第24話 試行の日々


新しく試してみようとしたことが、結果を出すようになるまでには時間がかかる、

春に蒔いた種が夏の雨の恵みと暖かさに大きく伸び秋に稲穂をつけて収穫するように、全てのものは、やってすぐには芽を出すことはない。


そんな世の中であるから1ヶ月という短い期間に結果が出るのはただただ、運がいいのだろう。


結果から言うと、魔法の入門書を見ながら、それを書き写して読むと言う作業は、共通言語のレベル上げにブーストをかけたと言える。まだ若干の仮説があるが、レベルを一つ上げるたびにその三倍の鍛錬が必要になってくると言うことが言えるのであれば成り立つと言う仮説二つが正しければなのだが、


共通言語は一か月してレベルが2に上がった。単純に考えれば、3か月経たなければ、得られないわけなのだが、結果として2ヶ月でレベルを三にまで上げる事に成功した。


読み、書き、声出しの三つをやる事によって、三倍の修得スピードになった事、また、スキルの修得の仕方次第ではレベルアップするまでの時間に差が出ることもわかった。


後は、全くと言って良いほど、スキルとは関係ないのだが、ニーアと仲良くなった。


基本的には、俺は何もしていなかったのだが、魔法の本を音読しながら書いていたので、その声につられてか、はたまた本を読めることを理解したのか、何かと童話の本を持って来るようになった。


初めの頃は、寝ている時はいいが、起きると「にゃー」とおおきな鳴き声で叫んだ後に何処かに逃げ出していたので、仲良くなるきっかけとして本を読むくらいなら、いいかと思って持ってきた本は読んで聞かせる事にした。


1週間もすると、毎日同じベットで寝るようになった。

ただ、ニーアは別のベットがあるはずなのだが、毎朝起きると隣にニーアが寝ているのが当たり前になった。

まだ、俺しか話せない、ニーアは自由に動き回ることはできる、お互いがお互いのしたいことを助け合いながら過ごすことが増えてきた。


ニーアは獣人だからなのか、人間の子供と比べると顔立ちがはっきりとするのが早いように感じた。目はとろんとしたり、はっきりしたりと、言い方は少し変だが目の形がよく変わるのだ。

表情は分かりやすい部分の一つではあるが、尻尾も分かりやすく動いていた。

怒ればピント張るか、ペシペシ床を叩く。甘えていたり嬉しかったりの時は、尻尾の芯がなくなりフニャンとしたり尻尾をリズムよく振るのだ。


少し犬っぽくもあるのが何とも不思議だ。

と、自分自身がニーアの事を気にかけ、信頼していることを感じた。



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