第26話 2度目の誕生日2
起したニーアは最初ぽけーっとしていた。
目をごしごし、赤髪に埋もれている耳をカキカキして、その後に一度座って伸びをして、猫がやる伏せた状態でやる伸びをして、
「シンジはーよー」
と笑顔で返してくれる。俺はそれに対して、
「おはよ、ニーア」
そうかんたんに返す。
その後に続けてニーアがこう続けた。
「シンジたんじょーびおめでとー」
と同時にニーアが俺に抱きついてきた。
尻尾ぶんぶんの耳しなしなでめちゃくちゃ嬉しく思ってくれているんだなと感じた。
「ニーアありがとう。寝起きに言ってもらうのって初めてだよ。」
笑顔を浮かべて答えると。
「にかいめだから・・そうじゃないの?」
不思議そうな顔というか、何でそんなこと言ってるの?みたいな顔をして首を傾げていた。
「二回目の誕生日で初めてだったから。言っただけだよ」
そう返した。前世も合わせれば二十数回な訳だが、そんな事はさすがになかったので。少し口を滑らしてしなったかなと感じた。
「ニーアに抱きつかれるのは嬉しいけど、そろそろ、ママ達が来るだろうから離れてよもらってもいい?」
実際のところ、後で食事の時に、朝から一緒に抱き合っていてどうの、こうのと朝食の話題になっている事がしばしばあるので。
せっかくの誕生日なのだから今日はそういう事はなしにしたいなと、思うのだが。
ニーアは首をフリフリして、多分否定の横振りなのだろう。こう口を開いた。
「はじめてって、いってたから、もっとだきついてたい」
うん、これは、あれだ、純粋に俺の為だと思って抱きついてますね。
ニーアが答えた後に、ホールドの力が弱から中に切り替わったのに一瞬驚いたが、まあこんな誕生日なんて経験する人の方が少ないだろうし、素直にしたがっている事にしよう。
そうやって、どれほどの時間が経ったのだろうか、1分だったかもしれないし、10分だったかも知れない。ただ、一言の声も交わさずに、ただただお互いの体温を感じるだけだけの時間は、ママ達が来てあら〜仲良しね〜ねぇ〜と言う声が聞こえるまでずっとそうしていた。
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