。そういう観点からすると、特殊な力を持つ妖怪だって、十分神と呼べる素質がある。

では妖怪の役割を越えて神と呼ばれるようになったアマビエは、そもそも何なのか。その不可解さに、畏きものが有する世の常ならぬことに、当事者であるイラストレーターのKは直面してしまった。

理解できないからこそ、神と呼んでいるのだろう。
同じくして、妖怪も。

理解できない存在は恐怖を生む。最近はやしたてられるようになったアマビエの、妖怪らしい湿った不気味さが表現されている短編。