第三十一話 開幕!ユニットカップ!

 天気は快晴、まさに決戦日和となったユニットカップ本番。

 学園の講堂前には、沢山の人が朝から列を成していた。


「うっひゃー。あんなにお客さんいるんだ」

「ええ、そうね。それに、ネット配信で見ている人もいるだろうし、注目度の高さがうかがえるわね」

「それでも、私達は“いつも通り”レッスン以上のステージをするだけ」

「はい~。楽しみです~」


 開始時間まではあと一時間ほど。

 出場順は、今まさに先生方がくじ引きで決めている最中で、開始前に知らされることとなっていた。

 参加ユニットはかのん達四人を含めて、十二組ほど。

 やはり、二人一組で、スケジュールも合わせてとなると、中々難しいものがあったのだろう。


「参加してるユニットの中で、一年生なのは私達だけ。まあ、予想はしていたけれど」

「一年生はまだ実力に自信が無い。それに、ユニットも初めて」

「はい~。ひな達も戸惑いました~」

「ってことは、ツバキ達以外は、全員先輩が相手ってことなの!? わわ、大丈夫かなぁ」


 驚きながらも、そんなことを言うかのんに、ツバキは「へえ、じゃあ優勝なんて夢のまた夢ね」と、勝ち誇ったような笑みを晒す。

 瞬間、かのんはムッと頬を膨らませ、「夢じゃないもん!」と言い返した。


「なんにしても、後はステージの上で会いましょう。……二人のステージ、楽しみにしてるわ」

「ツバキ……。うん! 任せて!」

「つばめさんも、がんばってくださいです~」

「任せて。必ず勝って、優勝を貰うから」


 最後にバチバチッと火花を散らし、ツバキ達はその場から去って行く。

 そう、もうすぐステージが始まる……それは、これまでのユニットレッスンの成果を見せる、最後の場。

 悔いは残さないように。


「つばめちゃん。絶対、ぜーったい、楽しいステージにしようね!」

「大丈夫。カノンと私なら」


 繋ぐようにぎゅっと握った手のひらから、お互いの思いが伝わってくる。

 大丈夫、私は一人じゃないから。


 決戦の時間まで、あと……。


☆☆☆


「で、私達はお昼休憩前の午前組ラストのステージ、と」

「お腹が空いちゃいそうなのです~」

「そうね、軽く何かを入れておいた方がいいかもしれないわ」


 楽屋で通達を待っていたツバキ達の元に、ようやく出演時間が知らされる。

 午前のラストというのは、タイミングとして悪くはない。

 むしろ、場があたたまっている状況でのステージなら、ひなも緊張せず、いつもの力が出せるだろう。

 そう思い、ツバキはふふっと笑みを浮かべ、「かのん達はどうなったのかしらね」と、話題を動かした。


「そうですね~。聞いてみましょうか~?」

「いえ、それには及ばないわ。きっとかのんの事だから、そろそろ……ほら」

「……ツバキー!」

「ね?」


 バァンと勢いよく開け放たれた扉の向こうから、かのんが楽屋の中へと飛び込んで来る。

 そんな状況を予想していたツバキは、モバスタを取り出そうとしていたひなへ笑みを見せた。

 二人のそんなやり取りに、飛び込んできた側のかのんの方が「ほえ?」と首を傾げるのだった。


「それで、かのん。何の用かしら?」

「あ、えっと、出演順決まったよ! 午後の最初!」

「そう。それは少し……面白いわね」

「ほえ?」


 一人で笑みを浮かべるツバキに、かのんはまた首を傾げる。

 そんなかのんを見て、ツバキは「私達は午前の最後よ」と、出演のタイミングを教えるのだった。


「じゃあ、ツバキ達の後かー」

「はい~」

「ん~、でも、ツバキ達のステージも楽しみだし、ご飯前に見られるのは嬉しいかも!」

「……はぁ。相変わらず、その脳天気さは大物ね」


 ため息交じりに放たれたツバキの言葉に、かのんはニシシと笑って、「大物になるからね!」と胸を張った。

 正直、ツバキ達の後であり、そして場が少し冷えた直後のステージは、かなりの苦戦を強いられる。

 ”そこまで考えてた自分のことが、少しバカみたいじゃない”と、ツバキはまた大きくため息を吐くのだった。


 かのんの退室後、楽屋に備え付けられたモニターから、他ユニットのステージが流れ始める。

 かのん達を除けば、相手は全てが上級生。

 しかし、ツバキには確たる自信があった。

 “私達が、最高だ”と。


「ひな。私達は絶対に負けない。例えそれが、かのん達であっても」

「はい~。ツバキさんがそう言うなら、ひなも精一杯がんばります~」

「ふふ、大丈夫。私達はただステージを楽しむだけで良い。そうでしょう?」

「です~!」


 緊張感を顔に出したひなに、ツバキはふっと微笑んで、そう問いかける。

 それがひなの緊張を消したのか、ひなは満面の笑みを見せ、ツバキの手を取るのだった。


「でも~、少しだけ寂しいのです~」

「寂しい? どうして?」

「今日で終わっちゃうのが寂しいのです~。ツバキさんと一緒にレッスンしたりするのが、楽しかったのです~」


 言って、少し寂しそうな顔で「でも、ステージは楽しみなのです~」と笑って見せるひなの手を、ツバキはしっかりと握り返す。

 そして、「大丈夫、今日で終わりじゃないわ」と、優しく微笑みながら口を開いた。


「今日のイベントが終わっても、私達はずっと“おひさま日和”だわ。だって、私も……ひなとのユニット、楽しいと思ってるんだから」

「ツバキさん……」

「だから、今日のステージも……これから先にあるステージも、全力で楽しみましょう」

「はい~!」


 二人が向かい合って笑い合い、しっかりと手を握り合う。

 そうして二人の出番が、ついにやって来るのだった。


☆☆☆


 ステージの裏で、ツバキとひなは聞こえてくる歓声に心を弾ませる。

 刻一刻と迫る出番に心臓は高鳴り始め、ツバキは深呼吸を繰り返し、精神を集中させた。


「ツバキさん~。今まで、ありがとうございました~」

「ん? なに、唐突に」

「なんでもないのです~。ただ、お礼を言いたかったのです~」

「そう。でも、ありがとうと言うのは、まだ早いわ。ステージが終わった後、またその言葉を聞かせてちょうだい」


 ぎゅっと握る手に熱を込めながら、ツバキは燃える闘志を瞳に宿す。

 そんな瞳の輝きに呼応するように、ひなの心を不思議な高揚感が覆い尽くすのだ。

 “きっと、ワクワクして、ドキドキしてるのです~”なんて思いながら、ひなはツバキへと目を合わせ、二人同時にモバスタをセットした。


「ひな達の願いは歌にして」

「私達の道は、私達が作る!」


 光り輝くゲートが繋ぐのは、最高に楽しいステージの上。

 これからも続く、二人だけのステージへと!


☆★☆ユニットカップステージ -おひさま日和 “神城ツバキ・皐月ひな”- ☆★☆


 踏みしめる柔らかな草の感触と、爽やかな風の温もり。

 広々とした草原が、二人が輝ける最高のステージ!


 ――


   高く 強く 大きく 儚く

   放て 咲かせ 響け 

   幻想の花よ


   日々が過ぎゆく街を行き

   集う姿も移りゆき

   遥か遠くの夢の先

   一輪の花が咲き誇る


   嗚呼、夜空儚くて

   キラリ光る雫に夢を見た

   願い 焦がれ 想い 褪せて

   淡く消えゆく夏の日々


   遠く 響く 太鼓の音色

   大きく咲いて 泡に消え

   放て 咲かせと願うのは

   ただ黒き空が寂しくて


   強く 響け 歌よこの空に

   儚く散りゆく夢ならば

   咲いて 花びら燃やしきれ

   その一片までもを輝かす


   嗚呼、夏の 彩れ

   大輪の花よ


 ――


☆☆


 重なり合うように紡がれる歌と、時折切なさを感じさせる柔らかな琴の音色。

 それらがバンドの音と響き合い、観客の心に一夏の風景を想起させる。

 熱く、それでいて心地よく……圧倒的なまでの完成度を見せつける二人に、観客はただただ、引き込まれていた。


「ふぁ~……」

「カノン、口がだらしない」

「はっ! いや、なんて言うか、凄くて……」

「それは私にも分かる。でも、これくらいは予想してたから」


 つばめはそう言って、ステージで輝く二人へと視線を送る。

 言った手前、あまり驚いたような反応はしない……が、正直、予想していた中でも最高に近い仕上がりに、内心はかなり驚いていた。

 ぶっちゃけ、“ヤバい”という気持ちすら、湧いてきていたりもするのだ。


「予想してた、ってことは……こんなに凄いツバキ達にも、勝てるってこと……?」

「そ、そう。勝てる」

「そっか……うん、そうだよね! 大丈夫、つばめちゃん。私達は最高のパートナーだから! きっと、すごい楽しいステージになるよ!」

「……カノン。分かってる。私達は最高のパートナー」


 ガシッ! と腕を組んで、かのんはニシシと笑う。

 きっとかのんには、つばめが内心驚いていたことが……なんとなく分かったのだろう。

 だからこそ、あえて笑顔で、つばめの不安を吹き飛ばして見せたのだ。

 “まったく、こういう所がかなわない”なんて、つばめもまた、笑って見せるのだった。


☆★☆☆★☆


「お疲れ様ー! ツバキー! ひなちゃーん!」

「かのんさん、ありがとうございます~」

「あら、かのん。どうだったかしら?」

「すっっっごい良かったよー!」


 ぐぐぐっと力を溜めて、バーンと解放するかのように、かのんは楽しそうな声でそう返す。

 遅れてきたつばめも「良かった。二人とも」と、絶賛するのだった。


「次はかのん達の番ね」

「はい~、とっても楽しみにしてます~」

「うん! 任せて! ぜーったい、楽しいって思わせちゃうんだから!」

「私とカノン、二人合わされば、最強」


 その言葉に合わせるようにビシッと親指を立てるかのんとつばめ。

 そんな、まるで緊張感の欠片すら感じさせない二人に、ツバキは「この二人は……」と呆れたような声を出しつつも、少しだけ笑ってしまうのだった。


☆☆☆


 ”あと数分もすれば、私達はステージの上に立つ”……と、かのんは高鳴る胸に手を当てて、大きく息を吸いこんだ。

 お昼休憩を挟んだからか、会場の空気は少しだけ落ち着きを取り戻しており、ざわざわとした声がステージ裏に立つかのん達にも聞こえてくる。

 そんなとき、隣りに立つつばめが「カノン」と、小さな声を上げた。


「ん?」

「……少しだけ」

「……うん」


 小さく呟いてから、そっと差し出された手を、かのんはぎゅっと握り返す。

 表情一つ、声色一つ変えることのないつばめの手が、少しだけ冷たく感じて、“ああ、緊張してるんだ”なんて、かのんは他人事みたいに感じた。

 だからこそ、かのんはその手を両手で包み込んで、「大丈夫、一人じゃないから」なんて、言葉を口にするのだった。


「カノン」

「うん、行こう。つばめちゃん!」

「さあ、心よ。舞い踊れ!」

「私達は、誰よりも輝いてみせる!」


 同時にモバスタをセットし、光り輝くゲートへとその身を躍らせる。

 緊張が、ワクワクに変わる……最高のステージに。


☆★☆ユニットカップステージ -ふれっしゅびーと “立花かのん・久世つばめ”- ☆★☆


 煌びやかに輝く太陽の光が、まるでスポットライトのように二人を照らす。

 そんな野外ステージの上に姿を見せた二人は、パシッとハイタッチをすると、流れた来た音と共にパフォーマンスを始めた。


 ――


   あ、あーあーマイクチェックチェック

   よし、笑顔の確認 ナイススマイル

   バシッと構えてスタイルオッケー

   これが、私たちの“いつも通り”

   (everyday thank you)


   雨、雨、通り雨 過ぎていくね

   濡れてる街路樹も煌めいてる

   空、虹、見えるかな この後には

   明るい太陽が顔を出して


   キラキラと輝く 水たまりに

   パシャっと跳ねる音響かせたら

   揺れてる水面に空移して

   鏡越しの私が一歩進むよ


   あ、あーマイクチェック

   ワンツースリー

   にっこりスマイルも忘れずに

   ビシッと決めたら準備オッケー

   これが私たちの“いつも通り”


   フリースタイルなダンスシーンも

   思わずはじけ出す笑顔の数だって

   君がいるから止まらないよ

   テンポ上げて、ボリューム上げて

   心のストッパー外しちゃって

   もうめちゃくちゃな “いつも通り”にしちゃおう!


   ほら、今だ!

   ビシッと決めてこう!(everyday thank you)


 ――


☆☆


 アップテンポで、ついノリに乗ってしまうような、軽快なギターメロディに合わせ、少し異質な歌を重ねていく。

 合わせて踊るダンスも、時々ビシッと固まったり、飛んだり跳ねたりと縦横無尽に動き回っていた。

 耳も目も、全てが楽しいという想いに包まれてしまうようなパフォーマンスに、休憩後の少し冷めていた会場の空気すら、まるでフリースタイルなダンスホールに変えてしまう。


「楽しいから好きなつばめと、好きだから楽しいのかのん。似てるようで少し違う、でも似ている二人。だからこそ作れる輝き、か」

「すっごく楽しいです~」

「ええ、そうね」


 満面の笑顔でパフォーマンスするかのんにつられ、つばめも楽しそうに笑顔をみせる。

 そして、ビシッとカッコいいダンスを見せるつばめと、へなちょこでも楽しそうに踊るかのんに……観客は、無意識のうちに笑顔を咲かせてしまうのだ。

 ギリギリで会場に間に合ったあゆみですら、疲れを忘れて楽しんでしまうほどに。

 それはまさに、最高のユニットが出せる”ユニットの魔法”、そのものだった。


☆★☆☆★☆


 かのん達の後に控えていたユニットのステージも終わり、夕方を前にして、遂に結果発表の時がやってきた。

 ステージの上に並んだ出場者達の顔は、どれも緊張したような面持ちで、そんな彼女達を見守る観客もまた、言葉を発することなく、その時を待っていた。


「……後ろに並ぶのは、このユニットカップを盛り上げてくれた、若きアイドル達。彼女達はみな、それぞれの輝きをもって、ステージを彩ってくれました」

「そんな彼女達の全力に、私達審査員も全力で応えるべく……ギリギリまで議論を重ねました。――その結果が、この封筒の中にあります」


 並ぶかのん達の前でマイクを握る、学園長とキセキ。

 そのキセキが、観客全体へと見せるように、一封の白い封筒をかざした。

 ……もはや、観客の目は、その封筒に釘付けである。


「あまり長々と話をするのも、興冷めでしょう。では、ここにユニットカップの結果を発表させて頂きます。……星空キセキさん、よろしくお願いします」

「はい」


 学園長から目配せされ、キセキは短くもハッキリとした声で応える。

 そして、ゆっくりと封を開き、その中から二枚の紙を取り出した。


「この二枚の紙のうち、一枚には午前、午後の一位を。そして残りの一枚には、総合一位のユニットが書かれています。まずは、各時間での一位を発表させて頂きます」


 キセキの言葉を合図に、ステージの照明が落ち、スポットライトの光がドラムロールの音と共にステージの上を動き回る。

 まさに緊張の一瞬……そんな講堂の空気を、「午前の一位は……」というキセキの声が切り裂いた。


「おひさま日和!」

「――っ! は~……」

「ツバキさん~!」

「もう、ひな。くっつかないの。まだ、総合優勝したわけじゃないんだから」


 大きく息を吐いて緊張を解いたツバキに、ひながガシッと抱きつく。

 突き放すように言いながらも笑顔を見せるツバキに、観客もキセキ達も、楽しそうに笑った。

 そんなツバキ達が列から一歩前へと出たのを確認して、キセキは「午後の一位を発表します」と、場の雰囲気を締めるのだった。


「午後の一位は……ふれっしゅびーと!」

「やっっっっったー! つばめちゃん、やった、やったよー!」

「ん、やった」


 手を取り合い、ぶんぶんと上下に振って喜ぶ二人に、負けた他のユニットの少女達も「おめでとう」と、拍手を送ってくれる。

 そんな彼女達に「ありがとうございます、ありがとうございます!」と、頭を下げてから、かのん達はツバキ達の隣へと並んだ。


「ツバキ、勝負は恨みっこなしだからね!」

「ええ、望むところよ」

「でも~、もうステージは終わってるのですけど~?」

「言いたいことは分かる。だから大丈夫」


 バチバチと火花を散らす二組に、会場のボルテージも上がっていく。

 そんな会場の熱気を全身に受けながら、キセキは残り一枚の紙に目を落とし、「では、総合一位のユニットを発表します」と口を開いた。


「栄えあるユニットカップ、総合一位の座に輝いたユニットは……」


 静寂が講堂を包み、スポットライトが消える。

 そして――


「ふれっしゅびーと! ユニットカップ、総合一位は、ふれっしゅびーと!」


 キセキがそう宣言した瞬間、かのんとつばめをスポットライトが照らし出した。

 しかし、当の本人かのんは「……ほぇ」と、理解が追いついてないみたいな声を出し、隣りに立つつばめへと顔を向ける。

 その先にあったつばめの笑顔を見て実感が湧いたのか……「やったー!」と飛び跳ねるのだった。


「……負けちゃったわね」

「はい~。でも、楽しかったです~」

「ええ、そうね。悔しいけれど、この悔しさは、また次への糧にしましょう」

「はい~!」


 向かい合って微笑んで、かのん達へと拍手を送るツバキとひな。

 そんなツバキの頬には、一筋の涙がこぼれ落ちるのだった。


「では、総合一位の証として、賞状と記念の盾を進呈します。ステージ、お疲れ様。すごく楽しいステージだったよ」

「ありがとうございます! キセキ先輩にそう言ってもらえて、すごく嬉しいです!」

「はい、つばめちゃんの方にも。お疲れ様。ダンスパフォーマンス、やっぱり凄かったです。私も負けてられないって思ったよ」

「ありがとうございます。……いつか、追い抜けるように、頑張ります」


 キセキから手渡された総合一位の盾と賞状を、かのんはキラキラした笑顔で受け取る。

 しかしつばめは逆に、瞳に闘志を燃やすと、さらなる高みへの努力を心に誓った。

 そんな二人の反応がキセキには面白くて、つい「ふふっ」と笑みがこぼれていた。


「かのんちゃん、つばめちゃん。総合一位おめでとうございます。今の気持ちは、どうですか?」

「すっごく嬉しいです! こんな素敵な景色を、つばめちゃんと一緒に見れたことが、すっごく!」

「カノン、私も嬉しい。でも、私達だけじゃここまでは来られなかった」

「うん! 応援してくれたあゆみちゃんや、ライバルとしてぶつかり合ってくれたツバキやひなちゃん。それから、ステージを見て応援してくれたみんながいたから!」


 キラキラと輝く笑顔でそう言ったかのんは、つばめと頷き合い、一緒に「だから、ありがとうございましたー!」と頭を下げた。

 そんな二人の言葉に、観客は大いに盛り上がり、沢山の拍手が返される。

 顔をあげた時に見えた景色を、かのんは本当に眩しく思いながら、“絶対に忘れない”と、心に誓うのだった。


☆★☆次回のスタプリ!☆★☆


 ユニットカップ総合一位となった“ふれっしゅびーとかのんとつばめ

 そんな二人の人気が、急上昇しないわけがなく、世間の注目度はどんどんと上がっていく。

 しかし、やはり二人の実力差を、揶揄する声がないわけがなく……。


 第三十二話 ―― だって、アイドルだから! ――

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