第20話実際に聞いて見た(トリビアのウィズミ風)


全俺の疑問である、スキルマニアがいないのは何故かという疑問を実際に聞いてみたのは、ご飯が終わってからのことである。


(ママ何でこの世界では、スキルを取るだけなら簡単に取れるのにスキルマニアみたいな感じで何でも出来るような人っていないの?)

と口を開こうとしたが、出てきた俺の声は。

「ママー!!スキルいっぱい持ってる人いる?」

たったこれだけだった、いや、あのね、これじゃ意味が伝わるわけないんですよね・・一歳児だしまあ喋れるだけ優秀なのは知ってるよ、うん、かなり凄いよね〜喋るの早いよねって・・うん・・そこじゃないんだよね・・。


当然ながら返ってくる答えは。

「パパもママもいっぱい持ってるわ!」

と笑顔で俺を抱えて言ってくれる、・・パパは横で胸を張っていた。


うん・・ありがとうね。ママ・・ただね、違うの聞きたい事と俺のお口が合ってないの全く違う意味なのよ。だから、ここは何とかして自分の聞きたい事の本来の意味に近付ける為に口を開く。


どうすれば伝わるだろうか、難しい言葉はそもそも使えないし、少し話が逸れる可能性はあるが、こう聞けば分かるかもしれないと、こう口にする。


「ママ違う〜違くて〜」

と言った後にとにかく話そうという素振りをえっとね、あのね、としながらこう続けた。


「お魚〜取る人にぃ〜強い人いる?」

これなら何とか自分の聞きたい事に対する質問のヒントのような事が聞けるかもしれないと、そう言ってみた。

返って来た答えが妙に変だったように感じたのは、自分が現世で育っていた記憶のせいなのか、はたまた別の理由なのかは定かではないが、こう答えが返ってきた。


「シンジあのね、お魚を取る人は、お魚を取るのが好きなの。だから、他の事はしなくて良いの。そんな時間はお魚を取る人には無いわ。」


どういう意味なのだろうか?

俺が赤ん坊だから、詳しい話をしていないだけかも知れない。

と考える事もできるし、単純にこの世界では、漁師があまり位の高い職業では無い可能性があり、1日中働かなければ生活が出来ない可能性や、漁の技術が発達しておらず効率や危険などから職人しか残れない職業なのかも知れない。

パパは重く頷いていた。


ただ、不思議なのだ、言い切るような言い方をしていた事が。ただただ不思議なのだ。


「さ!!お片付けしましょうか!今日はミーアさんの家族も食べに来てくれるらしいから忙しいわ。沢山料理作らないとだわ!久々に頑張るわ!!」

と、とても良い笑顔。ミーアさん魚料理が好きなのよね〜お魚〜お魚〜と言いながら食器を台所の桶に入れてエプロンを脱いで出かける支度をしていた。


パパは立ち上がり、台所のお皿を洗い始めているのが見えた。

中々家庭的なパパですわね、なんて思いながら。

やはりというか、分かってはいるのだが、ご飯の後の睡魔には勝てず子供用の椅子に座ったまま睡魔に誘われてそのまま夢へと落ちていった。




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