第66話やっぱり家族会議でした2


「ということでな、私達の子はどうやら、シロ君と遊びたいし。これからも関わりたいようだ。多分想像するに君は大人達からよく思われていないのだろう。

私も若い頃は冒険をしていてね、エルフの里にも行った事が一度だけある、ハイエルフとダークエルフの仲の悪さを理解しているつもりだ、いや理解は言い過ぎか、少しだけわかっているつもりだ。」


そう、敢えてなのだろう。

身振り手振りを少しだけ大袈裟に声をゆっくりと少しだけ低い声で諭す様な話し方をしている様だった。


その話の中で少しだけシロが頷いたり、手をぎゅっと硬く握っていたりしたので、やはり辛いことは経験してきているんだろうなと感じた。

心なしか涙が目を潤ませている様な感じが見て取れた。


「私個人の意見だけれどね、いつの時代も大人達は常識が遅れ続けていると思っている。悪いことだけではないのだけれど、新しい事、新しい風習、新しい発見、新しい価値観それら全てに対して、変わることを歳を重ねる度に少しずつ受け入れられなくなるんだよ。多分だけれど、それを受け入れたら自分が頑張ったものが無駄だったと思うのか、変わらないで無事に過ごしたいのか定かではないのだけれど、難しいよね」

と一度だけ話を切ってシロを抱き上げる。

シロは驚きはしたものの、悪意がないことはすぐにわかったのか、すぐに落ち着いた。


「君たちの時代は君たちが作ればいい!今あるルールが君たちにとって邪魔であるなら、耐え難いのなら、君たちが変えればいいんだよ。今は何の力も無いって思うかな?でも気付いた。君たちが動かなければ何も変わらないからね。

ただし、それで誰かを傷つけてはダメだよ。傷つけた人はいつか敵に、助けた人はきっと味方にいつか、いつかきっとなってくれるからね。

もう一つ、あくまでもルールを変える時はルールに則ること。悪い事をして変えようとすると必ず失敗する。」


そう僕たちみんなに声かけをして。シロを下ろした後に。数歩下がって僕たちは横一列にちょうどなっていた。

元の位置に戻って再び口を開いた。説得かな?とか、こう話せばわかってくれるかな。なんて思っていたのだけれどそんな事は一切必要なかった。だって最後に言った言葉はさ・・・。


「ということでだ・・正しい君たちの行いに対して、正しい価値観に惚れてまあ何でもいいのだが、私たちは君たちと同じ意見を持っている。種族の違いで悲しむ人が出ることが正しいとは思えないからね」

そういうと、グラムとダリア、ミーアとガイ全員が揃って横に並んだ。


ただし、今まで以上に身体は鍛えるがなと、笑顔を浮かべたその表情には恐怖を覚えたが・・。

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